わが家には他にオンナが3匹いる。
女護が島と羨むものもあるが、
時々鬼ヶ島に変わることがある。
それでも女の子はいい。気持ちがやさしいのだ。
息子とキャッチボールがしたいと、
若い頃はしきりと思ったものだが、
今では娘2人で打ち止めにしてよかった、
と心底思っている。
わが家の娘はけっこうたくましい。
商社マンの長女は、学生時代から
放浪癖があり、バッグひとつで、世界中どこへでも
行ってしまう。筋金入りのバックパッカーなのだ。
次女は大学生で、ただ今英国留学中。
大学の寮で自炊生活をしている。
自分で台所に立てば、毎日料理を作ってくれた
父親の偉大さを、今更ながら思い知ることだろう。
長女はイタリア、次女はアメリカと、高校時の
留学経験があるおかげかどうか、ふたりとも
ガイジンを怖がらないところがすごい。
私たち夫婦は、童謡「赤い靴」を聞いて育った
世代だから、ガイジンが苦手だ。
まさかヨコハマから連れていかれりゃしまいが、
異人さんを見ると、つい腰が引けてしまう。
戦争に負けた引け目もある。
これは余談だけど、《異人さんに連れられて行っちゃった》
の歌詞を《いいジイさんに連れられて……》とか、
《ひいじいさんに連れられて……》と勘違いしてた者もあるとか。
《兎追いし》を《ウサギ美味し》と思い込んでたのと同じで、
けっこう笑える。
さて父親のマッチョ的生き方が影響したのか、
草食系とかいう、葉っぱやスイーツばかり食べている
ひ弱な男は好きじゃない、と娘たちは言う。
(でもなァ、世の中、右見ても左見ても、草食系ばっかだよ)
父は、娘たちが、ついには〝行かず後家〟になって
しまうのではないかと、今から気をもんでいる。
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