「嶋中労」という筆名の由来をよく訊かれる。
由来などない。ある時、大急ぎでつけた名がそれで、
ルポライター「竹中労」と中央公論社長「嶋中鵬二」を
足して2で割っただけだ(「中公」の仕事はけっこうしてたからな)。
語呂のよさだけで意味などない。
ただ1つだけ言えるのは、「労」という字をどうしても使ってみたかった、ということだ。
いかにも汗臭そうな字だが、訓読みだと「労る(いたわる)」と読む。
ねぎらうとかいたわる――「労」という字には他人を思いやる気持ちがこめられている。
竹中労は〝えんぴつ無頼〟を自称したルポライターで、
背中一面に彫りものがあり、一般には喧嘩屋とか
アナーキストという怖いイメージがあった。
また天皇制打倒を唱えてもいたから、
ボクとは少しばかり肌合いが違っている。
しかし竹中の主張には頷けるところが多々あった。
文章はリズミカルでドスがきき、ユーモアがあった。
同業者のボクにとっては、もって範とすべきものだった
(『ルポライター事始』はライターのバイブルであります)。
喧嘩も強かった。負けない理由はこうだ。
《早く殴った方が勝ちなんです。理屈も作戦もありゃしません。
決断が早ければ勝つ。汚ければ勝つ。それだけです》
ボクも幾度か殴り合いの喧嘩をやったことがあるが、
竹中の言うことは当たっている。たしかに先手必勝だし、
「汚ければ勝つ」も正解だ。池袋でチンピラにボコボコにされた時、
しみじみそう思った。
以下に彼の名言をいくつか挙げてみる。
●人は無力だから群れるのではない。群れるから無力なのだ。
●アナキズムとは、なべての支配されざる精神の謂である。
人々はそれぞれの属性に応じて闘えばいいのだ。
●この世に理由(いわれ)のない差別というものはない。
差別には歴史があり、理由がある。
●ルポルタージュとは恒産なく恒心なき不平の徒が就くべき営為なのであって、
ことばの正確な意味での自由業である。
●古来、詩を作り、文を書くものにとって、筆禍は避けがたい宿命である。
●むしろ人は勤勉に堕落するのだ。
物書きにとって「筆禍は避けがたい宿命」だとか、
「恒産なく恒心なき不平の徒が就くべき営為」だなんていう言葉は
心に滲みる。←つごうのいい免罪符にしてるだけだろ!
昨2011年が、竹中の没後20年でありました。
←右翼というよりアナーキストか。
竹中の文章には〝腕っぷしの強さ〟
が感じられる。
由来などない。ある時、大急ぎでつけた名がそれで、
ルポライター「竹中労」と中央公論社長「嶋中鵬二」を
足して2で割っただけだ(「中公」の仕事はけっこうしてたからな)。
語呂のよさだけで意味などない。
ただ1つだけ言えるのは、「労」という字をどうしても使ってみたかった、ということだ。
いかにも汗臭そうな字だが、訓読みだと「労る(いたわる)」と読む。
ねぎらうとかいたわる――「労」という字には他人を思いやる気持ちがこめられている。
竹中労は〝えんぴつ無頼〟を自称したルポライターで、
背中一面に彫りものがあり、一般には喧嘩屋とか
アナーキストという怖いイメージがあった。
また天皇制打倒を唱えてもいたから、
ボクとは少しばかり肌合いが違っている。
しかし竹中の主張には頷けるところが多々あった。
文章はリズミカルでドスがきき、ユーモアがあった。
同業者のボクにとっては、もって範とすべきものだった
(『ルポライター事始』はライターのバイブルであります)。
喧嘩も強かった。負けない理由はこうだ。
《早く殴った方が勝ちなんです。理屈も作戦もありゃしません。
決断が早ければ勝つ。汚ければ勝つ。それだけです》
ボクも幾度か殴り合いの喧嘩をやったことがあるが、
竹中の言うことは当たっている。たしかに先手必勝だし、
「汚ければ勝つ」も正解だ。池袋でチンピラにボコボコにされた時、
しみじみそう思った。
以下に彼の名言をいくつか挙げてみる。
●人は無力だから群れるのではない。群れるから無力なのだ。
●アナキズムとは、なべての支配されざる精神の謂である。
人々はそれぞれの属性に応じて闘えばいいのだ。
●この世に理由(いわれ)のない差別というものはない。
差別には歴史があり、理由がある。
●ルポルタージュとは恒産なく恒心なき不平の徒が就くべき営為なのであって、
ことばの正確な意味での自由業である。
●古来、詩を作り、文を書くものにとって、筆禍は避けがたい宿命である。
●むしろ人は勤勉に堕落するのだ。
物書きにとって「筆禍は避けがたい宿命」だとか、
「恒産なく恒心なき不平の徒が就くべき営為」だなんていう言葉は
心に滲みる。←つごうのいい免罪符にしてるだけだろ!
昨2011年が、竹中の没後20年でありました。
←右翼というよりアナーキストか。
竹中の文章には〝腕っぷしの強さ〟
が感じられる。