2009年12月18日金曜日

話の極意は話さないこと

明石家さんまとか島田紳助とか、
関西のお笑い系タレントは、なんとも騒々しい。
さんまなどは前歯を突きだし、ツバを飛ばしながらしゃべる。

昔の人はよくこう言ったものだ。
「男の子はな、必要もないのにベラベラしゃべるんじゃないよ」
孔子様も言っている。「剛毅木訥、仁に近し」と。

『葉隠』を読むと、昔の武士はひどく無口だったことがわかる。
《物言ひの肝要は言はざる事なり。言はずして済ますべしと思へば
一言もいはずして済むものなり》

そういえば深沈重厚の風韻を漂わせる男を
めっきり見かけなくなった。昔、漢文の先生に
それらしき人がいた。寺の住職も兼ねていて、
たしか近藤先生といったっけ。

神気を養うには、くだらぬおしゃべりは慎むべきだろう。
帝王学の世界では、いかに「話すか」ではなく、
いかに「話さないか」が修業の眼目になるという。
「黙養」というらしい。

熟達すると数カ月黙して一語ももらさない、
というのだけれど、これじゃ仕事にならないよ。

子供の頃、私はどっちかというと無口だった。
帝王学を学んでいたわけではないのだが、
友達もいないし、格別しゃべることもないので、
黙っていた。猫に話しかけたりしていた。

一生の間に話す言葉の絶対量は決まっているらしく、
若年期に無口だった者は老年になって一気にしゃべり出すのだという。
たぶん私もそのクチだろう、近頃実によくしゃべる。

さんまや紳助みたいにはなりたくないが、
帝王への道も途絶えたようなので、
品のいいおしゃべりを心がけたいと思う。

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