2012年4月28日土曜日

弔電粉砕!

秩父で叔母の葬式があった。去年死んだ母の妹で、享年86。
これで母の兄弟姉妹はすべてあの世へ行ったことになる。
叔母の家の宗派は臨済宗南禅寺派。禅宗だということは分かるが、
その特徴や詳しいところは知らない。

葬儀が始まるとまず会葬者(身内・親戚のみ)に三角の白い紙が配られた。
ひもが付いていて、これを額につけるのだという。女性はわらしべみたいな
ものを髪につけさせられる。時代劇などで死者の額に三角の白い布をつけるが、
会葬者までつけさせられるとは思わなかった。なんだかひどくカッコ悪い。

あとで調べたら、紙冠とか宝冠、カミエボシ、マンジヌノなどと呼ばれるもので、
白は清浄無垢につながるので、死者の魂の浄化や死の穢れを祓う意があるという。
隣に座った従兄弟は不謹慎にも笑いをかみ殺しながら、ボクを見て
「よく似合ってるよ。ブログに載せたいからあとで記念撮影しよう」などと、
ひそひそ声で言ってくる。バカにしてやがる(笑)。

坊さんの読経が始まった。般若心経までは分かったが、あとはどんなありがたいお経も
われら凡人の耳には子守唄でしかなく、(さわりだけでいいんだけどな……)などと
またまた不謹慎なことを思いつつ、ついうつらうつらしていたら、突然、「喝(カーツ)!」
と大喝された。思わず目をあけたら、前の席のちっちゃな女の子はよほど驚いたようすで、
半分べそをかいていた。

最後に「喝!」と叫ぶのは禅宗の特徴で、「引導香語」というらしい
文字どおり「悟ったかッ!」と死者に向かって引導を渡すのだという。
一方で白川夜船を決め込んでいる会葬者を揺り起こしたり、
さらには子供を泣かせるという副産物的な〝効用〟もあるので、
坊さんの密かなお楽しみになっている。

それにしても、えらく長い葬式だ。延々6時間もやる葬式は生まれて初めてだ。
年寄りたちにとっては寿命の縮む6時間だったにちがいない。←たぶん坊主の陰謀だろう

従兄弟の喪主に恨みつらみは言いたくないが、正直云って弔電披露だけは早めに
切り上げてほしかった。ふつうは主だったところを2~3本読み上げ、
あとは端折るものなのだが、今回は義理堅くぜ~んぶ読み上げた。
30分以上はかかっただろうか、ボクはほとんど発狂寸前だった。

集まった人たちはみな忙中の閑を盗み、会葬に出向いてくれている。
それなのに、来もしない人の名前を、なにゆえもったいつけて読み上げる必要があるのか。
衆議院議員に銀行のお偉いさん、取引先企業の社長さんと、
地方の名士の名前が次々と読み上げられるのだが、誰も聴いちゃあいない。
(早く終わってくれ)とみな心の中で念じている。

どこの何様の弔電であれ、来もしないで会葬者をかしこまらせ、
大きな顔をすることは許されない。
結婚披露宴のバカバカしさに比べれば、葬式には少なくとも
愚劣さと軽薄さがない分だけ、ボクは葬式を愛しているのだが、
あの弔電の読み上げ「完食」にはちょっぴりガッカリした。

商売上のお付き合いや義理人情のしがらみがあるのはわかる。
しかし、わざわざ足を運んでくれている会葬者にまず敬意を払うべきで、
弔電披露は形ばかりのセレモニーで十分なのだ。

『○○様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます』
会葬者から云わせてもらうと、「直に会葬してそれを言ってくださいな!
という理屈になる。横着なんだよね、やっぱり。

♪ 安保反対!←いや、ボクは安保賛成派でした 
  弔電、フンサイ!

2012年4月22日日曜日

可もなく不可もなく

◎4月某日……歴史がらみの記事を半分ゴースト的に雑誌や単行本に書いている
こともあって、必然的に歴史本を読む機会が多いのだが、東アジアの歴史、
とりわけ日韓や日中がらみの話となると、不愉快な思いをすることが多い。
なぜなら韓国にしろ中国にしろ、彼らが使用している歴史教科書にはウソばかり
書かれているからだ。特に近現代史に関しては日本は完璧な悪者扱いで、
加害者は日本で、かわいそうな被害者は中国であり朝鮮という設定になっている。
読んでいるだけで胸がムカついてくる。

◎4月某日……韓国人があらゆることに〝韓国起源説〟を吹聴していることはよく
知られている。最近では孔子は韓国人だった、などと言い出し、中国人の反発を招いて
いるようだが、かつてはキリストは実は韓国人だったなどと言ったこともある。
日本に関することでは、日本の伝統文化はすべて「韓国が教えてあげた」ことになっている。

柔道、合気道、剣道、空手、相撲などもすべて韓国が日本に伝えたそうで、
柔道(ユド)は高麗王朝時代、中国から韓国に伝わり、秀吉の侵略の時に
日本に伝わった、などと教えている。柔道はもちろん明治15年、柔術各派を修行した
嘉納治五郎が創始したもので、国際柔道連盟もその第一条で「嘉納治五郎により
創設されたものを柔道と認める」としている。しかし釜山のアジア大会のホームページには
そうした事実を無視したような〝珍説〟が載っていたので、全日本柔道連盟が抗議したら、
あっさり削除されたという。←引っ込めるなら最初から載せるなよ!

一事が万事こんな調子で、剣道は新羅時代の「撃剣」が起源だというし、「サムライ」は
三国時代の戦士「サウラビ」が語源だそうだ。それどころか、日本刀、武士道、茶の湯、
生け花、盆栽、折り紙、和歌、刺身、日本酒に至るまで、日本の伝統文化はことごとく
韓国から日本に伝えたことになっていて、桜(ソメイヨシノ)さえ済州島が原産地である、
などと主張している。いったいあの国には〝恥〟というものがないのだろうか。


男といわず女といわず、大統領だって整形してしまうという「整形大国・韓国」。
芸能人のスカウトは上からこう言われているという。
「とにかく脚のキレイな子を探してこい。顔なんかどうにでもなるから」
ウソで固めるという国家的体質はこんなところにも現れている。
もう、めちゃくちゃだ。

こういうおかしな国々とつき合っていくのはほんとうに疲れる。
中国、韓国、北朝鮮、ロシア……この顔ぶれを見てくれ。
どれひとつをとってもウソで固めた国ばかりではないか。
まともな国が一つもないというのだから、日本はよくよくツイてない。
誰だ〝友愛の海〟だなんて言ったのは。バカバカしい。
こんな国と仲良くつき合おうと思っただけでウンザリし、気力が萎えてしまう。
霞を食ってでもいい。もういっぺん鎖国をしようじゃないか。

◎4月某日……近頃は、プールに飛び込むと、アップ代わりにまず800㍍泳ぐ。
以前は200㍍がせいぜいだったが、ロングもやってみるとなかなかいいもんだ。
ただ欠点はどれくらい泳いだか、途中でわからなくなってしまうことだ。ボクは50㍍ごとに
1、2、3……と数えているのだが、泳いでいるうちに「あれ、いくつだっけ?」と
わからなくなってしまう。「なんかうまい数え方はないもんかね」と
仲間に聞いたけど、みな同じようなもので、かなりアバウトにやってるようだ。

ロングの後は、1分サイクルで50㍍のダッシュ。これを4本を1セットとし3セットやる。
あるいは地獄のピラミッド。25㍍→50㍍→75㍍→100㍍とピラミッドを駆け上がったら、
今度は逆に100㍍→75㍍→50㍍→25㍍と一気に駆け下りてくる。これがきつい。
息継ぎできる時間はせいぜい5~10秒で、遅い者は息継ぎもできず、500㍍を
休みなく泳ぎ切る感じだ。しかし、こうしたインターバルを定期的にやっておかないと、
試合の時にひどい目にあう。この齢ではけっこうしんどいのだが、
やらないわけにはいかない。運動するのは楽しい。もともと体育会系の人間だから、
身体を動かしているのが好きなのだ。

◎4月某日……長女が例によって岩手大船渡へボランティアに行っている。
次女も新人研修の一環なのか、宮城の南三陸町で2泊3日のボランティアをやってきた。
次女の会社では新人は全員バスに押し込まれ、被災地支援に送り出されるのだという。
いい会社である。今回はもっぱら昆布加工の手伝いをしてきたようだが、
土産にワカメと芽コンブをどっさりもらってきた。







2012年4月18日水曜日

アホの吹きだまり

松下政経塾出身者はアホばかり、と先日書いた。当の創設者の幸之助爺さんが
「塾を作ったことを後悔している」と側近の者に語ったという話も披露した。
しかしアホでもまだ救いようのあるアホはいる。民主党の前原誠司(第8期生)だ。

いま、石原都知事が尖閣諸島を東京都が買っちゃうけど「文句あっか?」と
例によって人を食ったような顔して息巻いているが、前原も先の中国漁船衝突事件の際、
「中国の求める賠償や謝罪は全く受け入れられない」「(尖閣諸島の領有権を)1ミリとも
譲る気持ちはない」「国会議員は体を張って(尖閣諸島を)実効支配していく腹積もりを
持って」などと発言、中国の異常な軍拡に対しても「現実的脅威である」と明言していた。

民主党内では珍しいChina hawk(対中強硬論者)といわれ、
中国政府内ではすこぶる評判が悪い。この中国当局の苦々しい思いを代弁している
のが朝日新聞で、《前原発言、中国イライラ 党内に批判も》という見出しを載せたり、
記事中に《「中国当局はこれを機に、一気に前原外しを奨める」(日中関係筋)
との見方も出ている》などと結んだりして、中国側にすり寄る姿勢を見せている。

中国漁船の巡視船への衝突事件を報じた朝日一面記事のリードはこうだった。
日本が領有を主張する尖閣諸島……》
これでは尖閣諸島が日本固有の領土ではないような印象を読者に与えてしまう。
しかも記事中に、中国漁船の「違法操業」という言葉がまったく出てこないのだ。
またまた国民をミスリードするつもりか――朝日嫌いのボクは心底そのことを憂うのである。

こうした明らかに中国寄りの報道をしておきながら、
公正客観的な報道をしていると強弁する朝日。
中国の息のかかった骨がらみの赤新聞であることはすでに明々白々だろう。

さて自民党などは本日18日、前田国土交通相と田中防衛相に対して
問責決議案を提出した。毎度のことだから、もう慣れっこになってしまったが、
問責される大臣がちと多すぎやしないか?

問責の人材豊富な民主党(アー、コリャコリャ……)

こんな時事川柳が出てくるくらい、民主党はアホの吹きだまりみたいな党で、
その民主党に一票入れた有権者はそれに輪をかけたアホ、ということでもある。

これは初めて見たのだけれど、民主党の元官房長官・仙谷由人の
ホームページを開いたら、仰々しく「政治理念」などとあって
こんなことが書かれてあった。


地球市民として世界の人と仲良くしよう
   お互いの存在を尊重し共に栄えよう
   資源も飢えや痛みさえも分かち合おう
   友愛を育み大きな夢を現実にしよう
   同じ地球に生まれた私たちだから
   同じ地球に暮らす私たちだから
   平和な世界で各人が個性を生かし
   自由にのびのびと元気に暮らそう

気恥ずかしくなるような空疎な文句の羅列である。
まるで『世界人類が平和でありますように』という、
あのどこにでもある標語と見まがうほどだ。よく見ると、
この中には「日本」という文字が一つも出てこない。彼の頭の中には
「かけがえのない地球」はあっても「かけがえのない日本」はないのだ。
大事なのは「地球市民」であって「日本国民」ではないのである。

おバカな鳩山が東シナ海を「友愛の海にしましょう」と言い失笑を買った、
というのがなんだかわかるような気がする。彼らの目に映る日本の隣人たちは
みな平和を愛する善人ばかりなのだ。

Loopy鳩山(こう改名したらしい)は民主党の外交担当最高顧問だという(冗談だろ!)。
イランでも要らん発言をして物議を醸したが、どんなに批判しても火星人の耳に念仏で、
まったく効果なし。そのうち《次はシリアに行か(さ)せていただきます》なんて言い出すかも。
ああ、くわばらくわばら。

2012年4月14日土曜日

ロシア語なんかまっぴらだ

ヨーロッパではギリシャやスペイン、イタリアなどがユーロの通貨危機に喘いでいるが、
記憶に新しいところでは1997年、アジア通貨危機の折、韓国がIMF(国際通貨基金)
の管理下に置かれたことがある。その時、日本は100億ドルの融資を行い韓国を支えた。
この融資額は国際社会の中では最大のものであった。

しかし韓国民が日本に感謝したのもつかの間、何かのきっかけでひとたびマスコミが
反日の火をつけると、燎原の火のようにいっせいに燃え上がってしまう。
従軍慰安婦問題、竹島問題、そして最近では100年前の「日韓併合条約」は無効だった、
などと主張し始めている。

戦後賠償が足りない(『尻の毛までむしられて』参照)、というのも彼らの常套句で、
個人補償をしていないといって責めるのもいつものパターンだ。賠償金を一括して
受け取ると決めたのは韓国政府で、個人補償に関しては「個人請求権保持者への
補償義務を負う」と彼らが約束したからに他ならず、何に使うかは韓国政府の裁量で、
日本が口を差し挟む問題ではなかった。

時の朴政権は、日本からの資金供与を浦項製鉄所建設など重工業育成、農業支援、
科学技術開発、京釜高速道建設などに投入した。結果、「漢江の奇跡」('66~'75)
と呼ばれる経済成長をもたらし、今日の韓国の礎を築いたのである。

こうした日本の恩義をすっかり忘れてしまう、というのが韓国人の国民病みたい
なもので、恩を仇で返すみたいに、過去の歴史を掘り返してはネチネチと日本の非を
鳴らすのである。

2001年、米国で開かれた国際学術会議で、欧米の国際法学者らは次のように指摘し、
韓国の学者の見解を批判した。
《自分で生きていけない国について周辺の国が国際的秩序の観点からその国を
取りこむということは当時よくあったことだ。日韓併合条約は国際法上は不法ではなかった》

米国の歴史家ヘレン・ミアーズの『アメリカの鏡・日本』の中でも、
《日本が韓国を併合したのは、新皇帝(純宗)が請願したからだった。(中略)列強の
帝国建設はほとんどの場合、日本の韓国併合ほど合法的手続きを踏んでいなかった》
としている。

韓国人としてはいかにも不本意で、無念この上ないとは思う。
が、日本からしてみれば、ロシアの強大な圧力を前にして、日本の独立を守るため、
遺憾ながら併合せざるを得なかったのだ。当時、韓国内で最大の政治勢力だった
「一進会」が併合を推進したという事実を、今の韓国人たちは知らされているのだろうか。

もしも日露戦争で日本がロシアに負けていたら……。
日本に文句ばかり言っている韓国人や中国人は、そのことを真剣に考えてみるべきだ。
おそらく、というか100%確信を持っていうが、中国も韓国もロシアとイギリスに分割
されていただろう。そして地球上の有色人種は今もハダシで暮らしているにちがいない。
もちろん日本人も例外ではなく、仲良く韓国人と一緒にロシア語を習っているはずだ。

国威発揚もほどほどにしないといけない。ウソで固めた歴史ばかり教えていると、
世界の笑いものになるだけでなく、あとで強烈なしっぺ返しを受ける。
ああ、それにしても日本のBS番組は極彩色に彩られた韓流ドラマばかりではないか。
日韓併合から100年。日本は今、韓国に併合されている。

2012年4月11日水曜日

塾生はアホばかり

松下幸之助が私財70億を投じて開校した松下政経塾。
今年で開校33年目を迎え、巣立った塾生は250名を数える。

日本の明日を切り開く次代のリーダー養成機関という触れ込みだったが、
近頃は「なに、松下政経塾出身? ほとんどガラクタばかりじゃないか」
と評価はひたすら下降の一途。ドジョウ総理も卒業生の一人というが、
泥にまみれているばかりで、いっこうに浮上する気配がない。
幕末、国事に奔走する志士たちを輩出した松下村塾とはとんだ大違いである。

日本の舵取りを担う政治家を養成する、というのが松下の企図したところで、
自民党一党支配に風穴をあけ、新たに保守新党を興し、保守同士による
政権交代を実現させる、というのが本来の狙いだった。
実業家の松下は自社二大政党による政権交代などまったく眼中になかった。

しかし一部を除き、多くの政経塾生らは市民派・反体制リベラルに染め上げられ、
松下が意図した方向とは大きなズレが生じてしまう。自衛官の息子のドジョウ総理でさえ、
「反米・親アジア」などという幼稚な戦後リベラリズムを標榜するおバカな
〝小鳩グループ〟に鼻面を引きまわされているのだから、無残という外ない。

ドジョウに任命された蓮舫行政刷新担当相(当時)などは、
昨年8月、北京で行われたフォーラムでこんな発言をしている。
《日本は中国を侵略した歴史がある。これは非常に痛ましい事実。しかし、
一部の日本人はこれを認めていない。(中略)学校にしても家庭にしても、
日本の若者への歴史に関する教育が足りない》

教育が足りないのは日本の若者たちじゃなくて、
いまだに華夷秩序に引っぱられ、ウソで固めた〝歴史認識〟なるものに
振りまわされているタレント議員の蓮舫さん、あんただろ。
バカは休みやすみ言ってくれ。

これはパナソニックの役員が漏らした話らしいが、
幸之助爺さんは、死の床でこんなふうに呟いたという。
《わしはいろいろなことをやったけど、
一つだけ後悔していることがある。
松下政経塾を作ったことだ……》
塾生たちよ、この声を何と聞く。

中国漁船衝突事件が起きたとき、時の官房長官・枝野幸男は
《中国は悪しき隣人である》と発言した。ホゥ、民主党にも少しはまっとうな男がいたか、
とちょっぴり感心したものだが、外国人参政権問題にしつこくこだわったり、
《日本の領土は日本人だけのものじゃない》(鳩山)などと放言する
〝無脳グループ〟といつまでも訣別できないところを見ると、
民主党にはまともな人間などいない、と断じてまず間違いないだろう。

つまらぬ理屈なんぞもう聞き飽きた。
一刻も早く解散総選挙をやるべし。
日本を救う道はそれしかない。







2012年4月9日月曜日

花の下にて春死なん

昨日は花見のはしごをした。
1ラウンド目は家族で近くの樹林公園に繰り出し、
長女と一緒に作ったお弁当を広げ、
ボクはワインを飲んだ。
待ちに待った開花なので、ものすごい人出だ。

飲むほどに酔うほどに眠くなり、
横になってうとうとした。
日射しは思った以上に強かった。

桜のことは正直よくわからない。
この公園にはヤマザクラが多いと聞いているが、
ソメイヨシノとヤマザクラの区別さえつかない。
お酒には詳しいが植物のことは何も知らない。
無粋な「花より団子」派なのである。

花見のダブルヘッダーは午後3時から。
会場はわが団地に隣接した小公園。
ここの桜もみごとなものだ。

お相手はいつものキャッチボール仲間2人。
ボクはワインを持参し、仲間の一人は
純米無濾過の生原酒を1本ぶら下げてきた。

話題は「3人のうち誰が最初にくたばるか」という深遠高邁なもの。
2人は「順番ですから」と、年長のボクを最初に送りたがっていたが、
「おまえさんたちの弔辞じゃ品位に欠けるからヤダ」
とボクがダダをこね、結局、最初に逝くのは最年少のTさんということに決まった。
なんだかホッとする。

そのうち隣に陣取った若者グループが
ゴルフ練習用のドライバットという長い棒を
ぶるんぶるん振りまわし始めたので、
「オイこら! そんなもの振りまわしたら危ないだろ!
何考えてんだ、このバカ野郎!」
と、やさしく?注意したら、意外と素直に「ゴメンナサイ」と
従ったので(腰抜けめ!)、これまたホッとした。

そうこうするうちに、近所の悪友たちがわらわらと集まり出し、
バカッ話で大いに盛りあがった。1升酒はすでに飲み干している。
(あと何回、花見ができるかな……)
35歳と300ヶ月を迎えると、いつになく感傷的になってしまう。

家に帰ったら激しい頭痛に襲われ、
堪らず早寝したら、翌朝には治っていた。
深酒→バタンキュー→二日酔い→禁酒の誓い
→忘却→深酒→バタンキュー→二日酔い……←キリがない
こんな生活を42年間(酒タバコは18歳からです)繰り返してきた。
ロクな人生を送ってないな、と今さらながら驚き呆れる。
ああ、また飲みたくなってきた。

























2012年4月3日火曜日

羽織ゴロの末裔たち

ときどきインターホン越しに、
「旦那さ~ん、朝日なんだけど、いっぺんとってくれませんか?」
と新聞の拡販員がやってくる。口調は総じて馴れなれしくぞんざいだ。
「わるいけど間に合ってる。うちはずっと読売だから……」
いくぶん不機嫌そうに応じると、
「どこの新聞も同じでしょ? お願いしますよ、短期でいいですから」
「どこが同じなんだよ。朝日は思いっきり偏向してるだろ」
だんだんキレかかってくる。

「そこを何とか……お願いしますよ旦那さ~ん」
「あんたもしつこいね、日本の悪口ばかり書いて、
中国や韓国におべっかばかり使う赤新聞は読まないって言ってるだろ!」
「…………」
あっちも明らかにキレちゃったみたいだ。
こんなやりとりをしてても、忘れた頃にまたやって来る。

わが家はずっと読売で、実家も読売だった。
途中で産経も併読したが、これは姉の亭主が産経新聞の社員だったため、
両親が気をつかったのだ。朝日の社員だったら、義理で朝日もとっただろう。
読売を購読していたのはたまたまであって、思想信条がどうの、という話
ではなかったように思う。ただおやじはアホな共産主義や社会主義がきらいだった。

中学高校時代は朝日の全盛期で、教師も
「天声人語は名文だ。試験にもよく出るぞ」
と、それとなく朝日の購読を奨めていた。
この教師、たぶん日教組の組合員だったのだろう。

ボクは朝日嫌いだが、格別読売が好きというわけではない。
どの新聞に対しても軍服に対するのと同じくらいの猜疑心は持っている。

たとえば読売は、昭和21年にアメリカ教育使節団が来日したとき、
社説に《漢字は封建思想だから、全部ローマ字に変えるべきだ
と大まじめに書いた。

一方朝日は、昭和26年、憲法発布の11月3日の社説に、
憲法というものは生きものであるから、将来これを改正するときには、
できるだけ自由に改正しなければならない》という趣旨の記事を載せた。
ところが今は平和憲法擁護論で、憲法改正大反対。
その間の首尾一貫性は何もない。

昭和20年8月14日の朝日の論説には《鬼畜米英をやっつけろ!》と
大変勇ましい記事が載っている。が、敗戦の翌日(16日)の社説には、
《日本は平和国家として模範となるべきだ》などと書いている。
わずか3日間の劇的な豹変ぶり。

《新聞は社会の公器》などと気負ったことを言っているが、
実態は実にいい加減というか、常習の変節漢と呼ぶべきか、
かつて新聞記者が〝羽織ゴロ(今で言うインテリヤクザか)
と呼ばれていた時代と少しも変わらない
今でも本質は道徳家の仮面をかぶった〝背広ゴロ〟なのだ。

ボクの師匠・山本夏彦は、
《言論というものは、どこかうしろ暗い、
内心忸怩(じくじ)としたところがあったほうがいい》
と言っていた。
朝日のダメなところは、忸怩たるところがなく、
常に正義は我にあり、といった顔をしているところだ
うしろ暗いところのない人間など、だれが信用するか。

戦時中、「報道」は「報導」といった。
われら愚民たちにありがたくも正しい方向を報(しら)せ導いてやる、という意味らしい。
今は茶道や華道と同じ〝道〟になってはいるが、
どこかあらぬ方向へ導こうとするクセはいまだに抜けていない。



←街頭デモでよく見かけるおなじみの標語

2012年4月1日日曜日

ご飯をよそう

韓国に行って驚くのは、彼らが器を手に持って食べないことだ。
左手に持って食べるのははしたない行為とされ、
器を持たず前かがみになり、スプーンか箸でつまんでそのまま口に運ぶ。

この〝正統派〟の韓国式マナーが、海一つ隔てると〝犬食い〟と
呼ばれてしまうのだから、韓国人にしてみればなんとも不本意なことだろう。
文化の違いというのはおそろしいものだ。

また彼の国では女性が立て膝をしながら食事をしたりするが、
これなど日本の礼法からするととんでもない不作法になる。
ことほどさように異文化理解というものは難しく、
誤解の温床にもなりやすいのである。

ボクたちは子供の頃から「お茶碗を持つ手は左、お箸は右」と躾けられた。
こうやって右と左を身ごなしで覚えたというのもおもしろいが、
なにより茶碗をきちんと持って食べると、背筋も伸びて美しかった。

左手を使わずに食べるとどうしても猫背になってしまう。
すると母や祖母から「犬食いはダメ!」と叱られ、
兄などは背中に物差しを突っ込まれヒーヒー言っていた。

「○△□! 卓袱台を拭いてちょうだい。ついでにご飯もよそってね」
母はこう言ってボクたちをよくこき使った。←大袈裟だろ
「ご飯をよそう」というのは「ご飯を(茶碗に)装う」ということ。
そして両の手で懐くように持つ。

なぜそんなにご飯を大切に扱ったかというと、お米は一粒たりとも粗末にできない
貴重なものだったからだ。それにお米には稲の神様が宿っている。

また茶碗を手に持つことで、日本人のユニークな美意識が育まれたともいわれている。
器に直に手でふれたり、唇にふれることで、ものの質感に対する感性が鋭く磨かれた。
磁器、陶器、そして漆器。それぞれの素材の違いを深く観賞できるのも
日本人が持つ美意識のなせる業だろう。

今はソフトクリームを舐めながら、あるいはハンバーガーを食べながら歩く行為が
ごくふつうに行われているが、昔は立ってものを食べるなんてことは決してしなかった。
そんなことをすると「座って食べなさい!」とすかさず叱声が飛んできた。

ボクも立って食べたり歩きながら食べることには抵抗を感じる世代だが、
そう言いながら駅前の立ち食いそば屋でズルズルやっているのだから世話はない。

現代人の不作法をすべてグローバリズムのせいにするつもりはないけれど、
日本人が育んできた食事の作法と美しい感性は守っていきたいものである。



←韓国人は食事中に膝を立てる。