2011年3月31日木曜日

申しぶんのない意見

全国各地でお祭りやイベントが自粛されている。
「東北の人たちが困っているときに不謹慎だ」
というわけなのだろう。日本中が沈鬱な
〝自粛ムード〟に覆われている。

レストランや居酒屋もそのあおりを食って
閑古鳥が鳴いているという。店を閉めざるを得ない、
というケースも出てきている。

ボランティアや義援金もいい。節電も大事だ。
でも、いまボクたちがやるべきことは、
ふだんどおりの生活をすることではないのか。
形になった善意だけがすべてではない。

たまにはレストランに行って美味しい料理を食べる。
居酒屋で酒を飲む。計画停電で帰宅時間が制約される
ということはあるけれど、こうした息抜きが
〝不謹慎〟だとは思わないし〝非国民〟だとも思わない。

みんなが自粛していたら経済が回らず、めぐりめぐって、
東北の人たちにお金が行かなくなる。

戦時中、愛国婦人会や国防婦人会の面々は正義のかたまりだった。
街頭に立ち、「パーマネントはやめましょう」「長い袂はつめましょう」
と連呼し、いやがる娘たちを呼び止めては髪や袂を切らせたという。

世の中には、だれにも反対できないような
〝申しぶんのない意見〟というのがある。
それに賛成しない人は自動的に〝非国民〟となる。

ボクは美しい言葉がきらいだ。
申しぶんのない意見はつい疑ってしまう。

被災者のために何かしてあげたいと思うのなら、
いままでどおりの生活をすることが一番だと思う。
だからボクは余計な買い物をせず、節電を心がけながら、
ふだんどおりの生活を送っている。

欠かさず酒も飲んでいる。高額納税者なのだ。
仕事の合間にはギターを弾きながら唄だって歌っている。
目に見える形のボランティア活動はしていないけれど、
何の引け目があろう。

2011年3月29日火曜日

可憐な花たち

さいたまスーパーアリーナで
福島県双葉町の住民およそ2500人が
避難生活を送っている。

「通路に段ボールで仕切りをして
みんな生活してるんだけど、その段ボールも
足りないみたいなの」と次女が報告してくれた。

何か自分にできることはないだろうか、と思い立ち、
台湾人の留学生Judeとともにボランティアとして駆けつけた。

「何をやったんだい?」と聞いたら、
「子供たちと遊んでやっただけ」と照れ笑い。

次女は3歳の子をずっとダッコしていたからか、
「腕の筋肉がいたい」とやわな細腕をさすっている。
「最初はみんなこわばった顔をしてたけど、
最後は笑ってくれたよ……」

日頃、「近頃の若者ときたら……」と憎まれ口ばかり
たたいているボクも、震災後の若者たちの行動力と
やさしさにふれ、ちょっとばかり感動している。

永遠に比べれば、人間の命など線香花火のようにはかない。
それでも人は、知恵や情けといった善きものに
包まれながら、可憐に花を咲かせようとする。

震災児たちの未来がどうか明るいものでありますように。



●最後に、ちょっと感動もののサイトを1つ。
https://docs.google.com/document/pub?id=1UmFXi9xxYkZcNLIC-q4RsdrbhCDk8PisESXoxlGmRCY

この中に素敵な言葉があった。
《ひとは奪い合えば足りないが、分かち合えば余る》

2011年3月28日月曜日

バカは死ななきゃ

放射線予防に効果あり、とするデマによって
中国では塩の買い占め騒ぎが起きているというが、
塩ならぬ「ビール」に効果あり、といったら
やはり悪質なデマになるのだろうか。

昨日、飲み友だちのT君から電話をもらった。
T君は同業のジャーナリストで、各方面に顔が広い。

「放射線医学総合研究所」の偉いさんも
友人の一人らしく、その友人から、
「放射線予防にはビールが効くよ」
と教わったという。

無類のビール党であるT君は一瞬耳を疑ったが、
「塩」のたぐいのデマとは違う、と思い直し、
マジメに話を聞いたという。

その中身はざっと以下のようなものだ。
「放医研と東京理科大の研究チームによると、
ビールに溶け込んでいる麦芽の甘味成分が、
放射線によって生じる染色体異常を最大34%
も減少させることを証明した」
ただしノン・アルコールビールは効果なし。
http://www.nirs.go.jp/news/press/2005/08_11.shtml


これはいいことを聞いた。
「お酒ばかり飲んで、ほんとにもう……」
と、いつも女房から迫害を受けている身としては
免罪符をもらったようなものだ。
これで天下晴れて堂々と酒が飲める。←いまだってそうだろ!

といっても被爆する前に飲まなくては効果がないというから、
防護のためには一日中酔っぱらっていなくてはならない。
それじゃ仕事になんねえべ。それに被曝する以前に肝硬変で
おっ死んでしまうだろう。さてどっちがいいだべか。
ここが思案のしどころか。←バカだねえ、ほんとに






2011年3月26日土曜日

デマに踊らされる

中国では塩が買いだめされているという。
放射線被曝の予防には塩が効く、
というデマが飛び交っているためだ。

なかには6.5トンもの塩を買い占めた男もいて、
いまはその処理にホトホト困っているという。
呆れ果てた男だ。

日本から急遽帰国した中国人たちは、
「東京ではアパートの窓を閉め切って
一歩も外へ出なかった」だとか、
「外出時はマスクをして命がけだった」
などとブログで〝おらが武勇伝〟を紹介し、
日本への恐怖心をあおっているという。

流言飛語に翻弄されるのは人間の常なのか。
関東大震災の際に、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れている」
というデマが流れ、200人以上の朝鮮人が殺された事実は
まだ記憶に新しい。

デマを流した首謀者が、当時の警視庁官房主事で、
のちに読売新聞社主となる正力松太郎というから驚きだ。
あとになって「虚報だった」と謝罪したというが、
罪もなく虐殺された人たちは到底浮かばれまい。

デマを流すもの、そのデマに踊らされるもの。
どちらも罪は深い。


2011年3月23日水曜日

戦中派はえらい

迷子の老婦人を見つけて
交番へ連れていったら、
若い警察官にこう言われた。
「2ヵ月たって持ち主が現れなければ、
あなたのものです」
          ――英国ジョーク集――

もらってもあまり嬉しくない〝拾得物〟
というのもある。

でも今度の震災で少し思い直した。
ボクも含め戦後生まれは概してオタオタしっぱなしだが、
戦中派はけっこうドッシリ構えている。

東北の某避難所の老夫婦は、
支援物資の不足に直面しながらも、
「ガマンすればいいんです」とキッパリ。
戦中戦後の物不足の時代を
生き抜いてきた自信がそう言わしめるのか。
ちょっぴり感動してしまった。

2人合わせて180歳になろうという
近所の老夫婦を見舞ったら、
甚大な津波被害に思いを馳せたのか、
東京大空襲後の惨状を聞かされた。
見わたすかぎり死屍累々。
この世の地獄を見たという。

この老夫婦も、たび重なる余震など
平気の平左。奥さん、すまし顔で、
「お米と味噌しょう油さえあれば大丈夫。
みんな騒ぎすぎなのよ」

非常時になると人間の値打ちが分かるというが、
ほんとうにそう思う。ただべんべんと生き長らえてきた
わが身を恥じつつ、もう一度心のネジを巻き直そうと思う。

さて、今夜のおかずはすでに決めてある。
被災地のホウレン草が風評被害に悩まされているので、
「ホウレン草とベーコンのココット」
「ホウレン草とイカのチリソース」
「ホウレン草のごま和え」
と、ホウレン草尽くしにするのだ。

みなさん、くれぐれもデマや風評には惑わされないように。

2011年3月20日日曜日

我を美しく

   落ちぶれて 袖に涙のかかるとき
                   人の心の 奥ぞ知らるる

鹿児島の民謡『串木野さのさ』の一節だという。
ボクはこの俚諺めいた言葉をひと目で気に入り、
若い頃、日記のはしに書きとめたことがある。

東北地方で被災した人たちにとって、
いま、いちばん身に滲みそうなのが
この言葉ではないか。

長女はわずかな給料の中から数万円を、
カミさんも数万円、学生の次女はなけなしの貯金の
中から数千円を日本赤十字に寄付した。

(万札が数枚あれば、けっこう飲めるんだがな……)
この期におよんで不謹慎なことを考えている私めは、
ただいま空っケツなので、寄付はしばし延期だ。
むしろこっちに緊急支援してもらいたいよ、
などと、再び三度よからぬ事を考えておる。

日頃、道徳家ぶってる人たちも、
いざとなるとからきしだらしがない、
という例はいくらでもある。←自分のことだ

不要不急でもないのに
買いだめをする、なんていう種族は、
みんなそのたぐいだろう。←これだけはやらない
まさに「人の心の奥ぞ知らるる」だ。

作家の池宮彰一郞はこんなことを言っている。
《人間性のなかでいちばん大事なのは志だ。
「志」とは士の心と書く。武士の第一義は「義」である。
「義」とは我を美しくあれ、の意だ。つまり、
人が美しく生きようとする心が「志」なのだ》と。

この震災で、失ったものはもちろん大きい。
が、得たものも少なくない、とボクは思っている。

2011年3月17日木曜日

ゆらゆらゆ~ら

相変わらずスーパーの棚は品薄だ。
パンも米も即席麺もない。
一人暮らしのお年寄りたちに、
米やパンは行きわたっているのだろうか。

ふだんどおりの買い物さえしていれば、
品薄現象は起こらないのに、
買いだめの連鎖が起こると、
いつも弱者が泣くハメになる。
こういうのを傍観者の利己主義という。

略奪などがなく整然と列に並ぶ日本人、
などと外国メディアは褒めちぎっているが、
整然と並んで買いだめしている、
というのでは決して美談とはいえまい。

不要不急の物以外は買わないこと。
そのことを徹底しないと、
被災地に物資が届かない。

地震と津波の難を逃れ、
避難所で死んでしまっては
それこそ悲劇だろう。
現に数十名の被災者が
避難所で亡くなってしまった。
こんなバカなことがあるか。

昨夜、イギリスからの留学生Daniel
がわが家でいっしょにめしを喰った。
ラーメンとお菓子しか食べないという
極端な偏食家だから、夕食は煮込みラーメン
とポテトチップス(fish'n chipsのつもり)にした。

そのDanielが泣いている。
イギリスの大学から帰国命令が出ているのだ。
原発の放射線漏れのためだ。
「帰りたくないよォ~」とDanielが泣き、
次女が背中をさすりながら慰めている。
奇妙な光景だ。

でも、ラーメンだけはしっかり食べた。
さすが「一風堂」のラーメンが主食と
いうだけのことはある。

このDaniel君、たぶん放射線で倒れる前に、
栄養失調でぶっ倒れてしまうだろう。

ああ、きょうも身体がゆらゆら揺れる。
たび重なる地震のせいで、船酔いみたいに
いつも揺れてるのだ。ゆ~ら、ゆ~ら、ゆ~ら……

2011年3月15日火曜日

君、その不精ひげを剃りたまえ

菅内閣と東電の狼狽ぶりは尋常ではない。
イラ菅は東電幹部を官邸に呼びつけては
怒鳴りちらしているという。

東電の記者会見も無残の一語に尽きる。
担当者4名が雁首をそろえているが、
説明担当の男は寝不足で疲れ切っているのか、
不精ひげに髪もバラバラ。
いかにも尾羽打ち枯らした感じで、
目も虚ろに沈んでいる。

他の3名はそろって頼りなげなようすで、
視点定まらず、資料ばかりめくっていて、
言葉もうわずっている。
世界中のメディアが注視しているというのに、
なんというていたらくだ。

東電といえば世界最大の民間電力会社。
社員数だって4~5万人もいる。
♪あゝそれなのに、それなのに、ねえ……
(唄うたってる場合じゃねえか)

そのエリート中のエリートといわれる男たちが、
雛壇に座り力なく首うなだれている。
まるで紅衛兵に吊し上げられてる
走資派みたいだ。

天下の東電にはこんな人材しかいないのか。
これじゃあ民主党のお粗末なタダ飯食いたちと
どっこいどっこいではないか。

こんな連中に任せておいて、
日本は本当に大丈夫なのだろうか。
株価はとうとう9000円を割りこんでしまった。

外国メディアは、日本国じゅうが放射能に
汚染されているかのように報道している。

日本沈没がいよいよ現実のものとなってきた。
石原都知事曰く、
「我欲に憑かれた日本人への天罰だ……」と。


世界中の人がいま、日本を応援してくれている。

『pray for Japan』
http://www.youtube.com/watch?v=IxUsgXCaVtc&feature=player_embedded#at=16















2011年3月14日月曜日

災い転じて

家を流され、車を流され、肉親まで失い、
どんガラガラと物みなすべてが乱離骨灰(らりこっぱい)。
大地震と津波に襲われた東北地方は、
まるで大空襲のあとの廃墟みたいになってしまった。

おまけに原発まで爆発し、被爆者が出る始末だ。

マグニチュード9.0。
日本人がいまだ経験したことのない
未曾有の大災害だった。

妻や夫、親や子を失ったものの
悲嘆にくれる姿は、見るに忍びない。
「ひとりぼっちにしないでおくれよォー!」
と号泣するオバちゃん。夫と子供らが
目の前で濁流に吞まれてしまったという。

今朝から関東地方は計画停電の実施。
停電なんて、子供の時以来だ。

今朝、「もうムダ遣いはやめよう」と言って、
娘は勤めに出ていった。うん、それがいい。
質素につましく生きていけばいいのだ。

「ではさっそくお父さんの酒代から削らせてもらいます」
女房がさっそく節酒を申しわたしてきた。オイオイ。

今日から一汁一菜の食事する(←いつものことだろ?)。
避難所ではカップヌードルと炊き出しで
みんながまんしているんだもの。

この大災害によって、
日本人は生まれ変われるかもしれない。

戦後の貧しかった頃、日本人は
隣同士で味噌しょう油を融通し合ったものだ。
「お互いさまだから……」
そう言って支え合って生きてきた。

そんな時代をボクはまだ記憶している。
災い転じて福となせ。
みなさん、がんばりましょう。


ところで、スーパーに非常用乾電池を買いに行ったら、
とんでもないことになっていた。電池はおろか、
ラーメンもガスボンベも、パンもボンカレーも、
棚という棚が空っぽなのだ。

レジには長蛇の列。客の入場制限までしている。
これじゃ石油ショックの際の、
トイレットペーパー買い占め騒ぎの再来だ。
何にも教訓になってないや。
嗚呼!

2011年3月10日木曜日

ラジオで脱線

昨夜、TBSラジオの「Dig」という番組に生出演した。
コーヒーが値上がりしてるけど、これからも上がり続けるのか、
国際相場の動向について話を聞きたい、というのである。

相場に関しては通りいっぺんのことしか言えないので、
他の人に当たってくれ、と最初は体よく断った。

でも、ボクの小著『コーヒーに憑かれた男たち』や
『コーヒーの鬼がゆく』を事前に読んでくれているらしく、
「じゃあ、コーヒーと日本人というテーマではどうでしょう」
とディレクター。で、急遽、出演することと相成った。

総合司会は外山惠理さん。TBSテレビのアナウンサーだが、
有名な和菓子店「言問団子」のお嬢さんでもある。ボクにとっては、
『土曜ワイドラジオTOKYO永六輔その新世界』のアシスタント
のほうがお馴染みだ。目のクリクリッとした可愛い女性である。



←ボクに笑いかけているのが外山アナ。
ボクが冗談ばかり言うので、半分呆れてた。










さて肝心のおしゃべりだが。別段緊張することなくふだんどおりしゃべった。
リラックスしたのはいいのだが、調子に乗り「キチガイ」などという放送禁止用語を連発
したのはまずかった。この業界にはコーヒーに憑かれた愛すべき「キチガイ」がいっぱい
いる。つい生放送中であることを忘れてしまった。

結果、休憩時間に、ディレクターからやんわりと注意。
(そういえば、みんな凍りついたような顔してたな、アハハ……)

でも、気にしない、気にしない。そもそもボクは〝言葉狩り〟がきらいで、
本を書く段になるといつも編集者とぶつかってしまう。
片手落ちがだめ、ハゲもだめ。もっと酷いのは百姓→農民、
父兄→保護者、婦人警官→女性警察官なんてのもある。
文章の品位とかリズムが、もうひっちゃかめっちゃかだ。

最下等のそばを〝馬方そば〟というのだけれど、馬方(馬子のこと)
は差別用語だからだめだという。でも「馬方そば」という呼び名は
歴史的事実であって、それを否定したらそもそも歴史のfactが成り立たない。

「今日の眼をもって昨日を論ずるなかれ」と山本夏彦も言っている。
現在の価値観でもって過去の事象を裁いてはいけないのだ。
「慰安婦問題」を俎上にのせ、「人権侵害だ!」「女性差別だ!」と
いきり立つのと同じ論理で、売防法などなかった時代のことを想像すらできない。
愚かという外あるまい。

ボクは差別主義者でもないし、人権を軽んずるものでもない。
ただし差別用語なるものを、とって付けたような美辞麗句に置き換えるより、
歴史を今に伝えることのほうがよほど大事だと思っている。

だいいち放送禁止用語の宝庫である古典落語がまっ先に亡びてしまうではないか。
いや、もう半ば亡びているだろう。つまり日本の貴重な文化遺産が跡形なく亡びてしまう、
ということなのだ。

ラジオのスタッフに罪はないのだろうけど、
マスコミに蔓延しているこの不毛な〝言葉狩り〟を
もうそろそろやめにしたらどうなんだ。いったい何に怯え、
何に対して遠慮しているのだ。
物書きのはしくれの、そのまたはしくれとして、
ひとこと苦言を呈しておきたいのだ。


放送終了後、タクシーで帰宅したら、女房から、
「鼻をすする音とため息が多すぎる」
と苦言を呈された。ああ……(またため息)

ため息は命を削る鉋(かんな)かな (串田孫一)



※追記
2日後、東日本大震災起きる。










2011年3月6日日曜日

コンビニ強盗

胸囲を測ったら112センチあった。←腹囲はナイショ
日本人の平均が84センチ前後というから、
胸板は厚いほうだろう。←面の皮も厚いという声も

格別な運動をしているわけではない。
週2回、近所のプールで泳いでいるだけだ。
水泳はパンツ一丁でできるから、
とにかく安あがりでいい。

今度新しくフィンガーパドルという道具を買った。
両手指にはめるナイロン製の水かきで、
腕と肩により負荷がかかる。

これをつけて泳ぐと、筋肉がすぐパンパンになる。
カエルになったみたいにスイスイ泳げる、
という代物ではない。むしろバランスを
とるのがむずかしい。

これ以上ムキムキになってもしかたがないのだけれど、
今の練習法のままでは、これ以上タイムが伸びない。
となれば、モチベーションも上がらない。

もうすぐ還暦になろうっていうのに、
タイムもへちまもあるまい、と心の片隅では
思っている。だけど、やるからには
少しでも上をめざしたい。ただそれだけ。

長く患った風邪もようやく治りかけてきた。
女房や娘たちに日頃から「風邪に気をつけろ!」
と口酸っぱく言ってる当の本人が、
まずまっ先に風邪をひく。いつものパターンだ。
父親の権威などすでに地に堕ちている。

今年は花粉症のほうは大丈夫そうだ。
でも用心のため、外出時はいつもマスクをする。
それにサングラスと野球帽。

「まるでコンビニ強盗みたいですね」
近所の奥さんにそう言われた。

2011年3月1日火曜日

スカイプごっこ

フランスに帰国したAlexiaとスカイプをした。
スカイプskypeというのはインターネットの無料電話のこと。
と、ミエ張って知ったかぶりをしてみたが、
どんな仕組みなのか、サッパリわからん。
相変わらずパープリンなアナログおやじであります。

むかしは外国に電話するなんて考えられなかった。
言葉もできないし、だいいち通話料が高すぎた。
たまにかかってきたりすると、頭の中の料金メーターが
ビューンとはね上がり、「早く切らねば……」という
強迫観念に押しまくられ、生きた心地がしなかった。

ところがどうだ。このスカイプを使えば、
世界中のだれとでも無料で話ができる。
それどころかカメラを据えつければ、
互いの顔を見ながら通話ができる。
まさに魔法のような電話なのである。

久しぶりに見るAlexiaはコスプレ好きの変態少女ではなく、
ごくふつうの女の子だった。カメラの前にはパパとママもいた。
「Bonjour!  はじめまして」
ボクが得意のフランス語(ンなわけねーだろ)で挨拶すると、
パパとママははにかんだような笑顔を見せた。

「リッパナオヒゲデスネ。ヨクニアッテマス」
あっちのママがボクの髭をほめあげた。
「Merci! あなたもお美しいですよ」
しばし尻がムズ痒くなるようなエールの交換だ。

フェイスブックといいスカイプといい、
世の中、ほんとに便利になった。
便利ついでに革命まで起きた。

〝ネット革命〟でチュニジアとエジプトがひっくり返り、
今まさにリビアがその二の舞になろうとしている。
中国や北朝鮮は今ごろ戦々恐々だろう。
ザマミロ、である。

ああ、恐るべしインターネット!