2009年12月25日金曜日

睦言バンザイ!

記者という稼業を長年やっていると、
面の皮がだんだん厚くなってくる。
相手がどんなにエライ人でも、
またどんな有名人であっても、
それほど動じなくなる。

新人の頃はそうではなかった。
もともと小心者で、人見知りもした。
今でもコアの部分はたいして変わっていないと思う。

が、自分を変えたい、もっと強くなりたいと念じ、
ムリに強がっているうちに、自分は強い人間であると
いつしか錯覚するようになる。その錯覚の積み重ねが、
少しずつホンモノの強さに転換していくような気がするのだ。

つまり強がりや痩せ我慢の繰り返しが、人間改造の
大きな原動力になる、ということだ。

薩長連合の立役者となった坂本龍馬には、
ひとつの流儀があった。
その1つがこれだ。
《義理などは夢にも思うことなかれ。
身をしばられるものなり》

そしてこんなのもある。
《ひとに会うとき、もし臆するならば、
その相手が夫人とふざけるさまは如何ならんと思え。
たいていの相手は論ずるに足らぬように見えるものなり》

これには笑った。そりゃそうだろう。
閨(ねや)でじゃれ合ってる姿を想像された日には、
どんな高徳の士でも、アホに見える。

この龍馬のアドバイスは、新人記者だった私には
福音のように思えた。そして、
今でもこの金言を拳々服膺している。

世の中には、居丈高で尊大な人間がけっこういるものだ。
もちろん私の住むアパートにも何人かいて、
おつき合いするのにホトホト苦労する。
で、そんなとき、龍馬の言葉を思い出しては
気をまぎらせるのである。

いつもエッラそうな、Hさん、Wさ~ん!
奥さんだけにはやさしくしてね!

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