2011年1月29日土曜日

敵もサルもの

わが家はにぎやかな一家だと自分でも思う。
節分の夜は、窓という窓から
「鬼はァ~そとォ! 福はァ~うちィ!」
と、大声でバラバラと豆をまく。

サッカーアジアカップの日韓戦ともなると、
「よし、行けいけいけェ~。ばかッ! 何やってんだよ」
「キャーッ、あっち行って! だめ、来ないでェ~ 」
「ヤッターッ、どうだ、思い知ったかァ!」
そのうるさいこと。

夏なんか、窓を開けっ放しにしてるから、
近所中にまる聞こえ。たぶん、「呆れはてた一家だ」と
みんなして噂していることだろう。

サッカーアジアカップの準決勝では、
韓国選手が猿の物マネをして日本人を侮辱したと、
日本よりむしろ韓国内で物議をかもしているようだが、
あの物マネが日本人を小バカにしたものだとは、
寡聞にして知らなかった。変わったパフォーマンスだなァ、
とは思っていたのだけれど……

ボクの刎頸の友(古いね、どうも)に、
NHKテレビは『テレビでハングル講座』で
講師をつとめるチョ・ヒチョル先生がいる。
以前は近所に住んでいて、
家族ぐるみのつき合いをしてきた仲だ。

来週、久しぶりに会う予定なので、
「日本人はやっぱり猿ですか?」と聞いてみるつもりだ。
チョさんのことだから、たぶん「当然でしょう」
と真顔で答えるはず。ウフフフフ……今から楽しみだ。

2011年1月23日日曜日

雪隠づめ

昨日から泊まっているフランス人留学生のAlexiaは、
日本に来てから半年以上、トイレのウォシュレットを
使わなかった。

いや使えなかった、といったほうが正確だろう。
お尻をお湯が洗ってくれる、というシステムを
そもそも知らなかったのだ。

どうやって使うのか「聞くのも恥ずかしかった」というAlexia.
花も恥じらう、うら若き娘であれば当然のことだろう。
で、わが家に来て初めて、女房から懇切丁寧な指導を受け、
世の中には「こんな便利な物があるのか……」と感激したという。

日本に来る留学生たちは、皆そろってお尻を洗ってくれる
ウォシュレットに驚き、そして感動し、科学立国ニッポンの
底力を思い知るという。←少し大げさか(笑)

どうしてこんな便利な物が外国にないのかというと、
日本の水は軟水だけど、外国の水は多く硬水のため、
細いノズル部分がカルシウム分で詰まってしまうのだという。

Alexiaは2週間後にいよいよ帰国する。
日本が好きで、日本の草食系男子が大好きで、
「日本にずっといたい」と半べそをかきながら訴えるAlexiaだが、
それは叶わぬことなので、せめて半日ばかり雪隠づめになって、
ウォシュレットのありがたみをしみじみ胸、
ではなくその桃尻に刻みこんでいってほしいと思う。

ちょっぴり天然ちゃんで、甘えん坊で、
どっちかというと畸人変人の部類に属するけど、
礼儀正しいとってもよい子。
Alexiaと尻合えて?ほんとうによかった。


2011年1月19日水曜日

ニセモノ万歳!

酒と同じくらいコーヒーが好きで、
日に5~6杯は飲む。女房は酒がダメで、
もっぱらコーヒーをがぶ飲みする。

数年前、牛肉偽装事件とか汚染米不正転売事件
といった産地を偽装する事件が続出したが、
コーヒーの世界にも似たような話がいっぱいある。

たとえば、最高級品と崇めたてまつられているジャマイカの
ブルーマウンテンコーヒー。世界中で唯一日本人だけが
ありがたがっている不思議なコーヒーなのだが、
販売量は輸入量の100倍(1000倍という声も)といわれている。
これはもうコーヒー業界のジョーシキだ。

味のバランスはいいけれど、個性に欠けるブルマンは
比較的偽装しやすいといわれている。替え玉に使われるのは
キューバ・クリスタルマウンテンとかハイマウンテンといったもの。
同じカリブ海系のコーヒーだから味も香りも似ているのである。

ブルマンと並び称される高級品のハワイ・コナも、
15年前に「ハワイコナ・スキャンダル」と呼ばれる偽装事件を
引き起こした。複数の有名な地元生産者たちが、安い中米の
コーヒーを袋に詰め直し、ハワイから再出荷していたのだ。
流通していたニセモノはホンモノの10倍もあったという。

この話には実はオチがある。
詰め直したニセモノのほうが
ホンモノよりはるかにうまかったというのだ。

ブルマンの替え玉だってバカにしたものじゃない。
ニセモノとはいえ、むしろブルマンよりうまいくらいで、
ボクなんかはキューバやハイマウンテンなどニセモノの大ファン。
ああ、浜の真砂は尽きるとも
世にニセモノの種は尽きまじ……ってか?

これがニセモノ天国の中国だったら、
「えっ? 何がいけないわけ?」って、逆に凄まれたりするんだろうね。
とにかく金儲けのためには倫理も道徳もかなぐり捨てるというお国柄。
もうめちゃくちゃですよ、あの国は……と中国人留学生(とても優秀で可愛い娘さんでした)
がいなくなったとたんに悪口をいう。懲りない男だねえ、ホントに。



←その昔、仕事でブルマンの農園を見に行った
ことがあります。コーヒーの樹は山の急斜面に
植えられていて、収穫が大変そうでした。現地で
最も有名な日本人俳優はソニー千葉(千葉真一)
でした。当時はブルース・リーが流行っていた時代で、
ソニー千葉は空手遣いとして知られていたんです。

2011年1月17日月曜日

コーヒーブレイク

娘の友人Hがシアトルに行った折、スターバックス1号店で
買ったコーヒー豆をみやげに持ってきてくれた。

スタバは日本でもお馴染みで、隣町にある店で買った豆を
ペーパードリップで飲んだことがあるが、味は今ひとつだった。
まず鮮度が悪い。日本では焙煎せず、アメリカで焙煎したものを
船便で運んでいるから、陸揚げされたときはすでに数カ月経っている。

ドリップで淹れる場合、焙煎してから1週間以内の豆は、
湯を注ぐとハンバーグみたいに隆々と盛りあがるが、
鮮度の悪い豆だと、クレバスみたいに逆に大きくへこんでしまう。
コーヒー豆の鮮度を測る目安は意外と簡単なのだ。

で、また以前のようにへこむだろうと思ったら、
みやげにもらったコーヒーはへこまず少し膨らんだ。
焙煎したての豆を帰国早々に届けてくれたので、
まだ鮮度がキープされていたのだ。

フレンチに焙かれたコーヒーをドリップで落として
飲んでみたら実にうまかった。3種類の豆のブレンドで、
コーヒー通なら分かるだろうが、以下がその配合だ。
●コロンビア・ナリーニョ←(拡張子?は栽培地区名)
●グアテマラ・アンティグア
●コスタリカ・トレスリオス
いわゆる名門栽培地区で育てられた
スペシャルティコーヒーである。
つまりは最高品質のコーヒーというわけだ

ついでだが、コーヒーは今、世界的な供給不足で
近く一斉に値上がりすると各紙が報道している。
わが家は通常は煎り豆を挽いて飲んでいるが、
インスタントも愛飲している。

ぶっちゃけ(今風を気取って)、どこのブランドがうまいのか?
ボクはずばりキーコーヒーの「スペシャルブレンド・青ラベル」
をお奨めする。値段が安い上に味はけっこう上等なのだ。

なぜキーコーヒーがいいかというと、使われているロブスタ
(インスタント用の品種で、アラビカ種に比べるとやや劣る)
の質がいい。ネスレなどは質の悪いベトナムのロブスタを
大量に買い占め、それをさらに買い叩いて使っている。

宣伝費をかけているから、ネスレやAGMのコーヒーは
〝違いのわかる男のコーヒー〟だと思っているかもしれないが、
中身は低級品だ。

一方キーの使っているロブスタはインド産のもので、
これはジャワ産に次ぐ良品である。

ラベルの原料表示にはブラジル、コロンビアとしか書いてない。
が、インスタントコーヒーはロブスタが主体なことは世界の常識だ。
キーコーヒーからお金をもらっているわけではないけれど、
国産品の中にもスグレモノがあるのであえて紹介してみた。

ちなみにインスタントコーヒーを発明したのは日本人である。

2011年1月14日金曜日

おむすびコロリン

わが家にもタイガーマスクが来てくれないかしら。
いや実はボクはあのマンガ見たことないから、できれば
月光仮面とかナショナルキッドがいいな。いやいや正直いうと、
幸福の王子でも傘地蔵でも、おむすびコロリンのネズミでも、
何だっていいんだ。

ランドセルはもう要らないので、できれば現金か米がいいな。
それもパールライスとかいうんじゃなくてブランド米にしてほしい。
それも精米したてのやつ。

白菜とか野菜を持ってこられても困るな。
鍋とか野菜炒めばかりじゃ飽きちゃうもの。
それに、うちには草食系はおらへんし。

それにしても日本人の性向はちっとも変わってないな。
相変わらずの集団主義で、大勢がある1つの方向へ行くと、
われがちにみんながそっちに向かって駆け出していく。

タイガーマスクの正体は、実は貧乏人なんじゃないかしら。
金持ちって、困ってる人の気持ちが案外分からないというから。
それに、金持ちほどケチだし。

寄付文化のない日本じゃ、結局、タイガーマスクみたいにして
善意を表現するしかないんだね。アメリカならいっぱい寄付した人は
税金の一部を免除する仕組みになってるけど、
日本じゃその基準がきびしくて、なかなか控除してもらえない。

年間の寄付金の額がアメリカの100分の1というのは、
結局税制の非寛容さが招いてることなんだろうね。

朝起きたら、玄関前に米俵が積んであって、
中を開けたら金銀小判がザックザク、という具合に
ならんもんでしょうか。善意あふれる皆々様、
ぜひともこの夢を正夢にしてくださいな。

2011年1月11日火曜日

才色兼備

(つづき)
日中間の微妙な問題は留学生の前では封印しておく。
これがわが家の方針だった。が、みごとに破られた。

「電車の中で、お年寄りに席を譲ったら、当人ではなく、
まったく関係のないおばさんが、『あんたどこの国から
来たんだい?』と聞くんです。中国ですと答えたら、
いきなりノーベル平和賞の問題を持ち出され、中国政府の
対応は非常にまずい、とそのおばさんは言うんです……」
と留学生のLさん。

わが家でもいろんな話をしているうちに、つい政治がらみの話になり、
勢い尖閣諸島沖の問題にもふれざるを得なくなった。
彼女も決してそうした話題をいやがっているようすはなかった。

彼女は胸をはって言ったものだ。
「尖閣は中国の領土。それを証明する文書があります」と。

いや、あの島々は国際的にも認められた日本の領土で、
中国や台湾が領土権を主張しだしたのは、イラクの埋蔵量に
匹敵する石油が海底に眠っていることが分かったからなんだ……。

話題はさらにエスカレートし、天安門事件やチベット問題にも波及。
彼女はもちろん正当性を主張したのだが、それらをひとつひとつ、
それもやんわりと突き崩していくと、彼女はだんだん言葉少なに。
「ぜんぜん知りませんでした……」
といいつつも、まだ半信半疑のようす。

外国からのお客さんに対してこの種の話題を持ち出すことの
非礼は十分心得ている。でも彼女自身、「日本人は中国人がきらい」
という事実を、各種の世論調査などを見て知っている。
なぜ中国および中国人をきらうのか、知りたがっていたのだ。

日本留学は果たしたけれど、いまだ日本人の友だちができず、
大学でも寮でも、いつも中国人の仲間たちと話してばかり。
日本人と、これほど真剣に話をしたのは初めてだという。

「まず何でも話せる日本人の友だちを作ることだね」
そういうと、彼女は大きく頷いた。

以上の〝日中論争〟は、すべて日本語で行われた。来日してから
まだわずかに4ヶ月。上海の大学で学んでいたとはいえ、
これだけややこしい話を、日本語で丁々発止とやり合えるところがすごい。
中国おそるべし、とあらためて感じ入った。

2011年1月9日日曜日

宗旨替え?

昨夜から、中国人留学生をあずかっている。
山西省生まれで、上海外国語大学に通い、
1年間早稲田大学で日本語や日本文学を学ぶのだという。

昨日は朝から叔父の葬式で、秩父から帰ってきた時はもう暗かった。
葬式というものは心身ともに疲れるもので、感傷的になっている分、
よけい疲れも増している。
(どんな子だろう……)
帰りの車を運転しながら、留学生のことをあれこれ想像していた。

ブログに何度も書いているように、ボクは中国ぎらいを公言している。
坊主憎けりゃ、で実は中国人にもあまり好感を抱いていない。
銀座あたりを歩いていて、周りから中国人観光客の騒々しいしゃべり声が
聞こえてくると、ひどく不機嫌になってしまうのが常で、中国人が
日本の不動産を買い漁っている、などというニュースを耳にすると、
ほとんど血が頭にのぼってしまう。

日本に来る留学生の6割は中国人で、アメリカも同じような状況だという。
今やどの国にも洪水のように中国人が押し寄せているのである。

「ただいまァ……」
力なく帰宅を告げたボクは、トボトボした足取りで、ふと台所をのぞいてみた。
すると女房と留学生が肩を寄せ合うようにして何やら料理を作っている。
ふり向いた留学生はやや緊張した面持ちながら笑顔で挨拶した。
「初めまして。◎△です。お世話になります」
「…………(ポカンとしてる)」

グラマーな美人だった。
途端に腰くだけになってしまったボクは、
いっぺんに中国人が好きになってしまいそうな予感におそわれた。
と同時に、今年も「トホホな1年」になるだろうと確信した。

(つづく)

2011年1月7日金曜日

天の邪鬼が好き

「みんなが賛成した意見なら、きっと間違っているだろうから、
君ひとりでも反対しろ」と、何かの本に書いてあった。
たしか中学生時代に読んだ本で、筆者の名前も
今は忘れてしまった。

ボクはこの言葉に共感するところがあって、
今でも拳々服膺しているのだが、中学時代に、
友人のHから「お前はいつも反対ばかり。天の邪鬼め!」
といわれ、ショックだったのを覚えている。

ユダヤの社会には、「全員一致なら、その決定は無効だ」
とする教訓があるという。あるひとつのテーマをめぐって、
全員一致で意見がまとまる、なんてことはあり得ない。
もしもそうであるなら、誰一人として真剣に考えていない証拠である、
とみなされるのである。

ユダヤの子供たちは、小さい頃からこの教訓をたたき込まれ、
「全員一致の意見なら絶対に間違いだ」と教えられて育つという。
一人一人が真剣に考えれば、いろんな意見が出て当然だ、
と思っているからで、ユダヤ人が生きのびるために身につけた
歴史の教訓というわけだろう。

一方、和を尊ぶ日本人は「全員一致」がことの他お好きのようだ。
文化の違いや附和雷同しがちな国民性というのもあるのだろうが、
ひとり反対意見を述べたりすると、周囲から刺すような眼差しを向けられる。

ボクは自他共に認める天の邪鬼。刺すような眼差しは
まんざら嫌いでもない(快感だったりして)ので、
これからもユダヤ的な考え方を実践していきたいと思っている。
やっぱビョーキだわ。

2011年1月2日日曜日

♪白地に赤く……

新年明けましておめでとうございます。

写真は長野県松本市内の元旦の写真です。
目抜き通りには日の丸がはためき、
商店はもちろんのこと、ふつうの民家にも
白地に赤く染まった日の丸が翩翻とひるがえっていました。

 旅行者の僕たちにとっては、
とても新鮮で、心の洗われるような
光景でした。

でも、ちょっぴり悲しい光景でもありました。
だって、旗日に国旗を掲げるなんて、
どこの国でもやっていることなのに、
日本はその当たり前のことをやって
いないからです。

僕がこどもの頃は、いつでも
どこにでも日の丸がありました。

僕は旗竿の先につける金の玉
(あれって呼び名があるのかしら)
をていねいに磨く係でした。
磨いていると、いつも何かしら
誇らしげな気になったものです。

南に下って塩尻の奈良井宿を訪ねたときも、
やはり日の丸が麗々しく掲揚されていました。

これだけでもう、長野県のことが好きになってしまいます。
♪白地に赤く日の丸染めて、ああ美しや日本の旗は――

その美しい日本の旗は、東京オリンピックの頃を境に、
なぜか忌むべきものとなってしまいました。
その旗の下で多くの将兵が血を流したからだというのです。

でも、どの国の旗も国歌も血に染まっていないものはありません。
栄光も恥辱もひっくるめた上で、自国の国旗国歌を仰いでいるのです。

美しい日本の旗がどの家にも、ごくふつうに翻る日を夢見て、
今年も元気に過ごしたいと思います。
皆様、よろしくお願いいたします。