2010年2月23日火曜日

蜜の味と鴨の味

スポーツ選手は、とかく「正々堂々」とか「フェアプレイ精神」を云々され、
あまつさえ高潔な人格を求められたりするが、朝青龍の例にもあるように、
それはあくまで「そうあってほしい」という願望であって、
現実は逆の場合のほうが多い。

そのことはサッカーやアイスホッケーを見れば一目瞭然で、
試合中は反則技のオンパレードとなる。
審判さえ見ていなければ、選手たちはどんな汚い手だって使う。
それがスポーツ競技のまぎれもない現実だ。

蹴る、たたく、肘打ち、頭突き、ツバを吐く……。
有名なのはマラドーナの「神の手ハンド」だろう。試合後、彼は、図々しくも
「ゴールはマラドーナの頭と神の手のおかげだ」と空っとぼけた。
負けたイングランドのゴールキーパーは、
「マラドーナのふるまいはスポーツマン精神にもとる」と非難したが、
なに、立場が替われば、彼だって同じことをするに決まってる。

スポーツマンは正々堂々としていなければならない?
そんなものは嘘っぱちで、建前に過ぎない。

読売新聞のコラムに独語のSchadenfreude(シャーデンフロイデ)
という言葉が出てきた。トヨタたたきに狂奔するアメリカ人の深層心理に
当てはめた言葉だというのだが、意味は「他人の不幸を喜ぶ気持ち」だ。
中国語では「幸災楽禍」、日本ではさしずめ「人の不幸は蜜の味」とか
「隣の貧乏は鴨の味」といったところだろうか。

バンクーバーオリンピックの各競技を見てつくづく思うのだが、
日本選手のライバルたちが転倒したり、失格になったりすると
このSchadenfreudeがむくむくと頭をもたげ、ついニンマリしてしまう。
おまえは他人の不幸を喜ぶのか? 面と向かってそう問われると、
気恥ずかしさとバツの悪さを感じはするが、
これが正直な気持ちなのだからしかたがない。

浅田真央とキム・ヨナは良きライバル同士だ。
キム・ヨナは可愛くて妖艶でスタイルも抜群、
スケベなおやじとしてはどこか幼稚な真央よりも
色っぽいヨナのほうが断然好みなのだが、
日本人としてはやはり真央ちゃんを応援せねばなるまい。
で、キム・ヨナにはたいへん気の毒なのだけど、
ジャンプでこけ、ステップでこけるという尻もちの3連発を期待したい。

一方、韓国人はこれとまったく逆のことを考えているはずで、
だからどちらも正直で、健康なのである。
すばらしい演技にはもちろん拍手を惜しまぬつもりだ。
でも、日本選手のライバルたちには、ことごとくズッコケてもらいたい。
それも再起不能なくらいに。

こう考えると、Schadenfreudeこそ人間というものの本性を
正直に、あけすけに語った言葉だと思うのだけど、
あなたはどう思う?

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