2012年12月21日金曜日

雪の上で眠りたい

朝から晩まで、原稿書きに追われている。
ここ数年は、自分の本を書かずに他人の本ばかり書いている。
奥付に名前が出るから、いわゆるゴーストライターとはいえまいが、
やっていることは同じで、地味な黒衣(くろこ)の仕事である。

その黒衣仕事が年末になって複数重なってしまった。
あちらが立てばこちらが立たず。どうにも八方ふさがりの状態だ。
同時に進行すればいいじゃないか、と言う人があるかもしれないが、
千手観音じゃあるまいし、いっぺんにいろんなことはできない。
凡人の悲しさか、ひとつずつ片付けていくしかないのだ。

そんなに忙しいのに、ブログなんか更新していていいのか、
とお叱りを受けそうだが、なにこんなもの、ものの数分で書いてしまう。
気分転換にはもってこいなのだ。

40年、活字をこねくり回して銭を得るという生活を繰り返してきた。
考えてみれば、言葉という符丁を用いて、妙な理屈をひねり出し、
世間を煙に巻いてきた。まさしく虚業というやつで、
ハナから商売往来には載っていない。

天職かと聞かれても困る。他の仕事を何ひとつ知らないからだ。
仕事がおもしろいかと問われれば、
「まあ、おもしろいと云えばおもしろいが、
つまらないと云えばこれほどつまらない仕事もない」
と答えるだろう。物書きというのは、実にとらえどころがない。

それにしても疲れた。右手首が軽い腱鞘炎を起こし、キーボードをうまく叩けない。
肩も猛烈にこっている。ギックリ腰が完治していないので、コルセットを巻きながら
パソコンに向かっている。目もしょぼしょぼして、画面の字がちらつく。
いよいよ体力と知力の限界なのかもしれない。

女どもはのんきに旅行に出かけ、2~3日帰ってこない。
ふつうなら万歳を三唱し、すぐに飲みに出かけるか、友達を呼んでドンチャン騒ぎ
をやらかすのだが、今度ばかりはそれもできない。もしそれをやったら、
担当の編集者が刺客を送り出すだろう。

ああ、なんて因果な商売なのだ。
おれの書いた文章は少しは世の中のお役に立っているのだろうか。
最近はそんなことばかり考える。たぶん疲れているせいだ。

今晩は雪が降るかもしれないと報じていた。
雪が降ったら、立ち小便をして「バカヤロー!」という字を書きたい。
誰に向けて発するわけでもない、生きている手応えを感じたいだけだ。

2 件のコメント:

一人悦に入る女神 さんのコメント...

労様こんばんは

お仕事お忙しいのですね。お疲れ様です。

雪が降ったら、甥っ子と鐘の鳴る広場でそり遊びをします。たくさん降って欲しいなあ...。

わたくしも、そろそろ旅に出たくなりました。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

女神様

おはようございます。

雪は降りませんでしたね。
心が洗われると期待したのですが……

旅がしたいですか。若い人はいいですね。
ボクはどこにも行きたくない。
部屋の中で、じっと冬眠していたい。
旅に出るとすれば、死出の旅でしょうか。

なんか、だいぶ疲れているようです。