2012年7月17日火曜日

水に流す

世界の「民族ジョーク集」をぺらぺらめくっていたら、こんなのがあった。
なかなかどうして本質を突いているので感心する。
三すくみ
自分の国の悪口を云うのが日本人
日本人の悪口を云うのが韓国人
日本人と韓国人の悪口を云うのが中国人

恩讐
中国人は恩には恩、仇には仇で返す
韓国人は恩には仇、仇にも仇で返す
日本人は恩には恩、仇にも恩で返す

日本には「水に流す」という言い方がある。
「過ぎてしまったことはすべて水に流そうじゃないか」
などと云い、過去のわだかまりを互いに消そうと相つとめる。
菊池寛の『恩讐の彼方に』という作品が脈々と読み継がれているのは、
あの作品に顕れている心情が日本人にピタリと来るからだろう。

済んでしまったことは仕方がない、とする恬淡とした態度――。
日本ではこうした寛仁大度(かんじんたいど)な姿勢が高く評価されるが、
その価値観が世界中どこでも通用すると考えるのはいささか危険だ。
現に韓国人は「従軍慰安婦問題」や「日帝36年」を再三蒸し返し、
「賠償が済んでない」だとか「天皇は謝罪しろ」などと
執拗な抗議を繰り返す。

韓国人による厳格な責任の追及や抗議は、
「禊(みそぎ)」という考え方が支配的な日本人の心情にはおよそ馴染まない。
(過ぎたことを、いつまでゴチャゴチャ言ってるんだ。潔くない連中だな)
多くの日本人はそんなふうに思い、逆に反発を感じてしまう。

こっちとしては、
「過去に迷惑をかけたけど、そのことは水に流し、お互いに友好を深めようよ」
という考えなのだが、韓国人は「何を虫のいいことを。過去の罪科は絶対に水に流さないぞ」
という頑なな態度を変えようとはしない。「恨(ハン)」の国の面目躍如といったところだが、
これでは永久に仲良くなれっこない。

さてドーバー海峡を渡った英国紳士は紳士でなくなる、という諺がある。
七つの海を支配したイギリスは阿片戦争で清国から香港をぶん捕り、
インドさえをも植民地にした。日の丸は血で穢れているなんて云うけれど、
ユニオンジャックの穢れ様ときたら日本などの比ではない。
だからといって、イギリス人が過去の侵略を詫びたかというと、
詫びるどころかいけしゃあしゃあとした態度で超然としている。
その傲然とした態度に気圧されるのか、旧植民地だった国々は
抗議の声すら挙げようとしない。

1997年の香港返還。その際、パッテン総督やイギリスの皇族、政権トップの
誰一人として「155年間の主権侵害をお詫びします」と言ったものはなかった。
インドにおいても同じ。だが中国人やインド人が英国のそうした傲岸不遜な態度に怒りを
露わにしたという話も聞かない。それどころかインド独立運動の指導者ガンジーなどは、
「二度と外国の植民地にはなりたくないが、どうしてもならなくてはいけないなら、
もう一度イギリスを選ぶ」と言ったそうだ。

それにひき比べ、軽々しく頭ばかり下げている日本の政権トップたち。
数百年かけて培った英国の〝旦那主義〟をマネようとしてもムリだろうが、
周辺諸国にただペコペコするばかりではあまりに能がないし情けない。
勝てば官軍と云ったら身も蓋もないが、敗軍の日本にだって一片の理はあったのだ。
だからというわけではないが、イギリスみたいに歴史上の善悪正邪に関しては
超然とした態度で臨む、といった図々しさも時には必要なのではないか。

恨みは忘れず、末代まで語り継ごうとする韓国と北朝鮮。
「水に流す」「和を以て貴しとす」といった価値観を大事にするわが日本国。
似てそうで似てない隣国同士。あらためて「近くて遠い国だな」と思わずにはいられない。































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