2012年6月19日火曜日

パトリオットへの道

日本人の海外留学生が激減しているという。
特に男子学生が内向き志向で、
お母ちゃんのオッパイが恋しくて、なかなか離れようとはしない。
代わりに伸びているのが中国人と韓国人学生で、
国の活力の違いがそのまま留学生の数に現れている。

わが家の娘2人は高校2年時に1年間留学している。
娘の従兄弟たちがすでに留学(カナダ、フィンランド)していたため、
「私たちもそのうち留学させられるかも……」
と覚悟だけは早くからできていたようだ。

AFSによって派遣された先は、長女がイタリアで次女がアメリカ
AFSというのは高校留学と異文化交流を促進する非営利団体の
世界的ネットワークで、その活動はボランティアによって支えられている。

だから娘を預かってくれたホストファミリーは両家とも100%ボランティアで、
留学協会からはびた一文ももらっていない。ただでメシを食べさせ、
寝場所を与え、旅行まで連れて行き、家族同然に扱う。だからわが家も、
ささやかなご恩返しとして、AFSの短期留学生を時々預かっている。

第一次世界大戦中、傷病兵の救護輸送に携わったアメリカのボランティア組織
American Field Service(アメリカ野戦奉仕団)の活動が起源とされるAFSは、
すべて非営利で運営され、世界中で4万人以上のボランティアがその活動を支えている。

わがブログへの鋭い突っ込みでお馴染みの胡塞齋氏はこのAFS日本協会の
埼玉支部長で、海外からの留学生からは〝鬼の支部長〟として恐れられている。
なにしろ来日した留学生はむりやり柔道場に連れて行かれ、
有段者の支部長から直々に、ワンハンドバックブリーカーやら脳天逆落としといった
柔道ならぬプロレスの荒技を食らわされるのだからたまらない。
「ニッポン人をなめんなよ!」
鬼の支部長のメッセージはこの一言に尽きる。
実に単純でわかりやすい。

AFSのリターニー(留学経験者)は数多くいるが、有名人といえば胡塞齋氏以外にも、
自民党の川口順子元外相、塩崎恭久元官房長官、旧大蔵省財務官の榊原英資、
同時通訳の鳥飼玖美子、歌手の竹内まりやなどがいる。

留学の目的はそれぞれだろうが、ボクが何より重視するのは異文化体験による
視野の拡大だ。それに外から客観的に日本を眺めるためか、みな愛国者に
なって帰ってくる。胡塞塞氏などは典型的なpatriot(愛国者)で、
To be international , be national〟の精神をそのまま実践している。

高校留学経験者ではないが、コメント常連のNICK氏も愛国者のひとりだ。
大手の鉄鋼商社マンで英語はペラペラ。家族で6年ほどアメリカ東部で過ごしたことがある。
夫人のK子女史はカナダへの高校留学経験があり、TOEICは990の満点。
わが娘(次女)は中学~高校と、個人レッスンながら、このK子夫人に英語の
イロハを徹底的に鍛えられ、おかげで恩師と同じくTOEICは満点、英検1級にも
合格することができた。そんなNICK家では日本語と英語がチャンポンに
なって飛びかっている。実になんとも不思議な家なのである。

洋行帰りが愛国者になる、という傾向は明治の昔からある。
ボクの師匠山本夏彦も、数え16歳で竹林無想庵にむりやり〝拉致〟され、
パリで2年半を過ごす。夏彦のものに偏らない複眼的思考は
おそらく多感な時期のフランス滞在経験がベースになっている。

ボクは年頃の子供を持つ友人たちには、子供を留学させるように
それとなく勧めているが、なかなかウンと言ってはくれない。
「周りにそういう友達がいないみたいでね、肝心の本人が尻込みしちゃってるんだ」
すまなそうな顔して弁解する。何となく分かるような気がする。が、
友だちとお手々つないで留学するわけではない。行くのはあくまで自分ひとりだ。

外国語がしゃべれるようになる、なんてことはほんのオマケみたいなもので、
日本人の憧れる〝国際人〟とは何の関係もない。自慢じゃないがボクなんか、
外国語はからっきししゃべれないが、ガチガチの日本人であるがゆえに、
internationalな人間だと勝手に思っている。

みなさん、1人でも多くの愛国者を育てるために、
お子さんをむりやり外国へおっぽり出しましょう。
あとできっと感謝されますから。


←外国人と交わると、いろいろ教えられる。
世界にはいろんな価値観を持つ人たちが
住んでいるんだな、と認識するだけでも
留学する価値はある。引っ込み思案の
子どもたちも、帰国時にはひと皮剥け、
驚くほど大人になって帰ってくる。
このことはボクが保証します。






4 件のコメント:

言霊師・胡塞齋 さんのコメント...

6月末納期のオニのような仕事を抱え、この二週間、ほとんどネット遊びをしていなかったら、なんという記事が・・・
鬼の支部長は、受入生の生殺与奪権である「早期帰国決定権」を持っているのだと、受入生が埼玉の地を踏んだその日に言って聞かせていますが、イマドキのワカイモノは世界的に蛙の面に小便・馬の耳に念仏・・・まあ、所詮、これだけ企業や宗教団体による留学組織(しかもその多くは隠れ蓑NPO法人)が世間に溢れてしまった今日では、留学できるという事象に対する有難味など無いのでしょう。
労師が仰せの通り、大事なことは語学を学ぶ等ではなく、まさに「異文化を自分の眼で見る」ことであります。そして・・・実は、派遣生として外国を見てくることも大事ですが、各国からの受入生を扱うことにより同じ体験が可能になります。愚生など、21世紀になってから一度も海外に行ったことはありませんが、30カ国くらいの生徒や先生と時間を共にし、国際理解を深めております。
将来、母国に戻ってその国家のエラい人になるであろう受入生が日本を好きになればミサイル1基分くらいの国防効果があるというのが愚生の持論。お子さんを外国へおっぽり出すと共に、そういう受入生を預かるなんてことも是非お願いします・・・どこぞの国と戦争になって完膚なきまでの敗戦となった際、「全ての日本人を抹殺せよ!ただし胡塞齋の一族だけは例外とする」と言うであろう未来のリーダー達が既に何人もいるのでねぇ・・・

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

胡塞齋様


お忙しいところをどうも。

胡塞塞さんの一族だけは例外、とする話は
硫黄島でのバロン西の話みたい。

ロサンゼルス五輪の馬術大障害で優勝した
西陸軍大佐。この西大佐に対し、アメリカ軍は
「バロン西、出てきなさい。
世界は君を失うにはあまりに惜しい」
と投降を呼びかけた。
が、説得むなしく西は戦死。

おそらくもののふの心を持つ胡塞齋さんも
説得に応じず自決し、美に殉じるだろう。
実にカッコいい。

ところで、司馬さんの『風塵抄』を
読んでいたら、こんな一節が。
《胡という語感に、デタラメとか
トリトメナイというひびきが古来あり、
いまでも中国語で、フーホワ(胡話)
といえばたわごと、フーイヤン(胡言)
といえばでたらめ話という意味になる》

胡塞齋の話がおもしろいのは、
フーホワのせい?

胡塞齋 さんのコメント...

はい、胡塞齋の胡はどうでも良いこと。そして、塞はそのどうでも良いことによって八方塞になっていること・・・という意味での「うそくさい」です。

尚、西大佐の生き方こそ、我が目標なのかもしれませんが、俗人ゆえ本当に自決できるだろうか・・・心配です。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

胡塞齋様

偉そうな物言いになりますが、
ボクにはちょっとした規範があります。

実にシンプルなもので、
その行動が「美しいか否か」であります。
その〝美しさ〟はボクが感じる美しさで、
おそらく普遍性はないと思います。

たとえばラーメンを食べるために
行列に列ぶ。
握手をする時に頭を下げる――。

これらはボクから見て、美しくない行為です。
人といたずらに群れるという行為も、
美しくありません。
付和雷同ではなく和して同ぜず、
というところでしょうか。
生来、つむじ曲がりなんです。

胡塞齋さんにも似たようなところが
ありますね。ボクとどこか似ています。
いやむしろ、その規範が厳しい。
〝鬼のIさん〟と呼ばれる由縁です。