津軽地方には「夜這い三段」という言葉がある。
夜這いが一人前になるには3年の修行が必要、の意である。
もともと「求婚(よばい)」と書き、いつの頃からか、
単刀直入に「夜這い」と書くようになった。
夜這って行く、というイメージにはいかにも動物的なおかしみがある。
夜這いの経験はあるか? と問われれば、
もう時効だからいっちゃうが、「Yes」だ。
四六時中発情していた若い頃の話だから、
古女房も笑って済ませてくれようが、
どこかケダモノじみていて思い出すだに恥ずかしい。
今は昔(明治~昭和の初め頃までか)、夜這いのいでたちは半纏に股引、
わら草履に手ぬぐいの頬っかぶりと相場が決まっていた。
で、いよいよ忍び込む段になると、半纏と股引を脱ぎ、ふんどしを外し、
スッポンポンに頬っかぶりという奇妙なかっこうになる。
なぜ素っ裸になるかというと、万が一、親爺や亭主に見つかった時、
泥棒と間違われないためで、ハダカは「夜這いですよ」という印でありサインだった。
泥棒は罪になるが夜這いは罪にならない。見つけた親爺も警察には
突き出さない。親爺にも身におぼえがあるからだ。
戸の開け方から入り方、畳の歩き方、這い方、夜具への入り方、
そして逃げ方と、一人前になるには人知れぬ努力と辛抱が要ったという。
夜這いは〝男の修行の場〟などといわれたが、
たしかにそんな一面はある。恥を知らぬ勇気とやけっぱちの胆力、
そしてオットセイのような絶倫の精力。この三拍子が揃い、
「うおーッ!」と一騎駆けするような匹夫の勇がないと、
敵の本丸を前にしてあえなく玉砕の憂き目を見る。
ピンポーン。
「はァーい、どなた?」
「夜這いです」
「間に合ってまーす」
「…………」
「鍵」というもので個人の生活ががっちりガードされている時代にあっては、
夜這いはニホンオオカミのように遠からず滅びの道を辿るだろう。
いやすでに滅びている。
雑魚寝や夜這い、盆踊りは日本の誇る代表的な性民俗だ。
だいいち宮本常一の『忘れられた日本人』など夜這い話のオンパレードではないか。
「日本料理」の申請もいいけれど、ついでに聖なる「夜這い」も
世界文化遺産の登録に申請してくださいな。
夜這いが一人前になるには3年の修行が必要、の意である。
もともと「求婚(よばい)」と書き、いつの頃からか、
単刀直入に「夜這い」と書くようになった。
夜這って行く、というイメージにはいかにも動物的なおかしみがある。
夜這いの経験はあるか? と問われれば、
もう時効だからいっちゃうが、「Yes」だ。
四六時中発情していた若い頃の話だから、
古女房も笑って済ませてくれようが、
どこかケダモノじみていて思い出すだに恥ずかしい。
今は昔(明治~昭和の初め頃までか)、夜這いのいでたちは半纏に股引、
わら草履に手ぬぐいの頬っかぶりと相場が決まっていた。
で、いよいよ忍び込む段になると、半纏と股引を脱ぎ、ふんどしを外し、
スッポンポンに頬っかぶりという奇妙なかっこうになる。
なぜ素っ裸になるかというと、万が一、親爺や亭主に見つかった時、
泥棒と間違われないためで、ハダカは「夜這いですよ」という印でありサインだった。
泥棒は罪になるが夜這いは罪にならない。見つけた親爺も警察には
突き出さない。親爺にも身におぼえがあるからだ。
戸の開け方から入り方、畳の歩き方、這い方、夜具への入り方、
そして逃げ方と、一人前になるには人知れぬ努力と辛抱が要ったという。
夜這いは〝男の修行の場〟などといわれたが、
たしかにそんな一面はある。恥を知らぬ勇気とやけっぱちの胆力、
そしてオットセイのような絶倫の精力。この三拍子が揃い、
「うおーッ!」と一騎駆けするような匹夫の勇がないと、
敵の本丸を前にしてあえなく玉砕の憂き目を見る。
ピンポーン。
「はァーい、どなた?」
「夜這いです」
「間に合ってまーす」
「…………」
「鍵」というもので個人の生活ががっちりガードされている時代にあっては、
夜這いはニホンオオカミのように遠からず滅びの道を辿るだろう。
いやすでに滅びている。
雑魚寝や夜這い、盆踊りは日本の誇る代表的な性民俗だ。
だいいち宮本常一の『忘れられた日本人』など夜這い話のオンパレードではないか。
「日本料理」の申請もいいけれど、ついでに聖なる「夜這い」も
世界文化遺産の登録に申請してくださいな。
2 件のコメント:
勞さん
愚輩が読んだか、聞いたかしたのは
「”呼び合い”がいつの日か”夜這い”になった」と言う事でした。
夜半にこっそり”呼び合い”すなわちラブ・コールしあって、未婚の男女が合意の上で行為に至った事と理解してました。
そういえば”通い婚”と言う行為もあったと聞きましたが”呼び合い”の一種かな?
匿名様
求婚のために女のもとに通うことを
古来、「よばふ」といったそうです。
万葉集に
「人国(ひとくに)に求婚(よばい)に行きて太刀の緒も 未だ解かねばさ夜明けにける」
とあります。妻問い婚が一般的だった頃の歌です。
男が女に呼びかけ、
求婚する(呼ばふ)ことが語源と聞きます。
昔は結婚しても男は女のもとに
通ったんですね。
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