2012年1月26日木曜日

作家と人格

第146回芥川賞を受賞した田中慎弥の記者会見が話題になっている。
「(受賞は)当然」みたいなことを言ったかと思うと、
「もう、会見やめにしませんか?」と終始ダダをこねまくった。

実際、会見中の田中は駄々っ子みたいに口を尖らし、しきりに身体をひねっていた。
わずか8分間の会見中に3度「やめましょうよ」と言っている。

その前に、芥川賞選考委員の1人だった石原都知事が、
今年度の候補作を総じて「ばかみたいな作品ばかり」と酷評した経緯がある。
田中の受賞作『共喰い』についても「読み物としては読めたけど、
ある水準に達していない」と辛口の評。これに田中はカチンと来た。

で、「都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」のゴーマン発言が飛び出す。
記者たちが「すわッ、ご注進!」とばかりに都知事へ報告、反論を求めると、
石原は「まァ、作家なんてのはそのくらいがいいんだよね」と軽く受け流した。
非難合戦を期待した記者たちは、拍子抜けしてしまった。

ボクはかつてネット上のコラム邱永漢氏が主宰)で、
《荷風や藤村は人格低劣な男だったが、
残された詩や文章は喩えようもないくらい美しい》
と書いたことがある。

そしたら読者から、
「実の姪を妊娠させてパリへ逃げ、その姪と実兄が極貧にあえいでいた時も
知らんぷりしていた(藤村のような)男が、たとえ美しい詩を書き残したとしても、
人間としては信用できない」という趣旨のメールをいただいた。

至極当然の思いだろう。
でもね、寅さんじゃないけど、「それを言っちゃあオシメエよ」
というところもある。

作家なんていう人種は、どっちかというと
世間からはみ出てしまったアウトローみたいなところがあって、
人間的には完成度が低く、性格がひどく偏っているのがふつうだ。
ボクみたいに完成度が高く人格高潔な人間はむしろマレなのである。←マジな顔して言ってる

北大路魯山人は傲岸不遜の食わせものだし、石川啄木は稀代の借金魔。
哲学者の三木清のごとくは嫉妬心のかたまりみたいな男で、
曖昧宿をのぞき見してはよく手淫(マスかきです)をやっていた。
あの寺山修司だってのぞきの現行犯で捕まってしまったではないか。

ことほどさように、作家だとかゲージュツ家なんて呼ばれている連中は
ロクデナシのコンコンチキばかりで、政治家の臍下三寸は問わないのと同様、
彼らの人格もあえて問わない、というのがこの業界の暗黙のルールなのである。

あくまで作品と人格とは別物。
ダダをこねた田中がどんなご立派な作品を書いているかは知らないが、
その作品に「美」があれば、人格上の区々たる瑕疵(きず)には
目をつむってやろうよ、ということなのだ。

作家なんてものは聖人君子から最も遠い存在と知るべし。
シマナカロウわたくしめです、ハイ)だけが特別の例外なのだ、
とこの際だ、しつこいくらいに言っておこう。←言うだけならタダだしね

それにしても、見るからに腺病質の田中慎弥って、イヤなやつだねェ。
近くにいたらポカリと殴っちゃうよ、きっと。←この蛮人め、どこが人格高潔なんだヨ!





←田中慎弥センセーの不機嫌会見。
ま、たいしたヤツじゃないけど、
小説家だって生きる権利くらいはある。
せいぜいがんばってね!

4 件のコメント:

なごり雪 さんのコメント...

労さま

同感。

こんな私が言うのもなんですけど、
小説家、エッセイスト、雑誌のライターさん、
皆他の人の文章を貶します。

パティシエ、料理人、陶芸家、建築家、豆腐屋、
皆他の人の手による作品(商品)を貶します。

コイツの場合、貶す以前に気持ち悪。

変態は好きだけど、変質はデェー嫌い。

「怖いよ」

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

なごり雪様

そうね、近所にいたら
ちょっと敬遠しちゃうかも。

オドオドして落ち着かず、
視点も定まってない。

たぶんボクみたいに小心者で、
ああいう晴れがましい場所が
苦手なんだろうね。

それに小説ばっかり書いてたんだろう、
うらなり瓢箪みたいに、
まっ白けで、およそスポーツなんか
できそうにない体つきだ。
腺病質の典型だね。

いずれにしろ作品はどうあれ、
友達にはなりたくない男だ。
どっか女々しくて気色が悪いんだよ。

ボクたちはお互いに
人格高潔でよかったね。
でめたし、でめたし。

帰山人 さんのコメント...

労師、作家や著述家の類が人格低劣なのは、
素人ブロガーの私めでも自覚しておりますし、
昨年には某ジャーナリストとお会いしてマスマス確信を…アワワ
しかし、今般の流れでもっとも下劣なのは、
田中某や石原某の人物像をワイドショーのネタに
もっていきたがる周囲のマスコミ連中ではないでしょうか?
私ゃ、このお下劣な報道連中を殴っちゃいそうです。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

帰山人様

アワワ、じゃないですよ。
呆れ果てた人だねえ、ふんとに。

ま、それでも閣下の言い分には一理あるな。
あの「不機嫌会見」、ボクは最初、
出版社と示し合わせた狂言
じゃないかと思った。

賛否両論巻き起こって話題になれば
それだけ雑誌や本が売れる。

実に古典的な手法だけど、
効果は抜群だ。

でも、どうやら違うみたい。
あの癇癪持ちで小心翼々たる男には
そんな甲斐性はないですよ。

たしかにマスコミの連中はタチが悪いね。
いつでもどこにあってもスキャンダルの
ネタを探してるんだ。
二人して殴っちゃおうか?

今回はめずらしく気が合ったね。