クロスワードをやってた次女が突然質問した。
「お父さん、干支なんだけど、ね、うし、とら、う、たつ、み……の次、何だっけ?」
「……うっ、(えーと、何だっけ?)」
まったく思い出せない。
「そーゆーどーでもいい質問はお母さんにしなさい」
苦しまぎれに干支を「どーでもいい質問」にしてしまった。
娘はすでに呆れ顔だ。
「何がどーでもいいことよ」
隣の部屋から女房が抗議の声をあげる。
「巳の次はうま、ひつじ、さる、とり、いぬ、い、でしょ?
お父さんには、そういう一般ジョーシキが欠けてるのよね。
以前、冬至と夏至の違いも分からなかったしね(笑)」
二人してほとんど軽蔑の眼差しを向けてくる。
女房はきっとこう思ってる。
(あんたはね、人間が当たり前の人と違うの。血のめぐりが
悪いんだから、ね? 『俺は足りないんだな』ってことをよォく思って
なきゃいけないよ、ええ? ふつうの人と思っちゃだめなんだよ)
ボクは心の中で思った。
(何言ってやんでえ、こん畜生め。男はな、いつだって頭ん中は
天下国家のことでいっぱいなんだ。うしだとかうまだとか、
KARAだとかAKB48だとか、人生の些事雑事にかまけてるヒマなんかねえんだ。
そーゆーことは秘書に任せておけばいいんだヨ。
亭主のことを一体なんだと思ってやんでえ、いまいましい)
いつか俺だってな、ベストセラーを何冊も書き、
美人秘書を何人も雇ってやるんだ。それくらいの甲斐性はあらァ。
そして干支やら芸能ネタやら、スーパーの大根の値段やら、
それこそ人生の些事という些事をとことん憶えさせてやるんだ。
そして俺さまは、思うぞんぶん天下国家のことを憂え、そして考え、
女房子供を見返してやるんだ。ザマみやがれ……。
今年もひたすら「天下国家」に思いを馳せ、一年を過ごす所存であります。
いささか一般ジョーシキに欠ける面があるかもしれませんが、
ご寛恕のほどを。本年もよろしく。
「お父さん、干支なんだけど、ね、うし、とら、う、たつ、み……の次、何だっけ?」
「……うっ、(えーと、何だっけ?)」
まったく思い出せない。
「そーゆーどーでもいい質問はお母さんにしなさい」
苦しまぎれに干支を「どーでもいい質問」にしてしまった。
娘はすでに呆れ顔だ。
「何がどーでもいいことよ」
隣の部屋から女房が抗議の声をあげる。
「巳の次はうま、ひつじ、さる、とり、いぬ、い、でしょ?
お父さんには、そういう一般ジョーシキが欠けてるのよね。
以前、冬至と夏至の違いも分からなかったしね(笑)」
二人してほとんど軽蔑の眼差しを向けてくる。
女房はきっとこう思ってる。
(あんたはね、人間が当たり前の人と違うの。血のめぐりが
悪いんだから、ね? 『俺は足りないんだな』ってことをよォく思って
なきゃいけないよ、ええ? ふつうの人と思っちゃだめなんだよ)
ボクは心の中で思った。
(何言ってやんでえ、こん畜生め。男はな、いつだって頭ん中は
天下国家のことでいっぱいなんだ。うしだとかうまだとか、
KARAだとかAKB48だとか、人生の些事雑事にかまけてるヒマなんかねえんだ。
そーゆーことは秘書に任せておけばいいんだヨ。
亭主のことを一体なんだと思ってやんでえ、いまいましい)
いつか俺だってな、ベストセラーを何冊も書き、
美人秘書を何人も雇ってやるんだ。それくらいの甲斐性はあらァ。
そして干支やら芸能ネタやら、スーパーの大根の値段やら、
それこそ人生の些事という些事をとことん憶えさせてやるんだ。
そして俺さまは、思うぞんぶん天下国家のことを憂え、そして考え、
女房子供を見返してやるんだ。ザマみやがれ……。
今年もひたすら「天下国家」に思いを馳せ、一年を過ごす所存であります。
いささか一般ジョーシキに欠ける面があるかもしれませんが、
ご寛恕のほどを。本年もよろしく。
2 件のコメント:
労師、本年もよろしくお願いいたします。
それにしても、何人もの美人秘書に憶えさせるのが、
AKB48の芸能ネタにスーパーの大根の値段とは…
4億円の出処とか、裏帳簿の管理とかにはならないんですナ。
仕方が無い、天下国家を論じたければ、
私も呼んでくださいませ。
大林とか丸千葉とかいう名前の高級料亭で、
煮こごりとかポテサラとかつつきあって、
大所高所から論じましょうヨ。
帰山人様
こちらこそよろしく。
やっぱモノホンの高級料亭で
懐石でもごちそうしたほうが
よかったのかなァ。
ボクはすでに懐石に飽きて、
煮こごりとかポテサラの
うまさを再発見したんだけど……
帰山人さんもボクと同じく
「高所恐怖症」なのだと
勘違いしていたようです。
『鬼』が売れたら、
少しは高いところに連れていって
あげますよ。
スカイツリーだったりして。
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