2011年7月6日水曜日

石に蒲団を着せてやりたい

7月3日、母の長寿も米寿をもって打ち止めとなった。
明日の七夕で満89歳の誕生日を迎えるはずだったのに、
あと一歩が届かなかった。しかし文句なしの大往生だろう。

だから、決して涙を見せまい、
取り乱すまい、明るく見送ってやろうと、
心に期して葬儀に臨んだが、
しょっぱなからコケてしまった。

男は生涯に2度だけ泣くことを許されるのだという。
オギャーと生まれたときと親が死んだときがそれで、この親というのは、
たいがい母親のことで、父親なんてものはどうでもいいらしい。
この伝でいくと、泣き虫のボクなんかとっくに男を廃業していなくてはならない。

わが兄弟は一見こわもてだが、実は泣き虫ばかりで、
鬼のように思われている長男が施主挨拶の場でまず大泣きこいてしまった。
会葬者たちの間ではこの愁嘆場が世にも珍しき椿事に映ったらしく、
「へーえ、◎◇ちゃんも泣くことがあるんだァ……」
などと、やけに不思議がられていたそうな。
どうやら人間ではないと思われていたらしい。

鬼の目にも涙となれば、次男坊としては大手をふるって泣けるわけで、
こっちも負けないくらい泣いてやった。にぎやかな葬式である。

親孝行したいときには親はなし、
石に蒲団は着せられぬ、と昔のひとはいいことを言った。
しかしこの教訓を実践するものはまれで、
多くの子供たち、それも出来損ないの子供たちは
親を前に憎まれ口ばかりたたいている。

母はこの出来損ないの子供たちをよく束ねてきたと思う。
そのことだけでも勲章もので、やはり母は偉大だったと
今さらながらに思うのである。

しばらくの間(2~3年)は、メソメソしたウツ状態が続くと思う。
そんな意気地なしのボクを哀れと思し召さば、
功徳だと思って酒を飲ませてやってください。
酒こそが憂いを払う玉箒なのです。

母よ、重ね重ねの不幸をゆるし給え。
不肖の息子たちをゆるし給え。
そして安らかに眠り給え。
合掌。

6 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。


私はもう功徳を積む必要がないので酒を飲ませてあげる事は出来ません。

あしからず。

でも、「酒は憂いを掃う玉箒」は大いに同意。

8月も下旬になったら、パタパタ飲みに行きますか。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

「もう功徳を積む必要がない」って、
あなた、どういう意味なの?

もうパーフェクトな人間になっちゃったわけ?
それとも、世を拗ねてるの?

な~んだ、期待してたのに(笑)。

それともう一つ、
「パタパタ飲みに行く」って、
どういう意味?
若者言葉? それともサンダルかなんか
つっかけて、ご近所を飲み歩くって意味?

相変わらず、わけのわからんことを言う人
やな。内田樹の読み過ぎだっちゅーの。

匿名 さんのコメント...

勞さん

母は偉大です! 母の何回忌でしたかお寺に
詣でた時に本堂の壁に貼ってありました:

”100億の民に100億の母あらむも
我が母に優る母あらむや”

このポスターを読んで時に又めそめそした事を
思い出しています。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名様

そのとおりですね。
親というものはかけがえのないもので、
失ってみると、もっとやさしい言葉を
かけてやればよかった、孫たちともっと
ふれ合わせてやればよかったと、
後悔ばかりが先に立ちます。

さびしくなるけれど、
だれもが必ず通る道。
前を向いて頑張ろうと思います。

それにしても、母に比べ
父の存在は希薄ですね。

ミツバチの雄はdroneといいますが、
なまけ者とか役立たずの意で
使われるそうです。

種馬はやっぱだめです。

Nick's Bar さんのコメント...

Rouさん、

こんにちは。


ん?功徳を積む必要がないのは、言わずもがなですがな。

パタパタ飲みに行くのは酒は「ハタキ」だからですがな。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

玉箒(たまははき)は
ハタキというよりホウキだよね。

ま、どっちも憂いを払うのだから
同じようなものだけれど。