2015年7月3日金曜日

尻くらい自分で拭け

最近、物忘れがひどい。
家を出ても鍵をかけたかどうか不安になって、また戻ったりする。
車も同様で、鍵をかけ10歩ほど歩くと、「あれっ? 鍵かけたっけ?」
不安になり、また戻って確認する。とても哀しい。

先日、カレーの鍋を火にかけたまま、そのことをすっかり忘れ、
書斎のパソコンに向かっていた。しばらくして、「あっ! いっけねェー!」
と叫び急ぎ台所へ。幸い鍋はぶじだったが、野菜はドロドロに溶け、
鍋底は焦げついてしまった。女房は冷たい視線でその一部始終を目撃。
(あ~あ、また「いっけねェー!」か……死ぬまでやってんだね)
完全に見限られてしまった。

名前を度忘れしてしまうことはよくある。
目の前で言葉を交わしているのだが、どうにも相手の名前が思い出せない。
で、結局、最後まで思い出せないままなのだが、こういう時は
どこか態度がぎこちないみたいで、相手もそれとなく察して早めに話を
切り上げてくれたりする。でもそれがかえって哀しい。

先だって、次女の結婚式があり、式の前に「親族紹介」という儀式があった。
ボクは親族の名前をかろうじて言えたのだが、たまに度忘れしてしまう人が
いるらしい。聞いた話だが、その人の友人は娘の結婚式の親族紹介で、
緊張していたのだろう、自分の女房の名前を言う段になって、
突然頭の中が真っ白になり、思わず絶句したという。

わが家でそれをやったら、まず命がない。
日頃、女房に向かって「オイ」とか「おまえ」とか言ってふんぞり返っている人間は、
肝心な時に女房の名前が思い出せなくなってしまう。まちがって昔の恋人の
名前とか愛人の名前なんぞを口走った日にゃァ、あとで血を見ること必至だ。

認知症にならないためには、いくつかの原則を守らなくてはならない。
食べ過ぎが一番ダメで、特に炭水化物と脂肪の摂りすぎに要注意だという。
「ラーメンライス」とか「焼きそばパン」といった炭水化物の〝重ね食い〟が
一番最悪なのだそうだ。でも、あれって、うまいんだよね。

認知症の予防には、
①料理を作る――創意工夫が脳を活性化する。
②昼寝をする――ただし30分以内。それ以上だと逆効果。
③有酸素運動の励行――ウォーキングや水泳、踏み台昇降などがいいらしい。

①はもう30年以上やらされているし、水泳は50年も続けてる。
②の昼寝はしない。ひとたび寝入ったら、そのまま朝まで寝ちゃうからだ。
これじゃあどんどんボケが進行する。

楽器を弾き大声で歌ったりするのもボケ防止にいいらしい。
また大声で歌うと横隔膜が上下し、そのことが寝たきりの予防になるという。
というわけで、またまた宣伝で恐縮だが、来る7月25日(土)の午後3:15~4:00まで、
わがシーアイハイツ和光の「夏祭り」のステージに立つ。7年ぶりに歌うのだ。
これもボケ防止の一環だが、老後の楽しみでもある。

数年前、トイレに入ったはいいが、尻を拭かずに出てしまったことがある。
わが家のウォッシュレットは洗浄まではやるがドライ機能はない。
あえて付けなかったのだ。なんでも機械任せにすると人間がダメになってしまう。
そう思って手で拭くようにしておいたのだが、そのことさえも忘れてしまうとなると、
もう打つ手がない。

今日は朝からブラックスーツを着て身内の葬式に参列した。
故人は享年95。数年前に脳溢血で倒れたのだが、奇跡的に回復し、
最期までボケずに生涯を全うした。

その強靱な生命力にあやかりたいものだが、たぶんダメだろう。
あと30年も生きるなんて、とても考えられないからだ。
もし生きていたら、たぶん徘徊老人になっているだろう。
尻を拭き忘れるくらいだから、「明るい老後」がまるでイメージされないのである。

まだ女房の名前はかろうじて憶えている。
娘たちや婿の名前も憶えている。
昔の女たち(いっぱいいたもんね)の名前もなんとか憶えているから、
もうしばらくは大丈夫だと思う。
ボケたらどうするか、だって?
ボケたら生き仏になるだけ。あとのことは知~らない。








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