久しぶりにお通じのよくなりそうな本を読んだ。痛快である。
『言葉でたたかう技術』(文藝春秋)がそれで、
著者は加藤恭子という御年82歳の大和撫子だ。
しょっぱなからこんな書き出しで始まる。
《過去50年、欧米人と議論や口論になった場面で、
私は負けたことがない……》
(あンれまァ、すごいバアさんが出てきたぞ)
この啖呵売のような威勢のいいセリフに、
まずコロッと参ってしまった。
早稲田大学の仏文科を卒業後、留学のため夫婦して渡米。
住み込みのメイドとして激務に堪えながら大学に通う。
戦後間もない頃のアメリカだからまだ反日感情がくすぶっている。
「なぜ真珠湾を奇襲したの? 日本人は卑怯よ」
「原爆を落としたのは日本人のためなのよ」
どこへ行っても、不条理な理屈と冷たい視線にさらされる。
反論したくても英語力が未熟で反論できない。
「なにくそ!」と歯をくいしばって猛勉強し、
ついには英語とフランス語の達人に。
併せてアリストテレスの「弁論術」を身につけるべく猛特訓、
自家薬籠中のものにした。
欧米人と対等以上にやり合うには、日本的な話術ではだめ。
ギリシャ・ローマ以来の弁論術を学ぶしか手はなかった。
'90~'91年の湾岸戦争。日本は多国籍軍と周辺国支援のために
130億ドルも寄付(大増税までした)したというのに、諸外国からの
反応は実に冷たいものだった。曰く「いつも金で済ませようとする」
「血を流さない」「金もいやいや小出しにする」等々。
戦後、クウェートはアメリカの主要新聞に感謝を示す全面広告を出した。
が、イラクの侵略からクウェートを救ってくれた国々の中にJapanの文字はなかった。
130億ドルも拠出したというのに、日本の名がないなんて……。
ボクはこのニュースにふれた時、やり場のない怒りで気が変になるほどだった。
加藤女史は言う。「日本も全面広告を出すべきだった」と。
加藤の考えた文面はこんな感じだ。ちょっと長いけれどガマンして読んでほしい。
『われわれは先の戦争に対する反省から生まれた平和憲法によって、
軍隊を出すことは規制されている。ゆえに多国籍軍と共に戦い、
血を流すことはできなかった。
しかし、平和を愛するクウェートと、その解放に邁進する多国籍軍を
後方から支援するために、多額の経済的援助を行った。その全体額は
あまりに巨大であるため、富んだ国とみなされているわれわれでも、
一朝一夕で用意できるものではなかった。政府は増税を決意し、
国民はそれを敢然と受け入れた。クウェートと多国籍軍の支援のために。
それを何回かに分けて受け取ったのは、、盟主アメリカである。
もう一度言う。われわれは、共に血を流すことはできなかった。
しかし国民の税金から拠出されたこの援助金は、国民の汗の結晶である。
われわれは少なくとも共に汗は流した。
しかし、3月11日のクウェートによる『感謝の全面広告』の中に、
日本の国名はなかった。われわれは合計で130億ドルの援助を行った。
それはJapanというたった一つの単語にさえも値しなかったのであろうか?
日本国民は、深く傷ついている……』
日本政府は、加藤がいうような反論をなぜやらなかったのか。
政治家や官僚には、たったそれっぽっちの気概すらないのか。
なぜいつも日本人は黙ってばかりいるのか。
なぜ正々堂々とケンカができないのだ。
沈黙は「金」ってか? 日本以外の国では、沈黙は「無能」の意だ。
ああ、それにしても130億ドル(当時の日本円で1兆7000億円)とは……。
日本のやるべきことはただ一つ。憲法をすみやかに改正して
真に自立した国家となることだ。130億ドルを出したからと
大威張りなのもうすらみっともない。日本は商人の国に成り下がったか。
やはり、いざとなったら共に血を流したほうがいい。
尖閣にしろ北方四島にしろ、自国領すらも自分で護れないのなら
真の独立国とは言えまい。命より大切なもの? もちろんある。
日本人は、その大切なものを戦後のたった60余年で忘れてしまった。
『言葉でたたかう技術』(文藝春秋)がそれで、
著者は加藤恭子という御年82歳の大和撫子だ。
しょっぱなからこんな書き出しで始まる。
《過去50年、欧米人と議論や口論になった場面で、
私は負けたことがない……》
(あンれまァ、すごいバアさんが出てきたぞ)
この啖呵売のような威勢のいいセリフに、
まずコロッと参ってしまった。
早稲田大学の仏文科を卒業後、留学のため夫婦して渡米。
住み込みのメイドとして激務に堪えながら大学に通う。
戦後間もない頃のアメリカだからまだ反日感情がくすぶっている。
「なぜ真珠湾を奇襲したの? 日本人は卑怯よ」
「原爆を落としたのは日本人のためなのよ」
どこへ行っても、不条理な理屈と冷たい視線にさらされる。
反論したくても英語力が未熟で反論できない。
「なにくそ!」と歯をくいしばって猛勉強し、
ついには英語とフランス語の達人に。
併せてアリストテレスの「弁論術」を身につけるべく猛特訓、
自家薬籠中のものにした。
欧米人と対等以上にやり合うには、日本的な話術ではだめ。
ギリシャ・ローマ以来の弁論術を学ぶしか手はなかった。
'90~'91年の湾岸戦争。日本は多国籍軍と周辺国支援のために
130億ドルも寄付(大増税までした)したというのに、諸外国からの
反応は実に冷たいものだった。曰く「いつも金で済ませようとする」
「血を流さない」「金もいやいや小出しにする」等々。
戦後、クウェートはアメリカの主要新聞に感謝を示す全面広告を出した。
が、イラクの侵略からクウェートを救ってくれた国々の中にJapanの文字はなかった。
130億ドルも拠出したというのに、日本の名がないなんて……。
ボクはこのニュースにふれた時、やり場のない怒りで気が変になるほどだった。
加藤女史は言う。「日本も全面広告を出すべきだった」と。
加藤の考えた文面はこんな感じだ。ちょっと長いけれどガマンして読んでほしい。
『われわれは先の戦争に対する反省から生まれた平和憲法によって、
軍隊を出すことは規制されている。ゆえに多国籍軍と共に戦い、
血を流すことはできなかった。
しかし、平和を愛するクウェートと、その解放に邁進する多国籍軍を
後方から支援するために、多額の経済的援助を行った。その全体額は
あまりに巨大であるため、富んだ国とみなされているわれわれでも、
一朝一夕で用意できるものではなかった。政府は増税を決意し、
国民はそれを敢然と受け入れた。クウェートと多国籍軍の支援のために。
それを何回かに分けて受け取ったのは、、盟主アメリカである。
もう一度言う。われわれは、共に血を流すことはできなかった。
しかし国民の税金から拠出されたこの援助金は、国民の汗の結晶である。
われわれは少なくとも共に汗は流した。
しかし、3月11日のクウェートによる『感謝の全面広告』の中に、
日本の国名はなかった。われわれは合計で130億ドルの援助を行った。
それはJapanというたった一つの単語にさえも値しなかったのであろうか?
日本国民は、深く傷ついている……』
日本政府は、加藤がいうような反論をなぜやらなかったのか。
政治家や官僚には、たったそれっぽっちの気概すらないのか。
なぜいつも日本人は黙ってばかりいるのか。
なぜ正々堂々とケンカができないのだ。
沈黙は「金」ってか? 日本以外の国では、沈黙は「無能」の意だ。
ああ、それにしても130億ドル(当時の日本円で1兆7000億円)とは……。
日本のやるべきことはただ一つ。憲法をすみやかに改正して
真に自立した国家となることだ。130億ドルを出したからと
大威張りなのもうすらみっともない。日本は商人の国に成り下がったか。
やはり、いざとなったら共に血を流したほうがいい。
尖閣にしろ北方四島にしろ、自国領すらも自分で護れないのなら
真の独立国とは言えまい。命より大切なもの? もちろんある。
日本人は、その大切なものを戦後のたった60余年で忘れてしまった。
8 件のコメント:
三十余年前のこと、米国中西部の田舎町に紅顔(厚顔に非ず、ましてや睾・・・自粛)華麗なる美少年が交換留学生としてその地の高等学校に通っておりました。ある日の「米国史」の授業において、先生がしばらく出張中の為、退役した先生が代用教員として教壇に立ちました。この先生、多分、我が国では大正生れに匹敵するであろう方、ご主人を大東亜戦争時に戦死により亡くされた方です。大東亜戦争勃発時に関する授業時の説明は「我が合衆国は世界の如何なる国家とも戦争をしないと宣言した矢先、東洋の未開発なる国家が無謀且つ卑怯にも真珠湾を攻撃し、その報復の為に止む無く戦争に突入した・・・」と・・・
厚顔無恥・・あ、いや、純真無垢なその交換留学生は教室にて一言も発せず、授業後、クラスメイト達に「オラ達がイクサをしてるわけではねぇだ。先公が何言っただとしても、オラ達はトモダチだべ。」と慰められたそうな・・・
その元美少年はその後、反論できなかった自分を恥じて生きつつも、仲間という財産の貴さを知り、真摯な愛国者であり、平和論者となったと伝え聞いております・・・そして、彼は、草の根運動的に、ごく少数の受入留学生に「間違っても我が国を攻撃しないこと。さすれば、我が国も貴様の国を攻撃しないであろう。」と教えることをライフワークとしているらしいです。そして、多くの人はそれを「偉いですね」と言いつつ、心の底では愚行であると考えているのを当人は気がついておりますが、たとえ一人でも理解者が居る限り、彼の活動は続くことでしょう。
高校39年生様
その、かつての美少年は
すばらしい人間ですね。
ひさびさに感動的なお話でした。
「愚行」だなんてとんでもない。
「愚公山を移す」という故事も
ありますから、いつかきっと
報われますよ。
それにしても紅顔の美少年ねえ……
ああ、無残なり歳月!
ROUさん、
こんにちは。
この辺りの話になると、ちょっとROUさんとは意見を異にするのが正直なところです。
言葉で戦うと言うのは、その背景となっている心情、歴史観、価値観、倫理観、哲学観など、土俵が一応決まっていると言う事が前提になっていて、初めて可能となるのではないかと思っております。
強大な軍事力をもって、大義名分を掲げて他国に攻め込むのはその国の人民の人権保護となり、力のない者が抵抗しうる最大の機会を利用して敵対する相手に戦いを挑むのはテロなんだそうです。
テロは悪であると規定に基づけばこれはPolitically Correctとなるわけです。
要は「都合」です。しかも経済的強者のです。
そこで言い負かすだの言い負かされるだの、私には不毛な主張にし思えません。
いいかたとしては・・・
「ほっといてくれ」が一番近いかもしれないです。
反論すべき土俵に上がることがすでに同じ哲学や倫理の享有をよしとする、盲目的な妥協であり、「相」が異なる思想の存在を認められないことの証しではないかと。
あるいは、ことなる「相」が存在する事すら気がついていない野ではないかと思います。
感動的なお話と言われるとケツが痒いのですが、「久々に・・」ですか・・・
マトモな留学経験者であればこんな話を10や20は土産に持ち帰るんですよ。嶋中さんのお嬢チャン達もきっといろいろ持っているんだろうな。
尚、愚生のAFS同期生が5月に書いていたブログを読んで、「彼のホストファミリーはご両親ともに健在で羨ましい。愚生の場合は、既に両親とも物故し、彼の地には誰もおらず、墓参りにも行っていない不義理を悔いてしまう。いずれにしても、30年以上前の経験に基づくそれぞれの想い出を考えると涙が止まらない」という勝手な思い込み・・・に共感してくださる方を募集中です。
自称元紅顔の美少年は、今となっては傲慢の愚老人となっている・・・らしい・・・ことは否定いたしません・・・
NICK様
こんにちは。
お言葉ですが、
郷に入っては郷に従えで、
あっちに暮らしている際には
あっちの論理で戦うしかないと思います。
そのことが「不毛」だとも「妥協」だとも
思えません。
「原爆は日本人のために落としたのよ」
と言われ、「ほっといてくれ!」
で済ませられるほどボクは人格者
ではありません。
口で言ってわからないのなら
「表へ出ろ!」しかないのです。
ボクは蛮性と論理性を備えた
人間になりたいですね。
少なくともこうした戦いの場では。
高校39年生様
AFS同期生のブログ、
読ませていただきました。
感動ものですね。
ぼくの娘たちもご多分にもれず
イタリアとアメリカに両親がいます。
まだどちらの国の両親も元気ですが、
いつかお別れするときは、
実の親との別れ以上に悲しむかもしれません。
浪花節的なセンチメンタリズムですが、
こういうの、きらいじゃないです。
かつての睾……、じゃねえ紅顔の美少年さん!
いまでも十分ステキですよ。
ボクが惚れるくらいですから。
今度会ったときは、
熱~いハグを交わしましょうね。
嶋中労さま
こんにちは
はじめてコメントを書き込ませていただきます
百姓をしている田舎者の個人的な思いです
食材、日本人の主食である米で考えてみると
油無くして水稲が育てられるか られる
ただし日本人が飢え死にしないだけ収穫できるか
できない と言う事は産油国からい油を買わなくてはいけない
これと同じような事が資源の無い日本には沢山あります
日本を守る日本民族を絶やさないために
世界の平和に金ではなく人で協力すべきと思います
戦争をしろと言っているのでは有りません
世界と対等であるべきと考えています
『君が代起立命令「合憲」』
訴えていたのは、元教論
自国を愛せない人が先生?
おかしな国です
田舎者様
コメントありがとう。
おっしゃるとおりですね。
日本の貢献できる分野はいっぱいあります。
金庫番はもう願い下げにしたいものです。
ボクはBlogを通して、
自分の主張なりをかなり旗幟鮮明に
打ち出してきました。
簡単に言ってしまうと、
日本国を愛せず、日本の悪口ばかり言っている
日教組や朝日新聞、毎日新聞、共同通信、岩波書店、あるいは民主党、社民党、共産党といった
どこかの国の出先機関みたいなところが
きらいなのです。
若い頃は、思想信条が違っていても
「おっ、なかなか面白いな」
と互いの意見をぶつけ合うことも
あったのですが、近頃は年を取って
頑固になったせいか、
おバカな連中の寝言を聞いてやる
根気が失せてしまいました。
ボクも左翼思想にかぶれた時期が
ありましたが、勉強するうちに
自然と離れていきました。
ハッキリ言いましょう。
いい年をして、いまだに朝日の
信者みたいなことを唱えている
連中は、ただのなまけ者です。
勉強が足りないだけ。
ただそれだけです。
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