2010年9月15日水曜日

自虐趣味

先月から今月にかけ、わがrabbit hutch(ウサギ小屋)に、
断続的に3人の客が泊まった。わが小屋は曲がりなりにも4LDKで、
2~3LDKよりは恵まれている、といえようが、4人家族にたった1名加わるだけで、
まず寝床の心配をしなくてはならなくなる、というのがなんとも情けない。

この「ウサギ小屋」という日本の劣悪な住宅事情を象徴する言葉は、当初、
cage a lapinというフランス語だった。ECで日本の報告書を作成した折に使われた
もので、それが英語rabbit hutchに直訳され、そのまま日本語の「ウサギ小屋」
になったのである。
 
フランス語の報告書にはこうあったという。
《日本人はフランスで俗に『ウサギ小屋』と呼ばれているのと同じタイプの
〝狭くて画一的な〟都市型集合住宅に住んでいる》

ここには「ヨーロッパに比べ、劣悪な住宅に暮らしている」というニュアンスはない。
フランスでもよく見かける「ウサギ小屋」と呼ばれる狭い画一的な住宅に住んでいる、
と言っているだけで、決してバカにしたわけではないのだ。それがいつの間にか、
劣悪な家に住み、狂ったように働く仕事中毒の日本人――というニュアンスに
変わってしまった。たぶん自虐的な日本のマスコミの仕業だろう。

これと似たものに《日本人の精神年齢は12歳》というマッカーサーの言葉がある。
これは1951年、アメリカ上院軍事外交委員会においての発言で、
マッカーサーは民主主義の成熟度についてこう語ったという。
《アメリカがもう40代なのに対して日本は12歳の少年。
日本ならば理想を実現する余地はまだある……》

ドイツは成熟した民主主義を有しながらファシズムに傾斜していってしまった。
そのドイツと比較して、日本なら理想的な民主主義を実現できるだろう、
としたのがこの発言で、どっちかといえば日本を擁護した文脈だった。

ところが「12歳」という部分だけが勝手に一人歩きし、
日本人は精神年齢の低い未熟な国民、
とまるで侮辱されたかのようなニュアンスに変わってしまった。
まったくの誤解で、マッカーサーにしてみれば至極心外なことであっただろう。

精神年齢12歳」の日本人は、狭くて劣悪な「ウサギ小屋」に住んでいる
――どちらも誤解の産物だったが、つむじ曲がりの僕は、
誤解どころか事実そのものではないか、とむしろ感心しているくらいで、
民主党政権の無策ぶりと小児病的ドタバタ劇を見るにつけ、
最近ますますその意を強くしている。

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