2016年2月13日土曜日

不倫よりプリン

明治期、総理大臣や蔵相を歴任した松方正義は世に聞こえた艶福家だった。
明治天皇に、
「松方、おまえの子供は何人か?」
と聞かれ、
へい、ソロバンを拝借
と答えたという逸話がある。なんと、その数150人。
つまり〝囲いもの〟がいっぱいいて、日夜子づくりに励んでいたということだ。
半分うらやましくもあるが、すべてのお妾さんにまんべんなくサービスして回るのも、
それはそれで大変だっただろう。それでも90歳まで生きたというのだから、
絶倫だっただけでなく生命力も強かった。

松方以上に助平だったのは伊藤博文だった。片っぱしから女に手をつけ、
「箒(ほうき)の御前」の〝尊称?〟を奉られていた。箒とは女を撫で斬りにするという
花柳界の隠語で、男として最も恥辱とされたらしい。伊藤はまだ下草もまばらな
〝半玉〟まで撫で斬りにし、「千人斬り」の異名をとった。手当たり次第で見境がない。
かつて千円札の肖像になったことがあるが、「マン札でなけりゃ理に合わん
という声もあった(笑)。

つい最近まで艶福家は尊敬される対象だった。
戦前までは、関西などでは夫が妾をもつことを誇りとする風があった。
「うちの主人は働きもんやよって、お妾やら置かはる」
「うちのは新町にも北にもお妾置いてまんねん。えろう稼ぎの多い
お商売上手の旦那はんですよって。偉いと人も思いまっしゃろ」
そして正夫人とお妾さんの仲がよいと、「賢夫人」などと褒め称えられた。

        金も出来たし 着物も出来た
            そろそろ 旦那と 別れよう

という都々逸があるが、お妾は「一櫛、二帯、三小袖」といって、
これを右から左へ流せば(←昔なら質屋、今はブランド品買取店で)、高額な金に換わった。

民主党のloopy鳩山由紀夫は妾の子だ。
実父の威一郎が石橋安子と結婚する前に朝鮮人の妾に産ませた子で、
つまり弟の鳩山邦夫は異母兄弟ということになる。一説には祖父の一郎
が朝鮮人の女に産ませた子、ともいわれていて、まさに〝謎〟だ。
また一郎の実父で、衆議院議長を務めた和夫も、これまた〝箒御前〟だったという。
甲斐性持ちと呼ばれた男たちは、どいつもこいつもそろって艶福家だったようだ。

さて、自民党の宮崎謙介衆院議員が、妻の出産直前に女性タレントと〝H〟を
していたことがバレてしまい、とうとう議員辞職するハメになった。
出産に合わせて〝育児休業〟を取ると宣言していたものだが、それこそ〝意気地〟
のない結末になってしまった。不倫ではなく、プッチン・プリンでも食べていれば
よかったものを……身のほど知らずの大バカ野郎である。

ところで、世界的な歴史人口学者のエマニュエル・トッド博士は、こう言っている。
《どうも日本人は結婚ということを厳密に考えすぎるように思います。もっと気楽に
結婚して、もっと気楽に離婚してもよいように思います。そうすれば、もう少し
子供の数も増えるでしょう。これは冗談ですが、比較的経済力のある男性が、
妻以外の女性にも子供を産んでもらったら、少子化の問題などいっぺんに
解決するのではありませんか(笑)。

お妾さんは明治15年、刑法改正で非公認となった。それまでは二親等で、
妾といえども人のものに手を出せば「姦通罪」が成立した。さらに明治31年、
民法の改正で法律上は妾という存在が否定され非合法となった。

ああ、いっぺんでいい。松方正義みたいに、
「へい、ソロバンを拝借」
などと言ってみたい。男ならみんなそう思うはずだ。

宮崎議員を吊し上げ悦に入っている記者やカメラマンたちだって、
〝不倫〟の〝ふの字〟も知りましぇーん、といった朴念仁ばかりじゃあるまい。
自分の助平を棚に上げて、よくまあ正義漢面ができるなあ。

たしかにあいつは女房を裏切った人でなしのサイテー野郎だけど、
あの程度の「魔が差した経験」なら誰にだってあるだろ。
「ない!」というやつはたぶん〝タマ無しの偽善者〟だな(笑)。

あんなもの、単なる発情男の〝火遊び〟だ。寄ってたかって吊し上げるほど
のものではあるまい。この世に清廉潔白な男なんざいやしないのだから、
一度や二度の〝過ち〟くらい、許してやったらどうだ。

政治家は政治さえしっかりやってくれればいい。「臍下三寸」が暴走しようがしまいが、
それはごくごくプライベートな問題で、われわれが関知すべき問題ではあるまい。
それを言ったらヒヒ爺の伊藤博文や松方正義なんて1日とて保ちやしない。
下半身の問題は夫婦あるいは関係者が解決する外ないのである。


ああ、「蓄妾」が大目に見られていた、大らかな時代が懐かしいよ。
蓄妾は決して犬畜生の所業ではありませんぞ。





←去る10日に発売された『サライ』3月号。
第2特集の巻頭言を書かせてもらった。
ただしこのプロファイル写真(「蛮爺's」の公演風景)は、
本ブログの投稿でもおなじみの、コーヒーおたく帰山人が
いたずらして差し替えたものだ。
まったく、あの腕白おやじときたら……(笑)。







※追記
後日、この〝ゲス宮崎〟は、複数の女に結婚を
持ちかけ、「ボクの胸に飛びこんでおいで」などと
甘言を弄していたことが発覚。
「許してやれよ」と書いた不明を恥じる次第であります。
とんでもないペテン師野郎です。即刻、宮刑に処すべし!

2 件のコメント:

田舎者 さんのコメント...

嶋中労さま

おはようございます。

常に止まることのない時が刻まれています。
良きも悪きも眼に観えない速度で変化をしているのです。

どこかの誰かではありませんが、羨ましいかぎりです。
マスゴミもバカですがそれに踊らされるしかない人も
所詮バカなのです。あ!ここにもバカがいた。

今の時代は妾さんを囲うことの出来る人は時は流れましたが
国を救うことが出来き生涯金に不自由すること無くなおかつ
精力絶倫でないとなりませんがね。最低この一つをクリアー
出来なくてはなりませんがね。この壁を乗り越えても著名人は
マスゴミは許してくれないかもしれません。

漫画ではありませんが浮浪雲の
「お姉ちゃん、あちきと遊ばない」
が出来るようになりたいものです。

春ですね!




ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

田舎者さま

時は移ろっていきます。

昔のデブは「恰幅がいい」とか「貫禄がある」などといわれ、
どっちかというとプラスイメージでした。でもいまは、
ただのデブで、「自己管理のできないやつ」とマイナス評価されて
しまいます。

ボクの子供の頃には近所にも〝囲いもの〟らしき人が
いました。甲斐性のある男は外に女を囲ったのです。

この〝蓄妾〟がいま、法律で禁止されていますから、
複数の女がほしいという者はイスラム国へ行きます。

自爆テロで殉教すれば天国で72人の処女と〝ナニ〟ができるからです。
でも場所が場所ですから、いくら頑張っても少子化対策には役立ちません。

「お姉ちゃん、あちきと遊ばない」
のどかな風景ですね。

民俗学・宮本常一の『忘れられた日本人』の中には、
のどかの風景がいっぱい出てきます。各地の民族伝承をひろい集め、
古老たちの話をまとめたものですが、ある地方では「夜這い」
の話がいっぱい出てきます。実にあっけらかーんとしています。

ジメッとしたところがなく、カラッとしてます。「あちきと遊ばない」そのものです。
日本人は〝性〟についてだらしがない、と言った明治期の外国人がいましたが、
この健康的で無垢な〝性〟を知らないのです。

いまはもうダメですね。
戦後の日本人は、かつて存在した大らかな〝性〟を忘れてしまいました。
世間の目も冷たくなりました。嫉妬のかたまりであります。
〝性〟は後ろ暗い淫靡なものとなりさがったのです。