2014年8月19日火曜日

信州ぶらり家族旅

家族で信州をぐるりと旅してきた。
プランはすべて女房と娘たちが立て、おじさんはただ車を運転するだけ。
娘二人も免許証を持ってはいるが、ハンドルを握ると頭の中が真っ白に
なってしまうらしいので(筋金入りのペーパードライバーなのです)、運転はご遠慮ねがった。

運転手のつらいところは、旅館に落ち着くまでお酒が飲めないことだ。
(ああ、生ビールが飲みたい…)
と思っていても、グッとがまんしなくてはいけない。
そんな時、つい恨めしげに娘二人をにらんでしまう。
(この親不孝者めが!)

〝晴れ女〟を自任する女房と長女が同行しているにもかかわらず、
信州はあいにくの雨。それでも車から降りるたびに雨がやむのだから、
〝晴れ女〟の面目躍如たるところか。結婚して30年、この「霊力」のおかげで、
どれだけ助かったことか。

初日の昼飯は、軽井沢にあるイタリアンの「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ
この長ったらしい店名だけはいただけない。たぶん客に意地悪しているにちがいない)でとった。
シェフは小林幸司という〝ふつうじゃない〟男で、拙著の中にも出てくる天才的料理人である。
彼の料理本を何冊もまとめたフードジャーナリストの女房は、
「小林さんの料理は決してふつうにならないの。味が複雑なのよ」
と絶賛する。ボクも同感だ。彼は好んで複雑をめざしているわけではない。
単純をめざしつつも、ついには複雑の相を帯びてしまう。資質なのだろう。

この「フォリオリーナ何とか」からほど近いところに、星野リゾートの開発した
星野ハルニレテラス」がある。9棟の建物に14の個性的なショップが
ウッドデッキでつながっていて、中央には湯川の清流が流れている。
ちょっとした小粋な〝街〟というべきだろうか。

このショップの中に名にし負う「丸山珈琲」が入っていたので、
冷やかし半分に深煎りブレンド2種を買ってみた。
あとで飲んでみたが、ボクと女房の評価は「コンビニ〝街カフェ〟とどっこいどっこいかな」という辛口のもの)
このコーヒーチェーン店のオーナーは商売人としては傑出しているようだが、
コーヒーの味づくりに関しては悲しいかな二流だ。飲むたびにその思いを強くする。

さて雨空の中、軽井沢に始まって中条、上田、須坂小布施、長野と
いろんなところを回った。宿にした「やきもち家」では、信州名物の「おやき」
をいただいた。以前、信州を回ったときも腹いっぱいおやきを食べたが、
今回はほどほどにし、代わりに自家製を味わってみることにした。

さっそく昨日作ったのが野沢菜入りのおやき。で、今日は茄子をみそと砂糖で炒めた
〝茄子あん〟のおやきを作った。あんをくるむ皮は強力粉と薄力粉を同割にし、
そこに少しばかりベーキングパウダーを混ぜる。
できあがったおやき2種12個ずつは、それぞれタッパーに入れ、冷凍庫へ。
こうしておけば食べたいときにレンジでチンし、トースターでカリッとさせればいい。
ちょっと小腹の空いたときなどに、これがあれば何かと助かる。

家族旅行は楽しい。車の中は笑いが絶えず、
ふだんは横浜にいる次女も思いっきり羽を伸ばしたようだ。
娘たちがまだ小さかったころは、こうやっていつも4人で旅行した。
全員そろっての家族旅行は今回が最後だろうか…
ハンドルを握りながらも、ついそんなことを思ってしまった。



←信州名物「おやき」。
宿泊先の旅館で焼いてくれた。
辛味の効いた「野沢菜あん」の
入ったのがうまかったな
旅館やきもち家にて







 

2 件のコメント:

田舎者 さんのコメント...

嶋中労さま

こんばんは!

小林シェフの名前が出てきて嬉しくなった百姓です。

西麻布のマリーエで二回ほど料理を頂いたことがありますが、自分の少ない経験の中で一番の料理でした。
料理のメイン素材を口にするとその素材の味が生き生きと感じられるのです。

個人的にはイタリアンシェフのナンバーワン、
参考までにフレンチシェフのナンバーワンは
小滝晃シェフです。今何をしているのだろうか?

縁が有れば二人の料理を今一度口にしたいものである。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

田舎者様
おはようございます。

広尾の「マリーエ」、懐かしいですね。
小林シェフを取材するため、何度となく
通いました。

小林さんとはなぜか気が合って、
会うと冗談ばかり言い合います。
NHK出版の『男の食彩』という雑誌の
特集で、ボクと小林シェフが、
〝シェフと主夫対決〟ということで、
料理対決したこともあります。

これは〝内緒〟ですが、
軽井沢の店をたたんで、来年、銀座に出店
するそうです。これ内緒と言うことで……

「オーベルジーヌ」の小滝シェフのことは
女房は詳しいと思うのですが、
ボクは知りません。

田舎者さんは元ソムリエですから、
フレンチとイタリアンの事情に詳しい
わが女房殿と話が合いそうですね。
いつか一緒に飲みたいものです。

残暑厳しき折、くれぐれもご自愛ください。