桜吹雪が舞う団地内の公園に立ったとき、良寛の辞世の歌がふと頭に浮かんだ。
散る桜 残る桜も 散る桜
似たような詩歌を仏教思想家・毎田周一が詠んでいる。
Ⅰ
なくなった人を悼むものも
またなくなってゆく
笑うものも 怒るものも
やがて跡形もない (「早春の微風」より抜粋)
Ⅱ
この世を悲観するひとは
自分でこうと決めるひと
このままでよいではないか
そして面白いではないか
人生観などもたぬがいい
与えられたままを生きよう
苦しみもそして楽しみも
ただそれを味わい尽くして
若いのに死ぬひともあり
長生して死ぬひともある
それが与えられた生命だ
どちらもよいではないか
悠々と山のように一生を
そのままに生きてゆこう
そして死ぬ時には死んで
こせこせするのはよそう (「山のように」より)
Ⅲ
ひとかどの人間だと思うから 自由になれないのです
この世のやくざ 大やくざ
人間の世界の屑であることに 目覚めるとき――
私は闊然(かつぜん)として自由です (「やくざの歌」より抜粋)
Ⅳ
こんなに簡単な そして
ただ一つのことを
それがわからないで
人がみな苦労している
それはどういうことか
つまり それというのは
自分が馬鹿だってこと
これがその一つのこと
自分を利口だと
思っていればこそ
みんながみんなこんなにも
苦労しているのだ
それこそは御苦労なことだ
そして恨みようもないこと
愚一片(ぐいっぺん)の ああ
無限の明るさ―― (「人の苦労」より)
Ⅴ
唯一の真理は無常 (「真理」より)
身のまわりで親しかった人が次々と亡くなってゆく。
それも突然に。
昨日まで軽口をたたき合っていた仲なのに、きょうはもういないのだ。
〝無常迅速〟という言葉が今さらながら胸に滲む。
散る桜 残る桜も 散る桜
散る桜 残る桜も 散る桜
似たような詩歌を仏教思想家・毎田周一が詠んでいる。
Ⅰ
なくなった人を悼むものも
またなくなってゆく
笑うものも 怒るものも
やがて跡形もない (「早春の微風」より抜粋)
Ⅱ
この世を悲観するひとは
自分でこうと決めるひと
このままでよいではないか
そして面白いではないか
人生観などもたぬがいい
与えられたままを生きよう
苦しみもそして楽しみも
ただそれを味わい尽くして
若いのに死ぬひともあり
長生して死ぬひともある
それが与えられた生命だ
どちらもよいではないか
悠々と山のように一生を
そのままに生きてゆこう
そして死ぬ時には死んで
こせこせするのはよそう (「山のように」より)
Ⅲ
ひとかどの人間だと思うから 自由になれないのです
この世のやくざ 大やくざ
人間の世界の屑であることに 目覚めるとき――
私は闊然(かつぜん)として自由です (「やくざの歌」より抜粋)
Ⅳ
こんなに簡単な そして
ただ一つのことを
それがわからないで
人がみな苦労している
それはどういうことか
つまり それというのは
自分が馬鹿だってこと
これがその一つのこと
自分を利口だと
思っていればこそ
みんながみんなこんなにも
苦労しているのだ
それこそは御苦労なことだ
そして恨みようもないこと
愚一片(ぐいっぺん)の ああ
無限の明るさ―― (「人の苦労」より)
Ⅴ
唯一の真理は無常 (「真理」より)
身のまわりで親しかった人が次々と亡くなってゆく。
それも突然に。
昨日まで軽口をたたき合っていた仲なのに、きょうはもういないのだ。
〝無常迅速〟という言葉が今さらながら胸に滲む。
散る桜 残る桜も 散る桜
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