2014年1月18日土曜日

「あっちの世界」へ行ったきり

公式には『コーヒー おいしさの方程式』は本日発売される。
ただし16日にはすでに書店に並んでいた、という報告もある。
発売後間もないにもかかわらず、すでにAmazonの「グルメ一般」「飲み物」部門
で売行き〝第一位〟を獲得している。大変喜ばしいことだ。

この本の著者は2人いる。コーヒー業界きっての論客・田口護(カフェ・バッハ店主)と
人気ブログ「百珈苑」「百珈苑ブログ」でお馴染みの旦部幸博(滋賀医科大講師)だ。
旦部は大学の研究室でお茶くみ当番をやらされたのがきっかけで、コーヒー物狂いの
世界に沈殿沈没してしまった。

コーヒーの話に熱が入ってくると、一種のトランス状態に陥ってしまうのか、
小難しい化学用語を繰り出して、周囲の心配をよそに「あっちの世界」に行ってしまう。
そうなるともうお手上げだ。われら有象無象など見えても見えず。頭の中は、
ブタンジオンだのトリメチルキサンジンなどといったわけのわからない専門用語で
いっぱいになり、そのまま「あっちの世界」から帰れなくなってしまう。

こうしたある種の天災、じゃない天才を見つけだしてくる田口の眼力も大したものだが、
それに即応するMr.ブタンジオンも大したものだ。一時は笑福亭鶴瓶に足元をすくわれ
そうになったこともあるが、〝タグタンコンビ〟解消には至らず、業界関係者をホッと
させている。

この本にはすでに海外の出版社から翻訳権のオファーが複数舞い込んできている
当然だろう。〝田口本〟の売行きは海外でも安定した強さを発揮していて、
出せば必ず儲かると、版元はどこもみな分かっているのだ。

この新刊を深く理解するためには既刊の『田口護の珈琲大全』を読んでおくといい。
いきなり手にとっても分かるようには書いたつもりだが、事前に読んでおけば
奥深いところまで理解が進む。『珈琲大全』は今や東アジア圏のコーヒー業界では
無敵を誇るほどの名著とされ、増刷に次ぐ増刷で、いまでも安定して売れている。

その割にはブックレビューが少ないではないか、と訝しく思われるかもしれないが、
業界人はみな〝お山の大将〟ばかりで、自分の焙煎したコーヒーこそ日本一、
いや世界一だと思ってる。だから、こっそり赤線を引きながら読んでいたとしても、
そんなことはおくびにも出すまい。自尊心を傷つけられたくないからだ。
もちろんレビューなんぞ死んでも書かない。その微妙な心持ちはよーく分かる。
でもね、なんか料簡が狭いって感じもする。

読んで得したにしろ損したにしろ、その感想を素直に綴ってやればいい。
褒めれば著者の励みになるし、その逆であってもまた励みになる。ただし、
★5つのうち、ほとんどの人が★4~5つを与えているというのに、時々★1つを与え、
こっぴどくこきおろしているカスタマーレビューを見かけることがある。
読むと甚だ見当違いのものが多く、どこか病的な〝悪意〟や個人的な
〝恨みや妬み〟が感じられたりする。

つまり本の評判を傷つけようと確信犯的に営業妨害をしているように感じられるのだ。
1つ★をつけ、酷評することで著作にミソをつけたいのなら、
まずはそんな駄本を買ったおのれの不明を恥じるほうが先だろう。
その気概がないのなら、黙って無視していることだ。

それにしても、瞬間風速的ではあっても、Amazonの人気ランキングで〝第一位〟を
獲得するのは喜ばしい。田口本の第2弾『田口護のスペシャルティコーヒー大全』の
中国語版(台湾)では、代筆したボクのことを〝工作人員〟と、まるでスパイみたい
に扱っていたが、この呼び名がもう少しカッコよくなればもっと嬉しいのだが。

去年、ゴーストで出した単行本もAmazonの「ビジネス本」部門で、
人気〝第一位〟を獲得した。いまでも10位以内に入っているようだから、
まさに〝幽霊冥利〟に尽きると言っていい。

来月2月23日の夜には、代官山の「蔦谷書店」で「タグタン」コンビを講師に招き、
『おいしさの方程式』発刊を記念してお笑い?トークイベントを開催する。
司会進行は〝しらふ状態〟の嶋中労先生で、まともに会が運ぶかどうか、
危ぶむ声がすでに出てきている。死ぬほどヒマで、一言文句が言いたい人は
ぜひ参加してほしい。質疑応答の時間もとってありますから。




←コーヒーってこんなに奥が深い世界なの?
とビックリ仰天すること必至。買って損はないです。
福山雅治主演の映画「真夏の方程式」も評判だというから、
近頃は〝方程式〟流行りなのかもしれない。











 

 
 

4 件のコメント:

帰山人 さんのコメント...

労師、発刊おめでとうございます。
私も、この熱い「方程式」を読んで、
労師の苦労がよくわかりました。
よくぞ繋いで、よくぞ詰め込みましたねぇ…
私も「方程式」を解いてみました。
難問でしたが、旦部さんはディア・ドクターでした。
わかれば、簡単じゃないか!

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

帰山人様
おはようございます。

労いのお言葉、ありがたく頂戴します。

「チーム・タグチ」には1つの目標があり
ました。
「帰山人のクチをいかに封じるか」
唯一、これだけが目標でした。

献本もまっ先に行い、ブログ上で悪口雑言を
ぶちまけてもらう。これ以上ないくらいに
毒舌を吐き出してもらう。

帰山人に勝る毒舌家などこの世に存在しませんので、酷評したがってた連中は、
「何もそこまで言わなくても……」
と逆に我らを擁護してくれるにちがいない。

それが〝くるくるぱー作戦〟のあらましでした。
「珈琲漫考」読みました。
痛手は存外少なくて済んだようです。
ありがとうございます。

話は変わりますが、あの「漫考」という
タイトル、なんとかなりませんか?
発音するたびに赤面してしまって……

帰山人 さんのコメント...

労師、言うまでもありませんが、
では「守貞謾稿」でも赤面するのでしょうか?
ア、ソコを言い訳に狙ったタイトルなので、
いずれ出版する際もタイトル変更は不可です。
姉妹篇は「珈琲珍考」と決めておりますので、
悪しからず…

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

帰山人様

「漫考」に「珍考」ですか。
まいったな、どうも(笑)。

千思万考の果ての〝マンとチン〟では
しかたないですね。

その玉稿をいずれ出版なさる際には、
ぜひとも〝朕〟をご指名ください。
〝満腔〟の敬意を払った「あとがき」
を〝陳述〟してみせます。