次女が「カレシ(今風の言い方でどうぞ)に会ってほしい」と言い出した。
何ともいえぬ〝いやな感じ〟がおそってきて、突然不機嫌になる。
理由は分からない。木の芽時だから、ともいえるし、感じやすい年頃だから、
ともいえる。いや、娘をもつ男親が人類創世以来ずっと感じてきた胸騒ぎが
〝これ〟にちがいない。
ボクは反射的に「いやだね」と言った。娘にではない。娘との仲介役をつとめている女房
にである。わが家の女3匹はスマホで結ばれている。相談事はすべて女房の担当で、
おやじは完全に干されている。癇癪持ちで、すぐ頭ごなしに「バカヤロー」と叫ぶ野蛮な
おやじなんか、とっくの昔に娘たちの視界から消去されている。
「あなたも結婚する前の自分を思い出してみればいいのよ。相手の父親から会いたくない
といわれたら悲しいでしょ? いつかは親元を離れていくものなんだから、会いたくないと
こどもみたいにダダをこねたって仕方ないじゃないの。ほんとうに勝手なんだから……」
女房は呆れ果てたという顔をして、そっぽを向いた。
カレシがどんな素性の人間かは知っている。写真も見た。
どうやら二人は、結婚を前提につき合っているらしい。
ボクは以前、娘たちの結婚相手にいくつか条件を付けたことがある。
●スポーツマンであること(できれば体育会系。でも脳みそまで筋肉というのは困る)
●朝日、毎日、岩波の愛読者でないこと(愛読者はほとんどクルクルパーである)
●酒が飲めること(でも寝酒に三升飲む『酔いどれ小藤次』みたいな吞兵衛はお断り)
●読み書きソロバンができること(=要はふつうの教養人であればいい。学歴なんぞ問わない)
●愛国者であること(靖國参拝を課すわけではないけどね)
ほんのささやかな条件である。
守る守らないは別として、小さい頃から〝洗脳〟してきたおかげで、
娘たちは草食系のナヨナヨした男など目もくれなくなった。
戦後民主主義を信奉する左翼リベラリストも自然と消去されていった。
で、次女のお眼鏡にかなった運の悪いオトコだが、もとアメフトの選手らしく、
もくず蟹が甲冑を着たようなからだつきをしている。ボクも胸囲120センチと胸板と
面の皮だけは厚いほうだが、それよりひとまわりも二回りも大きい。
この男が朝日ぎらいで愛国者かどうかは知らない。
が、少なくとも見た目は頼り甲斐のありそうなオトコである。
娘が選んだオトコだ、おやじが「いやだ、いやだ」とダダをこねたって
所詮、結婚する時は結婚する。ムダな抵抗だと分かってはいる。
でも、この〝いやな感じ〟がなかなか拭い去れない。
婿が誰であっても、「会うのは結婚式の当日でいい」なんて思っている。
たしか以前はインテリ臭いドイツ人とつき合っていたはずなのだが、
ある日、「なんだか頼りないから別れた」と、あっけらかんと告げられた。
「日独防共協定」はこれでご破算となった。
そうそう、頼りないヤツはだめ。いざという時は鉄砲かついでお国のため、
家族のために一身を捧げる男でなけりゃね。
娘をもつ男親に必ず訪れるというこの〝いやな感じ〟。
「おまえは何にも感じないのか?」
と女房に聞いたら、
「感じるも何も、しょうがないじゃない。いつかはお嫁に行くんだから」
と、のれんに腕押しで、いっこうに張り合いがない。
これが息子だったら、女房も男親が感じるような〝いやな感じ〟を感じるのだろうか?
ああ、いつか来る日、とは分かっているが、
先延ばししてほしい気持ちと、「早く嫁に行ってしまえ!」という気持ちが
綯い交ぜになって、なんだか妙に落ち着かない。
木の芽時になると、ひとは精神に異常をきたすという。
こんな時は酒を飲んでやり過ごすしかないだろう。
誰かつき合ってくれるヒマなやつ(数人、思い浮かべてる)はいないかしら。
※追記
お見合い(何が見合いだ!)した感想;
「いやな感じ」の男は、想像以上に「いい感じ」の男であった。
悔しいけれど、それが正直な印象だ。このポンコツおやじは
ほんとうに定見がないな(笑)。
何ともいえぬ〝いやな感じ〟がおそってきて、突然不機嫌になる。
理由は分からない。木の芽時だから、ともいえるし、感じやすい年頃だから、
ともいえる。いや、娘をもつ男親が人類創世以来ずっと感じてきた胸騒ぎが
〝これ〟にちがいない。
ボクは反射的に「いやだね」と言った。娘にではない。娘との仲介役をつとめている女房
にである。わが家の女3匹はスマホで結ばれている。相談事はすべて女房の担当で、
おやじは完全に干されている。癇癪持ちで、すぐ頭ごなしに「バカヤロー」と叫ぶ野蛮な
おやじなんか、とっくの昔に娘たちの視界から消去されている。
「あなたも結婚する前の自分を思い出してみればいいのよ。相手の父親から会いたくない
といわれたら悲しいでしょ? いつかは親元を離れていくものなんだから、会いたくないと
こどもみたいにダダをこねたって仕方ないじゃないの。ほんとうに勝手なんだから……」
女房は呆れ果てたという顔をして、そっぽを向いた。
カレシがどんな素性の人間かは知っている。写真も見た。
どうやら二人は、結婚を前提につき合っているらしい。
ボクは以前、娘たちの結婚相手にいくつか条件を付けたことがある。
●スポーツマンであること(できれば体育会系。でも脳みそまで筋肉というのは困る)
●朝日、毎日、岩波の愛読者でないこと(愛読者はほとんどクルクルパーである)
●酒が飲めること(でも寝酒に三升飲む『酔いどれ小藤次』みたいな吞兵衛はお断り)
●読み書きソロバンができること(=要はふつうの教養人であればいい。学歴なんぞ問わない)
●愛国者であること(靖國参拝を課すわけではないけどね)
ほんのささやかな条件である。
守る守らないは別として、小さい頃から〝洗脳〟してきたおかげで、
娘たちは草食系のナヨナヨした男など目もくれなくなった。
戦後民主主義を信奉する左翼リベラリストも自然と消去されていった。
で、次女のお眼鏡にかなった運の悪いオトコだが、もとアメフトの選手らしく、
もくず蟹が甲冑を着たようなからだつきをしている。ボクも胸囲120センチと胸板と
面の皮だけは厚いほうだが、それよりひとまわりも二回りも大きい。
この男が朝日ぎらいで愛国者かどうかは知らない。
が、少なくとも見た目は頼り甲斐のありそうなオトコである。
娘が選んだオトコだ、おやじが「いやだ、いやだ」とダダをこねたって
所詮、結婚する時は結婚する。ムダな抵抗だと分かってはいる。
でも、この〝いやな感じ〟がなかなか拭い去れない。
婿が誰であっても、「会うのは結婚式の当日でいい」なんて思っている。
たしか以前はインテリ臭いドイツ人とつき合っていたはずなのだが、
ある日、「なんだか頼りないから別れた」と、あっけらかんと告げられた。
「日独防共協定」はこれでご破算となった。
そうそう、頼りないヤツはだめ。いざという時は鉄砲かついでお国のため、
家族のために一身を捧げる男でなけりゃね。
娘をもつ男親に必ず訪れるというこの〝いやな感じ〟。
「おまえは何にも感じないのか?」
と女房に聞いたら、
「感じるも何も、しょうがないじゃない。いつかはお嫁に行くんだから」
と、のれんに腕押しで、いっこうに張り合いがない。
これが息子だったら、女房も男親が感じるような〝いやな感じ〟を感じるのだろうか?
ああ、いつか来る日、とは分かっているが、
先延ばししてほしい気持ちと、「早く嫁に行ってしまえ!」という気持ちが
綯い交ぜになって、なんだか妙に落ち着かない。
木の芽時になると、ひとは精神に異常をきたすという。
こんな時は酒を飲んでやり過ごすしかないだろう。
誰かつき合ってくれるヒマなやつ(数人、思い浮かべてる)はいないかしら。
※追記
お見合い(何が見合いだ!)した感想;
「いやな感じ」の男は、想像以上に「いい感じ」の男であった。
悔しいけれど、それが正直な印象だ。このポンコツおやじは
ほんとうに定見がないな(笑)。
2 件のコメント:
ROUさん、
こんにちは。
おめでとうございます。
いつでもお付き合いしますよー、そろそろ飲みたいでしょ?
あ、5月19日以降でお願いしますね。
NICK様
あのね、まだオメデタではないの。
その話題はやめてくれる?
さて、ここでみなさんにお知らせ。
毎度わけのわからんコメントでお馴染みの
NICKさん(純日本人です)が、裏芸とは思えない超絶テクのオルガン演奏を披露いたします。
日時は以下のとおり。
日時:5月19日(日)pm19:00~開場
場所:Organ Jazz倶楽部
(西武新宿線沼袋駅前)
ギター:井田隆一
オルガン:NICKさん
ドラム:斉藤純
聞くところによると、スペシャルゲストの
斉藤純が有名なドラマーらしい(知らなかったわァ)。
NICKさんのハモンドオルガンもすごいよ。
なんてったって4歳の頃からピアノ弾いてるからね。毛むくじゃらのごっつい手指だけど、
演奏は玄人はだし。
ジャズがお好きな人はぜひどうぞ。
当日はボクも聴きに行きます(もちろん義理で)。
NICKさん、くれぐれも恥かかないでね。
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