2012年5月17日木曜日

役人に食い潰される日

フリーライターになりたての頃、農水省傘下の天下り法人で仕事をもらったことがある。
ヨーロッパなどで盛んなアグリツーリズム について、日本での将来性を探ってくれ、
という依頼である。今から25年ほど前の話で、今はグリーン・ツーリズムなどと呼ばれているが、
要は農村民泊のことだ。ボクは全国各地へ飛び地道に取材して回った。
震災被災地の福島・飯舘村などにも足を運んだ。できあがったレポートは大部のもので、
それに見合う報酬もいただいた。

何が言いたいのかというと、1年ほど出入りしたその天下り法人は文字どおりの〝天国〟
だった、ということだ。ボクの〝畢生の大作〟は「ハイ、ご苦労さん」のひと言で、そのまま
お蔵入り。誰にも見られることなく棚の奥に仕舞いこまれてしまった。
こうしたプロジェクトを達成しました、という単なる証拠物件みたいなものだから、
労作もヘチマもない、ハナから中身なんてどうでもいいのである。

この天下り法人、3月の年度末になると、「どこへ旅行に行く?」なんて話で持ちきりになる。
早い話、出張名目でどこか温泉めぐりをし「余った予算を使ってこい」ということなのだ。
ボクは下請け業者だから見て見ぬふりをしていたが、(民間なら確実に潰れるな)と、
あまりの〝ぬるま湯〟ぶりに開いた口がふさがらなかった。

ギリシャでは大人の4人に1人は公務員だという。日本のうわてを行く〝役人天国〟で、
公務員は「◇△手当」の名目で次々と加算され、時にその加算分は基本給の3倍にも
なってしまう。年金は50代から支給され、本人が死亡した場合、受給権は妻だけでなく、
未婚または離婚した娘も引き継ぐことができるという。
この税金太りした連中が今、EUの課した財政緊縮策がいやだとダダをこねている。
いったい誰が同情するか、そんなもん。

このギリシャ式役人天国、日本に置きかえたってそう変わりがない。
ギリシャではパソコンを使う公務員に「パソコン手当」、休みをとらない職員に
「皆勤手当」が支払われていたというが、日本でも国と地方を問わず、
公務員は8キロ以上の遠出をすると1回1000円程度の「旅行手当」がつく。
和歌山や広島でも支給されるという「寒冷地手当」、ハローワークの窓口で働くのは
精神的苦痛を伴うからと支払われる「窓口手当」、なんと川崎市には「出世困難手当」
なる珍種もあったという。

係長を5年やっても課長になれない。こうしたダメ人間は半ば哀れみと親しみを込め
「(出世が)困難係長」と呼ばれていた。そして彼らには課長に準ずる給与が支払われて
いたのである。ことほどさように、日本は役人ウハウハ天国で、
年金も退職金も健康保険も住宅も、すべて民間をはるかに上回る充実ぶりなのである。

「官僚を打倒する!」と鳴り物入りで政権をとった民主党。
今や逆に打倒軽蔑罵倒され、公務員という名のノーメンクラツーラが国中に溢れかえっている。
ギリシャの悪夢が日本でも現実となる日はそう遠くはないだろう。

ハッキリ言ってしまおう。ボクは役人がきらいである(軍人や消防隊員など一部を除く)。
娘たちには「役人と銀行員とだけは結婚してくれるな」ときつく申し渡してある。
役人天国か、思うだに胸っクソわるくなる。

2 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。

私事ながら、ROUさんにキャッチボールをしていただいたうちの下の愚息はROUさんちのお嬢さんの婿候補からは外れてしまったようです。

さすがに役人にはなりませんでしたが、某銀行から内定をもらって、本人行く事にしたようなので・・・

といっても、あっ○ちゃんよりも、な○ちゃんよりも歳下でしたな。(だからなんだといわれそうですが)

なんとなく自然の摂理的に亭主の方が年上っていう観念は捨てられないもので。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

そうでした、NICKさんのお坊ちゃまは
何とかという有名銀行から内定をもらってましたね。

あの児はいい子です。
でも銀行はきらい。

師匠譲りなんでしょうかね、
銀行嫌いは。

実は兄が元銀行員で、
弟が現役の役人です。

だからというわけではないのですが、
役人と銀行マンは苦手なんです。

NICKさんの愚息(ボクが言っちゃマズイかしら)とボクの愛嬢が結ばれることはまずないでしょうね。