2012年5月9日水曜日

ジイさんの示威行動

今朝もプールでひと泳ぎした。
まずウォームアップ代わりにクロールで800メートル。
身体がほぐれたら、次はバタ足25メートルを10本と
50メートルのダッシュを10本。ついでに200メートルを2本。
最後にバタフライを数本。これでだいたい2000メートルくらいか。

昨夜は寝不足なので、このくらいで切り上げる。
ハリ切りすぎると昼飯後に眠くなり、仕事にならないからだ。
近頃は歳のせいか、ソファに横になるとそのまま寝入ってしまうことが多い。
「まったくいいご身分だわね……」
女房の皮肉が聞こえてきそうだ。

ボクの通うプールにはジジババしか来ない。
たまに若い娘が入ってきたりすると、ジイサンたちは俄然ハリ切り出し、
娘の目の前で慣れないバタフライなんぞを披露したりする。
ジジイの求愛、ではない示威(じい)行動である。

先日、若い夫婦らしきカップルがひょっこり現れた。見かけぬ顔だから、
たぶん初めてなのだろう。サーフパンツの旦那は泳ぎが苦手のようで、
子供用プールでひとりバシャバシャやっている。

奥方のほうはトビウオみたいなスイマーで、いきなりボクたちの上級者コースに
飛び込み、スーイスイ。
(いいね、ありゃモノホンだな……)
オジサンやオジイサンたちからため息がもれる。おまけに美人でスタイルがいい。

若い女性が泳ぐと塩素入りプールも少しばかり清められるような気がして、
たとえゲボッと飲み込んでも、「聖水」を飲んだみたいで気持ちがいい

オジサンたちはみんな同じ気持ちなのか、なんだかんだと言っては
美人スイマーにすり寄ってゆく。いつの間にか彼女の周りはオジサンの
人だかりだ。オバサンたちはその光景を横目に見て、
「男って、やーね」と眉をひそめている。が、オジサンたちはどこ吹く風だ。

かわいそうなのは子供プールで無聊をかこっている若旦那だ。
自分の女房がわけのわからん変態オヤジたちに囲まれ、
いまにも襲われそうな雰囲気なのだから、気が気じゃない。

それにしてもハダカになってしまうと、野生の本能が目覚めるのか、
男はオスになり、女は露骨にメスになる。かみしもを脱いだ途端に
ケダモノ化現象が起きるのだ。それは齢を食っても変わらぬようで、
むしろ齢を重ねたほうが色濃く出てくるような気がする。

しょんべん臭いプールの水を聖水に変えてくれた美しきスイマーは
草食系亭主に手を引かれ、そそくさとプールを出ていってしまった。
残されたのは相変わらずのジジとババ。先ほどまでバタフライの
示威行動に励んでいたジイサンは、今度は自慰行動にいそしむべく、
つまらなそうな顔して、これまたつまらなそうな顔をしたオバサンたちの群れに
すり寄っていった。








8 件のコメント:

Nic's Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。

今回は、随分素直ですね。

突っ込みどころが全くありません。

しいて言えば、再度その若夫婦がプールに来ますように。

以上

帰山人 さんのコメント...

労師、ヒトは見た目が何割とかいう話がありましたが、
(ウェアは別としても)身なりで差別化できないプールで、
ジイさんたちがハリきるのは、「ハンディキャップ理論」
によるもの、と考えられます。ジイサンのバタフライは、
ガゼルがチータの目前でストッティングするのと同じ。
ハダカになってケダモノ化、ジイサンたちもかわいいコト。

ところで、我が国の近隣では、自らの非力非道を顧みず、
領海でストッティングする妙な国々がありますね。
こっちの「ハンディキャップ理論」はニセモノですから、
かわいくもなんともない。笑えるのはプールだからで、
同じ水たまりでも領海を荒らされている場合は笑えない。

なごり雪 さんのコメント...

嶋中 労さま

水を介して、
いろんな人間と繋がってるんですね。

まさに絆じゃん。

あの娘のアソコと労さまのアソコ。
じーさまのアヌスと労さまのマウス。

どんな美人でも、
たった一人じゃ汚水は浄化できません。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

ずいぶん素直って言われてもねえ。
ありのままを描写しただけで……

ただニンゲンって面白いなあ、
と改めて感じた次第。

旦那はいいから、若妻だけで
来ないかしら。
あの清らかな聖水をもう一度飲みたい。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

帰山人様

ストッティングって、
「オレは速いんだぞォ。追っかけてもムダだよ」って思い知らせるため、
ライオンなんかの目の前でピョンピョン跳ねるアレでしょ?

言い得て妙だな(笑)。
ジイサンのストッティングか、
こいつはいいや。

閣下も得意の山岳トレイルかなんかで、
美人走者の前でピョンピョン
跳ねてんじゃないの?
そのマヌケな姿が目に浮かびますよ。

ケダモノってかわいい。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

なごり雪様

アヌスとマウスだなんて、ずいぶん露骨だな。
もっと品良くやってよね。

ここはお上品な人たちの集まりなんだから。
「アソコとアソコ」もだめ。

顔を洗って出直してね。

Nick's Bar さんのコメント...

ROUさん、

再度、こんにちは。

「変態オヤジめ……」と眉をひそめられてしまったそうですが、ある意味、女性の方が「女性美」に関する「審美眼」と「価値」に厳しい基準を持っているものと思われます。

眉をひそめられた意味には、「なんであたしたちじゃなくて、あの小娘なのよ」と言う事を正直に表明すると供に、「小娘の美」が「あたしたちの美」より価値があるということを認めざるを得ないという自分がいるというやり場のない怒りにもにた感情があるということです。

女性は知的な生き物ですから、若くてぴちぴちした男は嫌いではありませんが、さほどそこに大きな意味を見出しません。

逆に、オスは単純な動物ですから、若くてぴちぴちしてれば、脳内ニューロンの構造がどうなっているのかは二の次にして、なんとかお近づきになりたいと、意味もない示威行動を開始してしまうのであります。

かくて、女は怖い。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

女は知的生物で男は痴的生物?

「この痴れ者め!」と時代劇なら
言われるところでしょうか。

難しい理屈はわからんけど、
要はスケベなのよ、男は。
いや女も。

スケベでなかったら
とっくに人類は絶滅してます。

帰山人氏のおかげで
stotting(ストッティング)という
言葉を覚えました

いいですねえ、艶っぽい女の前で
ピョンピョン跳ねるって。

どこかにいないかしら、
跳ねるに値する女は。
K女史? すっかり忘れてました。

いましたねK女史が。
ボクは跳ねますね、いくらでも。
恐怖におののきながら……。