2011年12月6日火曜日

イタリアンには鍋料理を

暮れに、長女の友人たち4人がイタリアからやってくる。
8年前に留学した際の高校の同級生たちである。
国が破産寸前だというのに、わざわざ東洋の果てまで来て、
のんびり物見遊山なんぞやってていいのか、
とこっちはいささか心配になるが、来てくれるのはとても嬉しい。

サービス精神旺盛な長女は、時間の許す限りつき合ってやりたいと、
今まさにプランをあれこれ練っている。わが家でも歓迎パーティを
開く予定だから「お父さん、料理のほうはよろしくね」などと、
もう勝手に決め込んでいる。

なに、料理はすでに決まっている。真冬となれば鍋が一番だろう。
鍋といえばキノコと鶏肉をどっさり入れたきりたんぽ鍋がいい。
好きもきらいもない。四の五の言わせないのがわが家流で、
いやでも食ってもらうのだ。

イタリア人は総じて味覚の許容度が狭い。
自国の料理を世界最高と思っていて、
それ以外は「蛮人の食べもの」くらいにしか思っていないので、
なかなかやっかいな連中なのである。

「以前、お煎餅を食べさせたら、気持ち悪いって吐いちゃったもんね」
とは幾度となく彼の地を訪問している女房の憤慨の弁である。
トリノのホストファミリーには毎年Xmasプレゼントを贈っているが、
中身はほとんどチョコでコーティングされたグリコのポッキーである。
煎餅などあられの類は御法度。
ホスト家は日本の菓子というとポッキーしか食べないのだ。

「まず手始めは月島のもんじゃ焼きだね」と
長女はピッツァならぬもんじゃ焼きで攻めたてるようだ。
その後は日本の誇る各種ラーメンでガツンと一撃し、
回転寿司で目をまわらせ、父親自慢のきりたんぽ鍋でトドメを刺す。

厚かましくも長女はわが家に持ってくるべき手土産まで指定している。
クリスマス前後に食べるパネットーネという円筒形のお菓子を持ってこい、
と注文をつけているのだ。この時期、わが家はパネットーネを数種類食べる。
イタリアの店に直に注文することもあるし、日本の店で買うこともある。
このお菓子に関しては、何かと口うるさいのである。

年末、次女はアメリカのホスト家を再訪する予定であいにく留守。
イタリア語ができるのは長女とわずかに女房だけだ。
ボクは正調日本語と片言の英語でがんばるしかない。
にぎやかな年の瀬になりそうである。











2 件のコメント:

Nick’ Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。

イタリアには数回ですが行きました。
けっして味音痴な方々だとは思わなかったと言うのが正直な感想です。

しかし、食べつけぬもの、初めてのものに対しては左様な抵抗があるとは存知ませんなんだ。

最初は「イジメ」と受け取られるやもしれませんが、そこは持ち前の寛大な心と巧みな話術で懐柔してください。

健闘を祈ります。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

人にもよりましょうが、
総じて欧米人は味に保守的というか、
食べ慣れたものしか口にしない
傾向はありますね。

たぶんそれがふつうで、
ダボハゼみたいに何にでも
食らいつく日本人が
例外的存在なんでしょう。

韓国人も日本旅行をすると
焼き肉屋ばかり行きたがるといいます。

他国へ行ってその国のものを
食べなけりゃ面白くも何ともないと
思うのですが、そう思うのは
どうも日本人だけらしい。

死んだアメリカの叔父は
日本に来ると何にでもケチャップ
をかけてました。せっかくの手料理も
ケチャップまみれになるので、
母がガッカリしていたのを
よーく憶えています。

NICKさんもご存知のように、
ボクの手料理はとにかくうまい(笑)
ですから、
みんな獣みたいにガツガツ食べてくれるでしょう。
ケチャップがほしい、などと言おうものなら
張り倒してやります。

そういえば商社マンのNICKさんは
鉄の胃袋を持っていらして、
海外出張の折には、ネズミとか
トカゲとか、昆虫とか、
なんとアルマジロまで食べちゃった
と聞きおよびます。

最近は「人を食ってる」とか。
ほどほどに願いますよ。