2011年12月11日日曜日

あの日から9ヵ月


あの震災から今日で9ヵ月。TVニュースで両親と妻と子を失った男性が仏壇に置かれた遺影を前に、「泣いてばかりいるとみんなに心配かけるから泣かねえようにしてっけど、やっぱ泣けちゃうんだよ」と、目を真っ赤にしていたけど、こっちはまたまたもらい泣きだ。大事な家族をいちどきに失ってしまったら、ボクなんかとても生きてゆけそうにない。このひとりぽっちにされてしまった男性の気持ちを推し測るだけで胸が張り裂けそうになる。あれはまさに悪夢だった。

東北の被災者の人たちの苦しみに比べれば――このフレーズはけっこう迫力がある。女にふられただの、金が無いだの、いじめにあっただの、鼻ぺちゃで胴長で足がくさいだのといった悩みという悩みのことごとくが、薄っぺらでちっぽけな悩みに思えてくる。

長女は岩手・大船渡へ十数回支援に通った。あまり話したがらないが、ギョッとする凄惨な話も数多く聞いたらしい。外国人ボランティアたちといっしょに泥まみれ埃まみれになって活動した。ガレキの撤去、個人宅の後片付け、ドブさらい、写真整理……できることは何でもやった。外国人たちも黙々と汗を流した。All Handsの活動はいちおう終止符を打ったが、娘と彼らとの交流はfacebookなどを通して今でも続いている。

そんな中で母が死に、次女が就活に奔走し、毎日ぐちゃぐちゃになって生きてきたら、とうとう師走になってしまった。そしてこっちは来年年男になる。「まだまだ若いわよ」なんて周りのものは言ってくれるけど、身体はけっこうガタがきている。腰痛、高血圧、飛蚊症、頭のてっぺんは薄くなるわ、目はかすみ、膝がカクカクいうわ、ろくなもんじゃない。

それでも、東北の被災者の身の上に比べれば、すべて甘ちゃんの寝言みたいなもの。もういっぺん顔を洗って出直してこい、ということになる。人の一生は儚い。命なんて塵芥(ちりあくた)のように消え去ってしまう。それほど尊いものなのに、碌々(ろくろく)と為すことなく過ごしてしまった五十有余年。自分は何をするために生まれてきたのか――この齢になっても書生じみた思いに悩んでいる。












4 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。

9ヶ月も過ぎたんですね。早いものです。
実害を受けなかった私なんぞは、そろそろ歴史の一ページに収納されつつある観もあるのですが・・・・

それとは別に、

同い年の友人について、その元上司から重たいメールが来ました。その上司とも私は浅からぬ面識はあるのですが。

某大手製薬会社の人事部長をやっている友人。3.11で東北の営業所がかなり被害を受け、休日返上で飛び回っていました。

夏くらいに体調がすぐれないと漏らしていたんですが、本人、まぁ、ちょっと過労気味だからとやり過ごしていたらしいです。

10月になって、どうにも動けないと言う事で病院へ行って。薬をもらって、その後も調子のいい時は出社していた。しかし、この時点で、本人は何が起きているかを知っていたそうです。

そして、先月になって貧血が酷くなり入院。今も、入院中。

診断は、膵臓癌Ⅳ期、肝臓転移あり、とのこと。お見舞いに行った元上司に、本人が親しい友人には連絡をして欲しいと頼んだのだそうです。

膵臓は肝臓の裏側に複雑に絡みついている臓器で、Ⅰ期でもⅡ期でも外科的治療はかなり難しく、ましてやⅣ期。外科的手術をしても、術後QOLがよくなるわけではないですし、完治を目指すのではなく、延命治療に終始せざるを得ないとのこと。

これをどう捉えたらいいのか、難しいです。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

つらい話ですね。

膵臓癌はサイレント・キラーといって
ほとんど初期症状がないといいます。
気づいた時はもう遅い。

それでも食欲がない、体重が落ちた、
身体がだるい、といった症状は出るといいますから、少しでも異状を感じたら、我慢せずに医者へ行く、ということでしょうね。

ボクは今のところ食欲旺盛で、
体重もどんどん増えて
健康そのものです(あれっ?)。

NICKさんもはちきれそうに
ふくらんでますから、
たぶん膵臓のほうは大丈夫でしょう。
(他の臓器は知らない)

もはや延命治療しかない、とは残酷な話ですが、それが非情な現実でしょうね。

これまた残酷な物言いになりますが、
『「平穏死」のすすめ』(講談社)という本があります。母が幽冥界をさまよっている頃、
読んだ本で、示唆に富むすばらしい本です。

まさか贈るわけにもいかないので、
将来の自分のために読んでみてください。

Nick's Bar さんのコメント...

12月23日、午前11時に永眠されました。

お勧めの本は翌日手に入れて即日読みました。

この友人の場合にはちょっと当てはまらないものでしたが、来年84歳になる父親の先のことを考えると、色々、説明できない何かが去来したのは事実です。

参考になる日が来ないことが最善ですが、来たときに慌てずに対応できるかと。

ありがとうございました。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

ご友人の死、悲しいですね。
身のまわりに、いろんな「死」の
形があります。

数日前、ボクが通っている
プールのところの横断歩道で、
20歳の女子学生がひき逃げされ
亡くなりました。

病院での死、虫けらみたいな死、
自分はどんな形の「死」を
迎えるのだろう、と時々考えます。

死者の心よ安らかなれ、と切に思います。