明治の昔、アイヌのことを公式には「北方土人」とか「旧土人」
と称していた。しかし今、この土人という言葉は差別用語ということで使えず、
ネイティヴとか「先住民」などと言い換えられている。トルコ風呂がソープランドに、
ネイティヴとか「先住民」などと言い換えられている。トルコ風呂がソープランドに、
痴呆症が認知症に〝格上げ〟されたのと同じ理屈である。
アメリカでは1980年代に、差別偏見のない中立的な表現をいたしましょう、
というムーヴメントが高まり、人種、性別、職業、文化、ハンディキャップ、
年齢等による差別表現とおぼしき単語が次々と駆逐されていった。
いわゆるpolitically correct(PC)というものである。
男性優位を象徴しているような、たとえばchairman(議長)はchair personに、
policeman(警官)はpolice officerに、fireman(消防士)はfire fighterに
というように、とにかくmanのつく言葉はたちどころに排除されていった。
なんとmanhole(マンホール)もperson holeと呼べなんていわれている。
Merry Christmas!(メリー・クリスマス!)もだめ。非キリスト教徒の人たちも
いっぱいいるのでHappy Holidays!と言え、というわけだ。人権を重視するあまり、
なんだかとてもややこしいことになっている。
アメリカとイギリスへ留学した次女にそのへんの事情を聞いてみたところ、
「そうね、Merry ChristmasよりはHappy Holidaysのほうが一般的かな。
イギリスではHappy Christmasなんていうのも使ってたけど……でも背の低い人を
shortじゃなくvertically challenged(垂直的障害のある)なんて言うのはやりすぎで、
かえって差別的なんじゃない?」
和製英語のブラインドタッチもだめ。blind(めくら)が差別的ということで、
いまはタッチタイピングとかタッチメソッドが一般的だ。もっとも、
中国ではいまだに「盲打」という言い方をしているから面白い。
ボクなんか「めくら打ち」に大賛成なんだけど、いったいどこがいけないわけ?
美人は3日で倦き、醜女(ぶす)は3日で慣れる、というからugly(醜い)を
Cosmetically different(美容上の見解の?相違)と呼ぶのは勝手だが、
Worst(最悪な)を遠慮がちにLeast best(ベストから最も遠い)と言い換えたって
ワーストであることには変わりがない。
つまりpolitically correctで表現されるほとんどすべてが、
リベラル派へのお追従であり、弱者へのリップサービスであり、
見え透いたおべんちゃらなのだ。要するに偽善なのである。
頭のてっぺんが薄くなりかけてきたボクは、そのうちcomb free(くし要らず)
などと呼ばれるに違いないが、bald(ハゲ野郎!)とズバリ言ってくれたほうが
どれほど救われるか(救われねェか)。
この伝でいくと「女ぎらい?」のボクは、さしずめfemales free(メス要らず)で、
金がなくピィピィ言ってても、貧乏人はmoney free(カネ要らず)っていうのかしらん?
痩せ我慢もここまで来ればたいしたもんだ。
4 件のコメント:
ROUさん、
こんにちは。
あたかも中立、かつ偏見を持たぬ言い方のように聴こえますが、誰にとって「Politically」で、なにをもって「Correct」なのかという出発点が、実はとっても独りよがりだと思いまする。
一昔前にはやった「うーまんりぶ」や「フェニミズム」の思想に相通ずる臭いを感じまする。
ま、何にしろ度を越すとろくな事はありません。
NICK様
なんてったってNICKさんは
PCが大きらいだもんね。
リベラリズムとか人権ってものが
のさばってくると、みんな遠慮がちになって、
心のうちの真実を隠そうとするのかしら。
資本主義的な競争社会にあっては
強者と弱者が厳然としてあって、
いくら猫なで声で呼んでみても
弱者救済にはつながらないのにねェ。
だからこのPCってやつは
強者の論理を貫くための
リップサービスというか
隠れ蓑って感じがするのですよ。
実にうさんくさいものです。
10年ほど前、埼玉県の高等学校を全て共学にするという怪しげな動きがありました。ナントカの品格とかいう本を出した立派なオヤクニン様(当時)がその先頭に立っており「多感な時期に片一方の性しか周りにいないと、偏った人間になる」と仰せでした。男子校出身者の私が「つまりは、オレ達は『カタワ』だとでも言いたいんですか?」とその反対運動の席上で申し上げたところ、「今の発言を議事録から削除してください」との声が挙がりました。きっと私は「心の不自由な方」だったのでしょう・・・
勝手に私のブログから本日の「男の穴」にリンクを張ってしまいましたことご了承ください。
高校39年生、またの名を胡塞齋様
男の穴でも尻の穴でも、
遠慮なく貼りついてください。
そうですか、貴兄はやっぱり
「心の不自由な方」だったんですね。
フムフム……(としきりに感心)
ボクも「◎◎の不自由な方」の典型で、
◎◎の中にはありとあらゆるものが
当てはまります。
ボクも男子校出身者のカタワですが、
今にして思えば、やっぱカワユイ
女の子らと共学のほうがいかったかな、
な~んて思っていちゃったりして……
心や金に不自由はしても、
女の子だけは不自由したくな~い(笑)。
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