2011年8月10日水曜日

それがどうした

次女の友人たち、とりわけ英国出身の留学生たちにはなぜか
エキセントリックeccentricな人間が多い。Danielは極端な
偏食家で、日本での主食はラーメン。それも博多一風堂の
豚骨ラーメンが大のお気に入りで、それ以外の食べ物は
ほとんど受けつけない。そのためか欠食児童みたいに生気がなく、
背中をトンと押されたら倒れてしまいそうだ。

広島の大学で学んでいるEmmaも見るからに畸人変人のたぐいで、
さすがにMr.ビーンを生んだ国の娘だ、顔の表情やジェスチャーが
とにかくおかしい。彼女が投稿している動画サイトには
その畸人ぶりが横溢し、爆笑に次ぐ爆笑だ。

エキセントリックの反対語はコンセントリックconcentricで、
「同心円的な」とか「集中的な」という意味で、円とか球の中心に向かう
感覚をいう。エキセントリックは逆に「離心円的な」とか「常軌を逸した」、
「風変わりな」という意で、円の中心から外に向かって離れていくような
ニュアンスで使われる。

日本は〝和を以て貴しと為す〟の国。つまり典型的なコンセントリックな
お国柄で、「くれぐれも人に笑われないように」といわれて育つためか
エキセントリックな人間が生まれにくいといわれている。
逆にイギリスは「人と違ったことをやれ」というお国柄。
エキセントリックな人間に対してはひどく寛容なところがある。

幕末から明治期にかけて、日本にも齋藤緑雨や淡島椿岳・寒月父子といった、
世界のどこへ出しても恥ずかしくない?エキセントリックな人間たちがいた。
椿岳はボクの出身地・川越の生まれで、本業は画家。
奇才縦横円転滑脱、やることなすこと奇妙キテレツで、
超マルチな趣味人ぶりはケタが外れていた。

笑っちゃうのは椿岳の辞世の句。
今まではさまざまな事してみたが 死んでみるのはこれが初めて
なんとも人を食っている。

齋藤緑雨だって負けちゃいない。
僕は、本月本日を以て目出たく死去仕(つかまつり)候」という
死亡の自家広告まで出している。死生までをも茶にしてしまう、
という筋金入りの洒落っ気だ。江戸戯作者の流れを汲むという
浮世三分五厘の人生観をみごとに貫いている。

緑雨の名言は数々あれど、これも面白い。
それが何(ど)うした。唯この一句に、大方の議論は果てぬべきものなり」

たしかに世の中のクソ真面目な議論なんぞ「それがどうしたSo what?」の
一言でことごとくナンセンス化してしまう。

菅首相が退陣する? 「それがどうした?」
株価が9000円を割った? 「それがどうした?」
美人の後家さんに言い寄られた? 「それ……それでどうなった? ねェ」






2 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。

Eccentricがいいのか、Concentricがいいのかというは、まぁ、無駄な話です。

Eccentricが集合体になれば、Eccentricが通常のこととなり、EccentricでないことがEccentricとなりうるという逆説的な状態になってしまうような気がします。

要は、「夫妻」という単語の成り立ちと一緒で「互いに他を補完しあわなければ存在しない」っちゅうことですな。

ま、これこそ「So What?」の典型かもしれませんが。


土曜日も暑そうですねぇ・・・
内側から冷やしにいきますかね?

では。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

お暑ゥございます。

ボクの周りには、NICKさんのような
eccentricな人間ばかりが
なぜか蝟集しております。

ボクは典型的なconcentricな人間ですが、
eccentricな連中に囲まれていると、
なんだか自分がひどくエキセントリックな
人間になったような気がしてきます。

とまあ、以上のような解釈で
よろしゅうございますか?

話は変わりますが、
クレーム・ド・カシスという
リキュールにビールを注ぐと、
黒ビールになります。

たまたま実験してみたんですが、
味も色もみごとに黒ビールに
変身してしまったんです。
で、毎日黒ビールを堪能してます。

ついでですが、
●トマト+砂糖=いちご
●きゅうり+ハチミツ=メロン
●ホットミルク+刻んだタクアン=コーンスープ
●プリン+醤油=ウニ

死ぬほどヒマでしたら、
いっぺんためしてみてください。