今年の流行語大賞が発表された。
「ゲゲゲの~」や「AKB48」、「女子会」、
「イクメン」などがそれだ。
流行語にうとい僕は、いまだに「AKB48」というグループ
を知らず、漫才コンビ・Wコロンの「ととのいました」
が何を指しているのかが分からない。かろうじて分かるのは、
育児に積極的な男性を指す「イクメン」と、
せいぜい「脱小沢」とか「食べるラー油」くらいなもので、
いかに現代に生きていないかを痛感する。
イクメンなどといわれると、オトコの突然変異みたいな響きがするが、
僕なんか20年来、ずっとイクメンをやってきた。もっと言えば、
布オムツにべったりついた糞尿を便器に突っ込んで、ゴシゴシ洗う
ところからやってきた。おまけにその手(少しは洗います)で、家族の
料理を作ってきた。なにを今さら、の感がする。
「食べるラー油」は、自家製のものをいろんなバージョンで
作ってみた。が、評判は今ひとつで、むしろ山形名物「だし」
のほうが食いつきはよかった。ナスやキュウリ、オクラにミョウガ
といった野菜を細かく刻み、しょう油などで味つけしたもので、
ごはんや豆腐の上にのせたり、うどんそばの薬味代わりにする。
僕はヤマイモや刻みコンブ、ニンジン、長ネギ、大根、カツオブシ
なども加え、市販のめんつゆで淡く味つけをする。いったい
どれだけのバージョンを考えたことか。いっぺん凝りはじめると、
数カ月は食卓に並ぶのが常だから、家人はそのうち、
げんなりした顔をする。しかし僕は、究極の「だし」を求め、
倦かずに野菜を刻むのだ。
数年前、『国家の品格』という本がバカ売れし、「品格」というコトバが
流行語となった。僕も調子をこいて『おやじの品格』というマジメな本
を書いたのだが、ほとんど一顧だにされなかった。
敬愛する斎藤緑雨は言っている。
《汝、士分の面目を思わば、かのはやり言葉というを耳にすとも、
決して口にするなかれ》と。
志操堅固ってことなんだろうけど、ただひたすら「面目ない」
と平謝りするしかない自分が、悲しい。
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