2010年6月16日水曜日

イクメン主夫の味

育児に積極的な男性を〝イクメン〟というのだそうだ。
となると、さしずめ僕なんかイケメンのイクメンか?

昔は〝主夫〟などと呼ばれ、僕もささやかな育児体験をまとめた
本(『おやじの世直し』)を出したり、いろんな雑誌に出て自慢の
手づくり料理や酒肴を披露したりもした。真のイクメンは育児だけでなく、
台所仕事にも積極的でなければいけない。

笑っちゃうのは、「主夫vs.シェフ対決」と称して、
有名料理人と誌上で朝食作りの競作をやったことだ。
できあがった僕の料理はそれこそ奇妙きてれつな味で、
とても食えた代物ではなかったが、心やさしき編集者たちは
「変わった味だけどおいしい」といって、ムリして食べてくれた。
哀れなのは読者で、たぶん雑誌の信頼性は
地に堕ちたことだろう。重ね重ね申しわけない。

さて20年以上もイクメン主夫をやってると、いささか飽きが来る。
最初の頃はさまざまなジャンルの料理に挑戦したものだが、
だんだんくたびれてくると、レパートリーが固定化し、食卓に並ぶ顔ぶれも
同じようなものになってくる。「得意料理だから」というのは
体のいい言い訳で、要は新メニューに挑戦するのが面倒くさいのだ。

それでも2人の娘は僕の手料理で育ったから、
折にふれて思い出すのは「おふくろの味」ではなく、
「おやじの味」のはずだ。そう、すべてがやや「しょっぱめに傾きがちな」
あの懐かしい料理である。すこぶるうまいけれど、塩けと油っけが強いから、
あんまり身体に良くはない。

今週末、およそ1年ぶりに次女が英国から帰国する。
まずいと云われるイギリス料理にサヨナラし、愛情たっぷりの「おやじの味」を
死ぬほど恋しがっているだろうから、
身体に良くない料理をたんと作ってやるつもりだ。

宰相の「宰」の字は、はるか中国にルーツを辿れば、家老職
を指すとともに料理人をも意味した。肉や料理を切り分ける
「分配の才」に長じていれば、人材も適材適所に配分できる、
という理屈だ。

仕事のできる男は料理もできる(と思いたい)。
出世したけりゃ、せいぜい厨房に入って料理の奥深さを学ぶことだ。
聞けばイクメン料理で育った子はイケメンになるという。(←ホンマかいな?)
Sure! ホンマなのだ。 one who believes will be saved.

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

労さん:2番目のお嬢さんがもう直ぐ帰国とのこと、楽しみでしょうね。大いに親爺料理を満喫して貰って下さい。

ところでイギリスの料理は美味く無いとおっしゃるけれど物によっては良いのがありますよ。林望さんの「イギリスはおいしい」に
載っていたかどうだったか忘れましたがBritish Breakfastは天下逸品だと思います。ホテルの朝飯の美味いこと! チョット前に流行りましたがTrust Meと言わせて下さい。極々薄いトースト、ホムーメードのハム・ソーセージ。それに量が多いことが良いですね。どうぞお嬢さんに聞いて下さいね。 

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名さま
 コメントありがとう。たしかに、リンボウ先生は「味覚は慣れによる相対的な評価でしかあり得ない」と言ってますね。ぐずぐずに煮崩したような野菜も、そのテクスチャーに慣れてしまえばなんとか食えると。でもね……やっぱ野菜はしゃっきりと茹ででほしいな。
 さて、朝食は絶品だという話ですが、女房も同じように言ってました。クロッテッドクリームを塗ったスコーンのおいしいこと! 詳しいことは味盲の次女に聞いてみます。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名さま
 女房から訂正がありました。朝食で特においしかったのはパンやミルク。種類の豊富さにはビックリしたと云ってました。またティータイムに食べたスコーン+クロッテッドクリームもすばらしい、とのことでした。

匿名 さんのコメント...

奥様からの訂正承りました。 但し、文中に
”スコーン”と長音が入っていますが
林望さんによれば”スコン”と伸ばさないのが正しいと記憶しています。Mouth of Wolf ”狼の口”と呼ばれている
割れ目がきちんと出来ているものが良いとか。

初めてのイギリス出張で朝飯の美味さを
知ったのですが、もう一つ知ったのが
コーヒーを頼んだ時で、日本なら”砂糖とミルクは?”アメリカなら "Sugar and Milk?" か"Sugar and Cream?"ですのに”With Sugar and White?"と言われ一瞬ポカンとしました。


  

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

匿名さま
スコーンではなくスコンですか。発音からいうとたしかに伸ばさないほうがいいですね。女房なんかその点は発音至上主義者で、若い人のカフェ・ラテなんて発音を耳にすると、「ラテじゃなくてラッテ!」といつもブツブツ言ってます。これも多勢に無勢でね、キリがないんですよ。英国名物sconeも日本ではスコーンの表記が一般的。長音で伸ばすと、場合によってはscornになっちゃいますね。英語は難しいです。

匿名 さんのコメント...

労様: 偉そうに ”スコン”が正しい何て
言ってすみません。労さん初めブラウザーの皆さまにScornされないように気をつけます。小輩は我が家では”パパは変な事を知っているけれど一般常識が欠如”といつもScornされています。 これを機会に猛省します。