2015年12月29日火曜日

孫に背中を見せてはいけない

暮れも押しつまった時期に起きた陰惨な事件。
千葉県君津市の民家で老夫婦の遺体が見つかった。
殺人容疑で逮捕されたのは夫婦の孫で、県立高校に通う17歳の少年だった。
少年は、「祖母、祖父の順に襲った。その後、自宅でテレビやビデオを見ていた」
などと、悪びれもせず淡々と話しているという。

祖母には背後からツルハシで襲いかかったが、当たらなかったのでナイフで刺し、
異変に気づいた祖父とはもみ合いになったが、倒れた祖父の頭部をツルハシで
一撃しトドメを刺した。祖母は背中を刺され脊髄を損傷したことによるショック死、
祖父は脳損傷などで死亡した。可愛がっていた孫に背後から襲われるなどとは
夢にも思わなかったであろう。その無念、絶望……察するに余りある。

少年は、
ストレスを解消するため人を殺そうと思った。誰でもよかった
「通行人を殺そうと思ったが、逃げられるかもしれないので身内にした」
などと供述しているという。

人を殺してみたかった……

ここ数年、こんな些細な動機で人を殺める事件が相次いでいる。
2000年、愛知豊川市で17歳の少年が主婦を殺害
2014年、名古屋大学の女子大生が主婦を手斧で襲い、マフラーで首を絞めた
2015年、東京は五反田駅の路上で33歳の男が通行人を包丁で刺した
彼らはそろって「人を殺してみたかった……」と供述している。

昔は「尊属殺人」は重刑で、「死刑または無期懲役」だった。
が、いまは日本国憲法第14条「法の下の平等」に反するとして、
その重罰規定は事実上ほとんど死文化している。
ボクなんか「尊属殺」の規定復活を強く望んでいるのだが、
憲法違反といわれてはどうにもならない。

人を殺してみたい、とする衝動はどのようにして起こるのだろう。
「極楽願望」の強いボクはクモ1匹殺すのもためらうほどなのだが
←芥川の読みすぎそのくせゴキブリは平気でひねりつぶす)、
名大の女子大生などは殺人を犯した後、楽しげに「ついにやったーっ!」
などとツイートしていたというから、悔悟の念などかけらもないのだろう。
なんともはや、今どきの若者ときたら、その心底がさっぱりつかめない。

ボクにはまだ孫がいないが、孫に襲われるような世の中では、
サッカーの澤選手の名セリフ《苦しいときは私の背中を見て!》などとは
軽々しく言えない。おちおち背中も見せられやしない。

超一流のスナイパーであるゴルゴ13こと、デューク東郷は、
絶対に他人に背後をとらせなかった。
俺の後ろに音もたてずに立つようなまねをするな!
彼はそう言うと、問答無用で殴り飛ばした。
彼にとっては「自分の背後をとられる=死」だからだ。

ゴルゴ13を敬愛するボクも、彼同様、用心深い性格で(というより臆病)、
電車の中などでも周囲に不審な人間はいないか、といつも眼を光らせている。
不起訴にはなったが(←悪人ばらを成敗しただけ)、傷害罪で捕まっているだけに、
もう二度とこちらからは先に手が出せない。正当防衛は認められるだろうが、
先手必勝の極意を実践できないため、自ずと用心深くならざるを得ないのだ。

もしボクに孫ができたら、必ず言い聞かせることにする。
「おい坊主(♀も同様)、おじいちゃんの後ろに音もたてずに立つようなマネをするなよ」






←孫にもこんなセリフを言わなくてはならない
なんて、いやな世の中になったもんだねえ……

2 件のコメント:

なごり雪 さんのコメント...

嶋中楼さま

労さま、
さすがプロフェッショナル、今年も文章で愉しませていただきました。

この場でなんなんですが、
今年もいろいろありがとうです。
来年もターップリお世話になります。

小津映画の配役に似合う奥さま、
その奥さまと労さまの良いトコ取りのお嬢ちゃま、
肉体がたわわに実った果実のような婿どのにも宜しくです。

労ちゃん、大好きだよ、そこそこだけど。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

なごり雪様

なごり雪さんのブログも読んでまっせ。
名店の旨いものばっか出てくるので、
うちの婿みたいに肉体がたわわに実らないかと心配です。
美食もほどほどにね。

テッチャン、大好きだよ。死ぬほど……