2015年12月1日火曜日

信州お笑いの旅

週末を利用して信州へ1泊旅行に行ってきた。
今回は娘婿も加わった総勢5名の陣容だが、なにしろ自家用車が1500㏄の
コンパクトカーなので、はたして山道が走れるかどうかが心配のタネだった。
婿は元早大アメフト部出身で、100キロ超級の大男。ボクと2人合わせると
200キロを超えてしまう。番犬代わりにすればこれほど頼もしい男もいないが、
飯をたらふく喰らうのが、これまた悩みのタネだった。

女3人寄ると〝姦(かしま)しい〟というが、後部座席の女3人は最初から最後まで
しゃべりっぱなしで、たわいのない話に盛りあがってはケラケラと笑っている。
特に長女は〝お笑い系〟の典型で、次女がボケなら長女はツッコミ、
身ぶりや顔の表情が大ぶりだから、つい笑わされてしまう。

「ネパールでは2人の男から求婚されちゃってね、あんまりしつこいから
適当にAのほうが好きといったら、Bがガックリきちゃって、AとBは友だち
同士なんだけど、互いに口を利かなくなっちゃった(笑)……」

長女はどこかの国へ行くたびに求婚されているようで、それも揃って大金持ちだ。
「日本じゃまるっきりもてないけど、異人さんにはもてるんだよねェ……」
何ごとにもアグレッシブで、自分の意見はハッキリ言うような欧米型の女だから、
気の弱い日本の男どもは気後れしてしまうのだろう。

さて、わが家では旅行計画を練るのはカミさんの役目。
ボクはその手の面倒な計画を立てるのは大の苦手なので、
必然的にお鉢が女房に回っていってしまう。

カミさんはヒマワリみたいに明るい性格で、飛び切りのおしゃべり好きだから、
婿さんが初めて参加する今度の旅行はずっと楽しみにしていた。
毎日、原稿書きに追われ、1年365日、ほとんど休みなく働いているのだから、
女房にはこうした息抜きが絶対的に必要なのである。

だから、車中でも食事中でも、また旅館に落ち着いてからも、
のべつまくなしおしゃべりに興じ、腹を抱えて笑っている姿を見ると、
何やらこちらもホッとする。やはりそこは母子、遠慮のない軽口が飛びかい、
婿もつられてついニヤニヤしてしまう。なかなかいい雰囲気だ。

江戸後期の歌人、橘曙覧(たちばなのあけみ)はこんな歌を詠んでいる。

    たのしみは 妻子(めこ)むつまじく うちつどい
                   頭(かしら)ならべて 物をくふ時



キャピキャッピ言い合いながら飯を喰うのはほんとうに楽しい。
幸せというのはそんなささやかなひとときに感じられるものらしい。
今月半ばにはスロヴァキアから新しい留学生(♀)が来る。
わが家には2泊3日の短期滞在だが、望むらくは明るい子がいい。
手巻き寿司を楽しんだり鍋をつついたり……いい思い出ができそうだ。




←長野・東御市にある海野宿(うんのじゅく)。
日本の道百選の宿場町だ。会津の大内宿
ほどの賑わいはないが、しっとりとした風情が
旅情をかきたてる

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