2015年1月2日金曜日

ありのままでいい、ありのままがいい

謹賀新年


新年明けましておめでとうございます。
今年もぶじ年が明けました。
これでまた1つ歳を重ねることができます。

世はアンチエイジングの大流行で、いかに若く見せるかに
憂き身をやつしております。が、私はムダな悪あがきはやめました。
傍からどう見えようと、どう思われようと、気にするのはやめようと、
思いきわめたのでございます。

若い時分は自意識過剰で、他人の視線が絶えず気になりました。
それに自律神経失調症でもありました。他人によく思われようと、
また女の子の気を引こうと、懸命に背伸びし、
ほんとうの自分の姿をカムフラージュしていました。
それは賽の河原の小石積みのように際限のない営みでした。

いつの頃からか、
(どう転んでも俺はオレでしかないのだから、ありのままでいいや)
と思うようになりました。ひとり芝居にほとほと疲れ、
もうどうとでもなれと開き直ったのです。
♪ let it go ! let it go ! (ありのままで~!)

「他人(ひと)は他人(ひと)、おれはおれ」
と思い定めたら、なんだか呼吸が楽になりました。
周囲のぼんやりした景色がハッキリ見えるようになりました。
また道端に咲く名もない花にも関心を寄せるようになりました。
(ありのままっていうのは、すばらしいものだな……)

いま、鏡に映った自分の顔を見ています。
ほぼ白髪・白髯の〝おじいさんの顔〟です。
玉手箱をいつ開けたのか、いつ白い煙に包まれたのか、とんと覚えていません。
知らないうちに私はおじいさんになっていたのです。

この老け顔、実はけっこう気に入っております。
傍から見ると〝恐そうな顔〟に見えるらしく、初対面の人はみな一様に、
「ちょっぴり恐かった」と言います。理髪店の若い店員は、初めて私の髪を切った時、
「もし失敗したら殴られるんじゃないかと思い、とても恐かった」と告白したものです。
どいつもこいつも、ひどいことを言います。

そんな恐怖心を与える顔ですが、(なかなか男らしい、いい顔じゃないか)
と私は自画自賛しております。髪がめっきり薄くなり、まさに風前の灯という感じですが、
滅びの前の輝きも、また捨てたものではありません。

自意識過剰で軟弱そうに見えた顔が、歳を重ねたおかげで、
ようやくまともな面つきになりました。眼光の鋭さは相変わらずですが、
友はみな、瞳の奥のやさしい光をみとめてくれています。

年相応に見られればいい。
シワ伸ばしも若返りのサプリメントも必要ありません。
ありのままがいちばん美しいのです。

こんな単純な真理をつかむまでに、なんと60年も費やしてしまいました。
碌々(ろくろく)と為すところなく過ごしていたら、このザマです。

太虚(たいきょ)という言葉があります。無私とか無我というのと同じで、
要は小さな自我にとらわれず、宇宙的なもの、あるいは根本的なものに即して考え、
生きていくということでしょうか。我執を捨てるというのは生半可なことでは叶いませんが、
自分のためにすることが、そのまま他人のためになるような生き方――そんな生き方が
ごくふつうにできれば最高だと思います。

年初に当たって、以上、ささやかな誓いを立ててみました。
うまくいったらお慰みです。
今年もよろしくお願いいたします。







←手づくりお節とお雑煮。今朝の朝食です。
黒豆にごまめと、質素そのものですが、
私は気に入ってます。餅は関西の丸餅を
つかってみました。

2 件のコメント:

田舎者 さんのコメント...

嶋中労さま

こんばんは!
そして、新年明けましておめでとうございます。

日本酒片手に酔って暇な田舎者です。

素敵な日誌ですね。『ありのまま』そんな生き方に憧れます。

酔っていますが餅について書かせていただきます。我が家では
丸餅ものし餅作ります。口に入れた触感としては厚みと角が取
れているので軍配は丸餅に上がりますが田舎者の家のしきたりは
のし餅です。温かな火で変幻自在に変わることの出来る心のよ
うな餅が好きです。

酔っていますのでこの辺で。

今年も温かなご指導よろしくお願いいたします。

美しき人へ

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

田舎者さま
新年明けましておめでとうございます。

ホロ酔い気分っていいですよね。
ボクなんか暮れからずっと酔ってます。

餅は基本はのし餅です。
今年だけ女房が丸餅にしたんです。

餅は毎年搗いてましたが(電機餅つき機)、今年は市販のものを使ってます。

「ありのまま」が一番。
今年もありのままでおつき合いを。

「美しき人」がまた復活ですか?
これ、やっぱ苦手です(笑)。
ご再考のほどを。