本を買うとなると、昔は池袋・東武デパート7階の「旭屋書店」や西武の「三省堂」まで、
あるいは駅南口の「ジュンク堂」まで足をのばしたものだが、最近は横着になって、
ほとんどAmazonですませてしまう。送料無料だし、レビューなども参考になるので、
わざわざ電車賃をかけて都心まで出向く必要がなくなってしまったのだ。
近所に本屋がないわけではない。駅前にそこそこ大きい本屋はあるのだが、
ほしい本がない。もっと言えば、食いもの屋に入ったはいいが、滋養があって、
美味で、噛むほどに味がしみ出してくるような、見るからに旨そうな食い物が払底している、
といったあんばいなのだ。食いたくても食えるものがない、というのは実に気の滅入る状況だ。
小さな本屋となるともっと悲惨で、雑誌と受験参考書と漫画しか置いてない。ブックオフも
同様で、実に惨憺たる光景が広がっている。ドストエフスキーは? チエホフはどこにあるんだ?
ボクたちの青春時代をよくも悪くも彩ったあの〝純文学〟が跡形もなく消え去ってしまっている。
(ああ、こうやってオレとオレの属する「種」は絶滅していくのだな……)
思わず背筋がゾーッとして、後ずさりしたくなる。
こうした感慨を懐いているのは当然ながらボクたちだけではない。、
おそらくは何百年も繰り返されてきた慨嘆に他ならない。現にボクの読解力では
せいぜい鷗外漱石までで、露伴となるともうお手上げだ。漢籍の素養がないため、
まるで歯が立たないのだ。こうして露伴や鏡花が忘れられ、一葉でさえ
満足に読めない世代が多数派を占めていく。歴史文化の連続性は
ここでプツリと絶たれる。
ボクらの世代にはまだ教養主義の残滓があった。無知な人間を軽蔑する風潮があった。
自室の書棚にはあふれんばかりの本が並び、哲学書や社会科学系の小難しい本を
みな競って読んだ。無知であることは恥ずかしきことで、酒の席でも、
英国人がシェイクスピアの金言を引用するみたいに、自然と文学作品や詩の一節が語られ、
みなそれに堂々和して議論を高めていった。
それがどうだ。いまや純文学どころか、文学の「ぶ」の字も出てきやしない。
電車内では背広姿のサラリーマンが、恥ずかしげもなく分厚い少年漫画を広げ、
コンビニでも、いい大人が週刊エログロ漫画を食い入るように見つめている。
「いい年をして、恥ずかしくないのか、このスットコドッコイ!」
怒鳴りつけてやりたくなるが、恐いのでぐっとガマンする(笑)。
廉恥心はとっくの昔に失われ、平成無教養主義という名の氷河期が
日本国じゅうを覆い尽くしている。嗚呼!
「結婚相手は最低でも3000冊、いや2000冊の本を読んだヤツでないとだめだからな!」
と、わが豚児たちには厳しく言い渡してあるが、なに、ちっとも聞いちゃァいない。
今どき、そんな男は金の草鞋で尋ねたっているものではないし、そんなことは
とっくの昔に分かっている。分かってはいるが、ひとこと言っておきたいという、
むずかしい年頃なのですよ、この気難し屋のポンコツおやじは。
ああ、なんとしたことだ。絶滅寸前の恐竜たちの心持ちが実によく分かってしまう。
すでに自分の居場所がなく、用なしの烙印が押された寒々しくも切ない気持ちが。
この際だ、ボクも愛しのマックの決め科白をパクってしまおう。
Old soldiers never die; they just fade away.
消え去るってどこへ?
「老人ホームですよ」
「へーっ、気が早いね。どこの何という名のホーム?」
「アルツハイム」←ちょっと作りすぎちゃったかな、ヘヘ(笑)。
あるいは駅南口の「ジュンク堂」まで足をのばしたものだが、最近は横着になって、
ほとんどAmazonですませてしまう。送料無料だし、レビューなども参考になるので、
わざわざ電車賃をかけて都心まで出向く必要がなくなってしまったのだ。
近所に本屋がないわけではない。駅前にそこそこ大きい本屋はあるのだが、
ほしい本がない。もっと言えば、食いもの屋に入ったはいいが、滋養があって、
美味で、噛むほどに味がしみ出してくるような、見るからに旨そうな食い物が払底している、
といったあんばいなのだ。食いたくても食えるものがない、というのは実に気の滅入る状況だ。
小さな本屋となるともっと悲惨で、雑誌と受験参考書と漫画しか置いてない。ブックオフも
同様で、実に惨憺たる光景が広がっている。ドストエフスキーは? チエホフはどこにあるんだ?
ボクたちの青春時代をよくも悪くも彩ったあの〝純文学〟が跡形もなく消え去ってしまっている。
(ああ、こうやってオレとオレの属する「種」は絶滅していくのだな……)
思わず背筋がゾーッとして、後ずさりしたくなる。
こうした感慨を懐いているのは当然ながらボクたちだけではない。、
おそらくは何百年も繰り返されてきた慨嘆に他ならない。現にボクの読解力では
せいぜい鷗外漱石までで、露伴となるともうお手上げだ。漢籍の素養がないため、
まるで歯が立たないのだ。こうして露伴や鏡花が忘れられ、一葉でさえ
満足に読めない世代が多数派を占めていく。歴史文化の連続性は
ここでプツリと絶たれる。
ボクらの世代にはまだ教養主義の残滓があった。無知な人間を軽蔑する風潮があった。
自室の書棚にはあふれんばかりの本が並び、哲学書や社会科学系の小難しい本を
みな競って読んだ。無知であることは恥ずかしきことで、酒の席でも、
英国人がシェイクスピアの金言を引用するみたいに、自然と文学作品や詩の一節が語られ、
みなそれに堂々和して議論を高めていった。
それがどうだ。いまや純文学どころか、文学の「ぶ」の字も出てきやしない。
電車内では背広姿のサラリーマンが、恥ずかしげもなく分厚い少年漫画を広げ、
コンビニでも、いい大人が週刊エログロ漫画を食い入るように見つめている。
「いい年をして、恥ずかしくないのか、このスットコドッコイ!」
怒鳴りつけてやりたくなるが、恐いのでぐっとガマンする(笑)。
廉恥心はとっくの昔に失われ、平成無教養主義という名の氷河期が
日本国じゅうを覆い尽くしている。嗚呼!
「結婚相手は最低でも3000冊、いや2000冊の本を読んだヤツでないとだめだからな!」
と、わが豚児たちには厳しく言い渡してあるが、なに、ちっとも聞いちゃァいない。
今どき、そんな男は金の草鞋で尋ねたっているものではないし、そんなことは
とっくの昔に分かっている。分かってはいるが、ひとこと言っておきたいという、
むずかしい年頃なのですよ、この気難し屋のポンコツおやじは。
ああ、なんとしたことだ。絶滅寸前の恐竜たちの心持ちが実によく分かってしまう。
すでに自分の居場所がなく、用なしの烙印が押された寒々しくも切ない気持ちが。
この際だ、ボクも愛しのマックの決め科白をパクってしまおう。
Old soldiers never die; they just fade away.
消え去るってどこへ?
「老人ホームですよ」
「へーっ、気が早いね。どこの何という名のホーム?」
「アルツハイム」←ちょっと作りすぎちゃったかな、ヘヘ(笑)。
4 件のコメント:
労さんこんにちは
ここのところ週末に友人の結婚式、発表会、伴奏の行事があり、てんてこまいでした。(通常はゆるいスケジュールですので....)
私もアマゾンで何でも買います。便利ですが過剰包装がエコでないのが気になります。いつも買い物袋を断る私からしたら、大変がっかりするので、本当に必要な物だけ吟味してから買います。
ご本を書いていらっしゃる労さまには申し訳ないのですが、私はろくに本を読んでおりません。ごめんなさい。もともと理解力もないうえ、勉強に関しては集中力が全くない故に大嫌いです。
駅前の本屋、図書館はよく行きますが、料理関連の実用書、変な恋愛指南本くらいでしか読みません。小説は難しいです。文学作品なんて頭が痛くなります。本屋さんで労様が読みたい本が無くて大変がっかりされているのがよ~~くわかります(笑)
nana様
いえいえ、ボクも助平な本と恋愛指南本くらい
しか読んでません。若い頃は、悪友たちに煽られ、ドストエフスキーにはまってスタヴローギンだとかキリーロフといった、少し頭の変な
連中の影響を受けたことがありますが、今はすっかり正常なオツムに戻り、ひたすら助平なことばかり考えております。
数千冊の本を読め、というのは半ば本気で、
半ば冗談というか、ヤケクソというか、
自嘲を込めて言っているだけで、
どうかまともにとらないでください。
もうどうでもいいんです、そんなこと。
nana様はいつも頭の中を料理と恋愛で
いっぱいにしているようですが、
それはいたって正常なことで、
発情期にはみなそうなるのです。
文学作品なんて読まなくていいです。
人生論も必要なし。
ボクが直々に『発情期の過ごし方』を
レクチャーしてさしあげます。
いつもプールで〝裸のつき合い〟を
している仲ですから、お安いご用です。
期待してください。
労様おはようございます。
お忙しい私のメールに返信くださってありがとうございます。
密かに労様のレクチャー楽しみにしております。(ウフフ)
もし労様の御眼鏡にかなう肉食系男子がいましたら、どうぞ私にお声を掛けて下さいませ。
アハハ
nana様
nana様は「お肉」をバクバク食べる脂ぎって汗くさい男性が好きなんですね。さてさて、お眼鏡にかなうようなオスがいますでしょうか。近頃はだいぶ減ってきて、絶滅寸前ともいわれていますからね。
「肉」も「草」も食べるという雑食系なら
そこそこいて、肉でも牛や豚ではなく鶏肉専門
という、いくぶん軟弱な男なら何人か知ってます。
nana様は見かけは女みたいですが、
男っぽいところがいっぱいあるので、
ほんとうはピュアーな女ではないのかも
しれませんね。
そこらあたりも詳しく調べてみないと……
ま、婿さん探しはオジサンに任せてください。
でもプールで探そうなんて思っちゃダメですよ。あそこは男だとか女だとか、そういう
ややこしい性を超越した人たちばかりで、
早い話、ジジイとババアばかりです。
あなたは加齢臭で濁った水を聖水に変えてくれる女神様ですからね、ジイサンたちにも声をかけて、ステキな婿さんを探してさしあげます。
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