2012年11月7日水曜日

貧しき履歴書

みんなで寄ってたかってなぶる。「なぶる」とは責め苛み、いじめ倒すことだ。
漢字でどう書くかというと「嬲る」。男2人が女1人を間に挟んでいたぶっている構図だ。

近頃世間を騒がせているのが、いわゆる猟奇的な「尼崎事件」だ。
角田美代子というおっかないバアさんが、複数の男女を殺し、民家の床下に埋めたり、
死体をドラム缶に入れ海中へ遺棄したりしている。バアさんは同居人たちと共謀し、
被害者に殴る蹴るの暴行をはたらいたと云われているが、こういう事件を目の当たりにすると、
「嬲る」という字の〝男と女〟をいっそ入れ換えたほうがいいのでは、などと思ってしまう。

それにしても表意文字の漢字はおもしろい。女が3人寄れば、「姦(かしま)しい」で、
女が台になると「始まる」だ。いったい何がおっ始まるのか。
また女のおでこに寄る年波が押しよせれば「婆」で、女のよい(鮮度か?)のが「娘」。
夫婦になって賞味期限が過ぎ、よろず鼻についてくると「嬶(かかあ)」と相成る。
男に挟まれた女は「嬲る」だが、それでは男2人の間に「毒」の字だったら何と読む。
答えは「ニコチン中毒」だ。
アハハ、これはまあ冗談(笑)。

柄にもなく品位を落としてしまった。では名誉挽回のため格調高く、
Every man over forty is responsible for his face.
「男は40になったら自分の顔に責任がある」
ご存知のように、かの米国はリンカーン大統領が言った有名な科白だ。
日本でもジャーナリストの大宅壮一が「男の顔は履歴書である」
などと余計なことを言ったものだから、その気になって鏡をのぞきこむと、
そこに映った〝履歴書〟には誇るべき何ものも書いてない。
ああ、男というものは大変だなァ、とつくづく思ってしまう。

一方で、「女の顔は請求書である」と勇気ある発言をしたのが作家の藤本義一だ。
あいにく先月の30日に亡くなられてしまったが、彼は女の顔は履歴書などという
大それたものではなく、単なる「請求書」だと明快に決めつけた。
韓国の整形美女たちを思い起こしてもらえればよく分かるが、
女の顔の価値はそれに投じられた「コストの総額」で決まるということらしい。
言い得て妙だ。いっそ男の顔も請求書にしてもらいたいくらいだ。

藤本義一さんには一度会ったことがある。
銀座の「維新號」という広東料理の店で、藤本さんと某氏との対談を設定し、
その司会をやったのだ。気さくな人で、その場の雰囲気を自然と和やかにしてくれた。
関西弁というのも大きい。ボケたりつっこんだりするには最適の方言で、
つい釣り込まれて笑ってしまう。享年79。ご冥福をお祈りしたい。

そろそろ最後を締めよう。これまた格調高く『論語』の一節から、
   吾れ十有五にして学に志し、
   三十にして女色を絶つ。
   四十にして惑わず酒を飲み、
   五十にして余命を知る。
   六十にして人の言に従わず、
   七十にして心の欲するところを放言して矩(のり)をこえる。

男は年齢(とし)をとると話とションベンが長くなるという。ご寛恕あれ。






←「女の顔は請求書」との迷言を吐いた藤本義一さん
  あの節は大変お世話になりました。謹んで合掌





 

4 件のコメント:

nana さんのコメント...

労さんこんばんは

今日は死ぬほどヒマな私と遊んでくださってありがとうございました。

もし次の機会がありましたらインターバル?!
50×5でお願いします。プール病みつきになりそうで怖いです。 どうぞお手柔らかに..。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

nana様

25メートル×10本。よく頑張りました。
次は50×5、あるいは50×10でやりたいと。
だんだんやる気が出てきたようですね。

ブログのテーマからすると、
自らを崖っぷちに追い込み、
心身ともにタフになって、
立派な人間(女を捨てる?)になりたい
ということですね。

言い換えるなら、「請求書」の道を潔しとせず、あえてイバラの道でもある「履歴書」の道を歩みたいと(笑)。

エライ! さすがにnanaさんです。
なお一層、奮励努力してください。
ボクは「請求書」の道を選びます。

胡塞齋且つ卯賛狗齋 さんのコメント...

もしや労師は、「女へんの文字」(藤堂明保先生著)を読まれた事がおありか・・・実は、藤堂先生は愚生、幼少期より存じ上げておりました、言わば小中学校時代の愚生に、「言葉は面白いよ」などと諭し、「言霊師(言騙師)」への道へ歩ませた大師匠且つ戦犯の一人であります。しかも、高等学校の柔道部における大先輩、藤堂良明先生(筑波大学教授・体育学 兼 筑波大学附属中学校校長)はそのご子息にあたり、現在、さいたま市柔道連盟の会長と常任理事という主従関係にもあります・・・(これは自慢話なんだろうか・・・)
さて、我が履歴書は何度も転職し、やがて独立し社長という名の失業者となるに至る過程で余計な垢がつきまくり、シワシワで、そのカバーである頭髪部が失われ、最早読めるものでは無くなっております。下賎なショーバイ人でございますので、常に請求書を発行することに専心しております。そうか、オレはオンナだったのか・・・似合うスカートを買いに行かねば・・・(我ながら怖い・・・)

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

烏惨苦齋様

漢字変換が大変だから、やさしい名前に改名してくださいな(笑)。

さて、藤堂氏ですが、ボクは読んだことがありません。中国関係の本や辞書はけっこう持っているのですが、藤堂先生のものはないですね。

烏惨苦齋さんは人脈が豊富だから、
いつもビックリしてしまいます。

履歴書ですが、立派なご尊顔をお持ちのくせに、ご謙遜を。頭髪部こそ払底してしまった
ようですが、6尺以上もある偉丈夫で、威風あたりを払うような押し出しがあります。
これじゃあ、図体ばかりでかい留学生だって
ビビっちゃいます。

でもって、柔道の達人で、留学生には名刺代わりに脳天逆落としの荒技を仕掛け、日本留学をしょっぱなから後悔させる、
というのですから、
さすが埼玉支部長だけのことはあります。

それにしても剣道ではなく柔道でよかった。
こんな都々逸があります。

♪へたな夜這いと剣術使いは
 いつもシナイでたたかれる

アー、ヨイヨイ。