バイク(400㏄)を持っていた頃は、ヒマさえあれば外出(そとで)をしていた。
高速道を180キロでぶっ飛ばしたこともあった。風圧で顔を上げられないので、
バッタみたいに燃料タンクにしがみつきながら走った。
ふしぎに恐怖心はなかった。
恐いと思いはじめたのは、こどもができてからだ。アクセルを思いきり踏み込めなくなった。
もし砂利にタイヤをとられ横転でもしたら、大ケガか死をも覚悟しなくてはならない。
(自分だけのカラダじゃないもんな……)と思うと、自ずと無茶はできなくなった。
でも模範ライダーと呼ばれるほど落ち目にはなりたくなかったので、
時々は若い連中と張り合い、レッドゾーンの恐怖と快感に酔いしれた。
また黒髪を靡かせかっ飛んでゆく美人ライダーが視界に入ると、
遮二無二追いかけていったりもした(持ったが病でね、ヘヘヘ)。
人間には2種類あるという。「バイク乗りとバイクに乗らないやつ」の2種類である。
バイク乗りはなぜか迫害される。暴走族の一味もしくはその系列につながる
悪い人間と思われるのか、クルマに乗った人間からわけもなく白眼視され、
場合によっては幅寄せといういやがらせを執拗に食らう。
幅寄せは恐い。一度、猛烈な幅寄せに合い、ガードレールに押しつけられ、
そのままコンクリートの電柱に激突して気を失ったことがある。通勤の帰り道だった。
クルマ派の人間からするとバイク乗りなどは人間のクズみたいなもので、
クズなのだから痛めつけたっていい、という理屈らしい。
迫害される側だからか、ライダーは見知らぬ者同士でも互いに心を許すようなところがある。
ユダヤ人みたいに結束する力が強いのだ。またバイク乗りには個性派が多く、
概ね枠にはめられるのをきらう。集団で走るのを好むものもいるが、多くは一匹狼で、
ボクも風の向くまま気の向くまま、という独りだけのツーリングが好きだった。
バイクを手放してから、なんだか急に老け込んでしまったような気がする。
バイクへの悪質なイタズラが続いたので、やむなく手放したのだが、
今でも時々バイク乗りの血が騒ぐ。芭蕉を気取るわけではないが、
片雲の風にさそわれて漂泊の旅に出たくなることが時々ある。
かつての漂泊者の血は、どうやら上の娘に受け継がれたようだ。
長女は有給休暇を取ってアフリカへ行ってしまった。
あの娘はじっとしていることができないタチで、思い立ったらバッグを担ぎ、
インドだろうとアフリカだろうと、鉄砲玉みたいにヒョイヒョイ飛んでいってしまう。
「ロバが旅に出ても馬になって帰ってくるわけではない」という西諺を信ずるボクとしては、
アフリカくんだりにまでわざわざ出向く意味が今ひとつ分からないのだけれど、
所詮ロバの頭しかない娘にしてみれば、ジャングルの奥地もパリの都も同列なのだろう。
話変わって今日は「敬老の日」だという。昭和29年に制定されたときは
モロに「としよりの日」という呼び名だったそうな。これじゃァあんまりだということで、
昭和39年に「敬老の日」に改められたという。
ボクはつむじ曲がりだから〝敬老〟だなんてウソくさい言葉がきらいだ。
年寄りはどう転んだって年寄りなのだから、おべんちゃら抜きで「ジジババの日」とか
「くたばり損ないの日」とか「馬齢を重ねた人たちのための日」に改めてもらいたい。
……というわけで、今夜は老夫婦水入らずで乾杯をする。
何のための乾杯かって?
ただべんべんと生き長らえ、懲りずに老残の身をさらし続けるために乾杯するのですよ。
くたばり損なった小心者のバイク乗りにカンパ~イ!
←おいらも日常の殻を破って旅に出るか
イエーイ! そこのけ、そこのけ、
キャプテン・アメリカ様のお通りだィ!
←ワイルドに行こうぜ!
イェーイ!
なんだか恐ェ~
高速道を180キロでぶっ飛ばしたこともあった。風圧で顔を上げられないので、
バッタみたいに燃料タンクにしがみつきながら走った。
ふしぎに恐怖心はなかった。
恐いと思いはじめたのは、こどもができてからだ。アクセルを思いきり踏み込めなくなった。
もし砂利にタイヤをとられ横転でもしたら、大ケガか死をも覚悟しなくてはならない。
(自分だけのカラダじゃないもんな……)と思うと、自ずと無茶はできなくなった。
でも模範ライダーと呼ばれるほど落ち目にはなりたくなかったので、
時々は若い連中と張り合い、レッドゾーンの恐怖と快感に酔いしれた。
また黒髪を靡かせかっ飛んでゆく美人ライダーが視界に入ると、
遮二無二追いかけていったりもした(持ったが病でね、ヘヘヘ)。
人間には2種類あるという。「バイク乗りとバイクに乗らないやつ」の2種類である。
バイク乗りはなぜか迫害される。暴走族の一味もしくはその系列につながる
悪い人間と思われるのか、クルマに乗った人間からわけもなく白眼視され、
場合によっては幅寄せといういやがらせを執拗に食らう。
幅寄せは恐い。一度、猛烈な幅寄せに合い、ガードレールに押しつけられ、
そのままコンクリートの電柱に激突して気を失ったことがある。通勤の帰り道だった。
クルマ派の人間からするとバイク乗りなどは人間のクズみたいなもので、
クズなのだから痛めつけたっていい、という理屈らしい。
迫害される側だからか、ライダーは見知らぬ者同士でも互いに心を許すようなところがある。
ユダヤ人みたいに結束する力が強いのだ。またバイク乗りには個性派が多く、
概ね枠にはめられるのをきらう。集団で走るのを好むものもいるが、多くは一匹狼で、
ボクも風の向くまま気の向くまま、という独りだけのツーリングが好きだった。
バイクを手放してから、なんだか急に老け込んでしまったような気がする。
バイクへの悪質なイタズラが続いたので、やむなく手放したのだが、
今でも時々バイク乗りの血が騒ぐ。芭蕉を気取るわけではないが、
片雲の風にさそわれて漂泊の旅に出たくなることが時々ある。
かつての漂泊者の血は、どうやら上の娘に受け継がれたようだ。
長女は有給休暇を取ってアフリカへ行ってしまった。
あの娘はじっとしていることができないタチで、思い立ったらバッグを担ぎ、
インドだろうとアフリカだろうと、鉄砲玉みたいにヒョイヒョイ飛んでいってしまう。
「ロバが旅に出ても馬になって帰ってくるわけではない」という西諺を信ずるボクとしては、
アフリカくんだりにまでわざわざ出向く意味が今ひとつ分からないのだけれど、
所詮ロバの頭しかない娘にしてみれば、ジャングルの奥地もパリの都も同列なのだろう。
話変わって今日は「敬老の日」だという。昭和29年に制定されたときは
モロに「としよりの日」という呼び名だったそうな。これじゃァあんまりだということで、
昭和39年に「敬老の日」に改められたという。
ボクはつむじ曲がりだから〝敬老〟だなんてウソくさい言葉がきらいだ。
年寄りはどう転んだって年寄りなのだから、おべんちゃら抜きで「ジジババの日」とか
「くたばり損ないの日」とか「馬齢を重ねた人たちのための日」に改めてもらいたい。
……というわけで、今夜は老夫婦水入らずで乾杯をする。
何のための乾杯かって?
ただべんべんと生き長らえ、懲りずに老残の身をさらし続けるために乾杯するのですよ。
くたばり損なった小心者のバイク乗りにカンパ~イ!
←おいらも日常の殻を破って旅に出るか
イエーイ! そこのけ、そこのけ、
キャプテン・アメリカ様のお通りだィ!
←ワイルドに行こうぜ!
イェーイ!
なんだか恐ェ~
8 件のコメント:
ROUさん、
こんにちは。
高速180kmですか・・・
もう時効だから白状しても良いですよね。
私は、100km以上は未知の世界です、現役ですから。(笑)
騒ぐものは騒ぐんです。押さえつけとくと必ずどこかで何か悪さをします。
隣国の小騒ぎも、言ってみればガス抜きの一つみたいなもんで、あんまり大騒ぎになると手に負えなくなる事だってあるわけで・・・
とまぁ、そういうわけで再開したらいかがですか?私はあまりつるんで走るのは得意ではない方ですが、ROUさんならお付き合いいたしますよ。
NICK様
そう、あなたは1600㏄のハーレーを乗り回す
現役ライダーですからね。
ボクの乗ってたバイクの4倍の排気量で、
わが家のクルマと同じですよ。
こういうどでかいバイクに乗ってると、
幅寄せなんかされないのかしら。
なんとなくお金持ちの善人のように見えるし(笑)。
さて現役復帰はいつでもできるのだけど、
ハーレーと一緒につるんで走るという趣味は
ないな。
排気量の大きさとライダーの賢愚深浅は
関係ないというけれど、やっぱ小さいほうに
乗ってるやつはバカに見えるというか、
肝っ玉まで小さく見えてしまう、
というのは否定しがたい。
それならいっそ、ハーレーにタンデムして、
後ろからNICKさんの背中に顔を
押しつけていたほうがいい。
ご用命あらばいつでもタンデムします。
追伸
世の中「還暦ライダー」なんて掃いて捨てるほど・・・、失礼、えー、なんだ、ほれ、大勢いらっしゃいますよ。
NICK様
むしろ『いい爺ライダー』とか
『いい自慰ライダー』になって、
ふたりして南部の田舎を旅するって
いうのもいいかも。
NICKさんがキャプテン・アメリカで、
タンデムしてるボクがジャック・ニコルソン
扮する変態的弁護士って役どころ。
ステッペンウルフのBorn To BE Wildを
聴きながら、ワイルドに行こうぜ!
タンデム?いいですよ。
わたしゃピーターフォンだほどいい男ではありませんが、ROUさんはジャックニコルソンばりの変態物書きであると思います。
思い立ったが吉日、10月6日から東北へ歴史の確認に行きましょう。
2泊3日くらいでいかが?
常磐道を通り福島、宮城くらいまで。
キャプテン・ニッポン様
いいアイデアだけど、あいにく
予定が入ってる。6日は女房の誕生祝いを
兼ね美しい愛娘たち(自分で言うなッつーの)と会食。7日は友人のコンサート。
だからそのうちね。背中が淋しいだろうけど、
ガマンするんだよ。
でもね、いくらなんでも2泊3日はムリだな。
最近、何かと忙しくてね、
NICKさんに添い寝してやるヒマがないんだ。
小生のバイクのリアシートには「背もたれ」が装着されておりますので、ライダーの背中に密着せずに済むようになっております。(だいたいくっつかれてたら鬱陶しくてしょうがない)
添い寝?いや、もともと寝袋もってくつもりなんで、御心配には及びません。
さて、一年半過ぎたというのに、未だ現地に踏み入れていない自分に少々後ろめたさもあり・・・
忙しさにかまけて先延ばしにしてきたけど、そろそろなにやらもぞもぞとした気持ちが抑えられなくなってきているもので。
物見遊山と言われようとも、見に行きます。
ま、今回はソロで行ってきますよ。
CAPTAIN・NICK様
えらい! えらいなァ。
さすがNICKさんには侠気があるな。
弱者への眼がやさしい。
帰ってきたら話を聞かせてください。
添い寝しながら聞かせてもらいます。
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