2011年4月21日木曜日

引き揚げ船とオムツ

来る24日に行われる市議選のポスターを見ていたら、
〝防災・危機管理のプロ 自衛隊出身
と大書きした候補者がいた。これには正直おどろいた。
かつて自衛隊出身者はその経歴をひた隠しにしたものなのに、
いまは堂々と謳い、そのことを逆に売り物にしている。
3.11を境にして、大きく何かが変わったのだ。

昭和32年、自衛隊の創設者でもある時の総理大臣・吉田茂は、
防大第一期卒業生を前に、次のような訓示を垂れた。

《君たちは在職中、決して国民から感謝されたり歓迎されたり
することなく終わるかもしれない。批難とか誹謗ばかりの一生
になるかもしれない。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、
ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、
災害派遣のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているとき
だけなのだ。換言すれば、君たちが〝日蔭者〟扱いされている
ときのほうが国民や日本は幸せなのだ……耐えてくれ、諸君!》

何とすばらしい訓示だろう。いまの菅総理にこれだけのこと
が言えるか。いや、言えやしまい。先の自衛隊観閲式に参列
してみて、最高司令官の菅総理が、閲兵の際に自衛官に尻を向け、
観客に向かって手を振っていたことをいまでもよく憶えている。
菅は自衛隊がきらいなのだ。

文化人類学者の梅棹忠夫は、大陸からの引き揚げ船の中で、
翩翻とひるがえる赤ん坊の真白きオムツを見て、
「日本は大丈夫だ」と確信したという。

東日本大震災で財産のすべてを失っても、命あることを喜び、
生き残ったもの同士で明るく談笑している被災者たちの姿を見ると、
引き揚げ船上にひるがえっていたという満艦飾のオムツとダブって見える。
不謹慎な言い方かもしれないが、一種の爽やかささえ感じるのだ。

日本民族のたくましさを、
まざまざと見る思いがする。


2 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

Rouさん、

こんにちは。

そうですね、吉田さん、わかってたんですね。

さりとて正直、陸上自衛隊の知り合いにはあまり好きな人がいません。

でも、言っている事が気に入らないからと、発言者の不誠実さをことさらあげつらって、言っていることを否定する根拠とするのは不毛な試みだとも思っています。

市議選はともかく、まぁ、今後も日々緊急に備えて粛々と鍛錬して欲しいと思います。

政治にそれが役に立つかどうかは「?」ですが。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様


ボクも家では日蔭者ですが、
そのことがわが家と日本の
幸せのためになるのなら、
喜んで日蔭者に甘んずることに
いたします。


お見かけしたところNICKさんにも
同類のニオイを感じます(うっ、クセぇ)。

ここは2人して〝日蔭者同盟〟
を結び、日向者たちに断固対抗
しようではありませんか。

ということで、近く、
固めの杯を交わすこと
にいたしましょう。