『あらすじで読む世界の名著』あるいは『~日本の名著』、『~世界のビジネス名著』のたぐいが
人気なのだという。どんな人が読んでいるかというと、忙しいビジネスマンや大学の先生たち、
受験生、そして意外や海外赴任のビジネスマンたちも愛読しているという。
『カラマーゾフの兄弟』や『戦争と平和』、『モンテ・クリスト伯』、『白鯨』、『城』、『悪霊』と、
世界には名だたる長編小説がごまんとある。いや長編だけに限らない。
本好きなら読んでおくべき名著が星の数ほどもある。しかし読みたくとも時間がない。
いや時間はあるけれど、それ以前に読み通す根気と根性がない。
だからせめてあらすじだけでも知っておきたい、というのがその動機らしい。
何のために?
恥をかきたくないから――そんな需要に応えたのがこの『あらすじで読む~』のシリーズだ。
どんな生活シーンで恥をかくのかというと、たとえば大学の教室。学生からプルーストの
『失われた時を求めて』に関する質問をされ、教壇の上で立ち往生ではいかにもカッコ悪い。
で、教授たちは陰でこっそり虎の巻のお世話になっている。あるいは海外での商談の場や
パーティ会場での会話シーン。あっちのトップ・マネジメントは歴史や文学、哲学などに
通じていて、会話の中にごくふつうにシェイクスピア劇の科白なんかを織り込んできたりする。
そして、日本から来たビジネスマンに対しても、
「三島の『仮面の告白』にあるあの◎△という科白だけど、あなたはどう思う?」
なんて質問を浴びせてきたりする。
あるいは、
「江戸時代は士農工商となっていたけど、欧州と違い、なぜ農民は工商より上だったの?」
と、これはロンドン駐在の商社マンが、取引先の家に招かれた時、実際に受けた質問だ。
こうした際に、気の利いた受け答えができないと、
「こいつは金勘定しかできない無教養な人間だな」
と見切りをつけられてしまう。つまらない人間と見られたら、次にはもう招かれなくなり、
ひいては商談も進まなくなる。で、ここでも恥をかきたくないからと、こっそりお勉強だ。
日本人は教育はあっても教養がない、とよく言われる。まことに耳が痛い。
それはそうだろう。大学生であってもまともな本など一冊も読んだことがなく、
読むといったらコンビニで、漫画を立ち読みするだけ、という人間がごまんといる。
シェイクスピアもへちまもない。だいいち漢字がまともに読めるかどうか。
徳富蘇峰は4歳で漢詩を読み、5歳頃には四書五経まで読んだという。
これはまあ天才の話だが、昔はそういう人がいっぱいいた。
『万葉集』には天皇や皇后の歌はもちろんのこと、旅の売春婦の歌まで入っている。
売春婦まで歌を詠める国が他にあるか? それほどに昔の日本人の教養レベルは高かった。
あれから幾星霜。いま、日本では大学の教授までもが『あらすじで読む~』というお手軽本
を恥ずかしげもなく手に取り、学生たちの前でとり澄ました顔をしている。
あらすじなんか知って、いったい何になるんだ? と、
あまりの情けなさで、〝火病〟患者のボクなんか舌を噛み切りたくなってしまうが、
これが偽らざる日本の現状だろう。
日本人はここまで情けない国民に成り下がってしまっている。
瀬戸内寂聴さんはこう言っている。
《人生の愉しみは、食べること、セックスすること、そして読書することに尽きます》と。
ボクもまったく同感。これ以上の愉しいことがあるのなら、誰か教えてくださいな。
人気なのだという。どんな人が読んでいるかというと、忙しいビジネスマンや大学の先生たち、
受験生、そして意外や海外赴任のビジネスマンたちも愛読しているという。
『カラマーゾフの兄弟』や『戦争と平和』、『モンテ・クリスト伯』、『白鯨』、『城』、『悪霊』と、
世界には名だたる長編小説がごまんとある。いや長編だけに限らない。
本好きなら読んでおくべき名著が星の数ほどもある。しかし読みたくとも時間がない。
いや時間はあるけれど、それ以前に読み通す根気と根性がない。
だからせめてあらすじだけでも知っておきたい、というのがその動機らしい。
何のために?
恥をかきたくないから――そんな需要に応えたのがこの『あらすじで読む~』のシリーズだ。
どんな生活シーンで恥をかくのかというと、たとえば大学の教室。学生からプルーストの
『失われた時を求めて』に関する質問をされ、教壇の上で立ち往生ではいかにもカッコ悪い。
で、教授たちは陰でこっそり虎の巻のお世話になっている。あるいは海外での商談の場や
パーティ会場での会話シーン。あっちのトップ・マネジメントは歴史や文学、哲学などに
通じていて、会話の中にごくふつうにシェイクスピア劇の科白なんかを織り込んできたりする。
そして、日本から来たビジネスマンに対しても、
「三島の『仮面の告白』にあるあの◎△という科白だけど、あなたはどう思う?」
なんて質問を浴びせてきたりする。
あるいは、
「江戸時代は士農工商となっていたけど、欧州と違い、なぜ農民は工商より上だったの?」
と、これはロンドン駐在の商社マンが、取引先の家に招かれた時、実際に受けた質問だ。
こうした際に、気の利いた受け答えができないと、
「こいつは金勘定しかできない無教養な人間だな」
と見切りをつけられてしまう。つまらない人間と見られたら、次にはもう招かれなくなり、
ひいては商談も進まなくなる。で、ここでも恥をかきたくないからと、こっそりお勉強だ。
日本人は教育はあっても教養がない、とよく言われる。まことに耳が痛い。
それはそうだろう。大学生であってもまともな本など一冊も読んだことがなく、
読むといったらコンビニで、漫画を立ち読みするだけ、という人間がごまんといる。
シェイクスピアもへちまもない。だいいち漢字がまともに読めるかどうか。
徳富蘇峰は4歳で漢詩を読み、5歳頃には四書五経まで読んだという。
これはまあ天才の話だが、昔はそういう人がいっぱいいた。
『万葉集』には天皇や皇后の歌はもちろんのこと、旅の売春婦の歌まで入っている。
売春婦まで歌を詠める国が他にあるか? それほどに昔の日本人の教養レベルは高かった。
あれから幾星霜。いま、日本では大学の教授までもが『あらすじで読む~』というお手軽本
を恥ずかしげもなく手に取り、学生たちの前でとり澄ました顔をしている。
あらすじなんか知って、いったい何になるんだ? と、
あまりの情けなさで、〝火病〟患者のボクなんか舌を噛み切りたくなってしまうが、
これが偽らざる日本の現状だろう。
日本人はここまで情けない国民に成り下がってしまっている。
瀬戸内寂聴さんはこう言っている。
《人生の愉しみは、食べること、セックスすること、そして読書することに尽きます》と。
ボクもまったく同感。これ以上の愉しいことがあるのなら、誰か教えてくださいな。
4 件のコメント:
ROUさん、こんにちは。
もう一つ、あるとすれば音を楽しむこと、ですかね?
それはそうと、教育はあるが教養はない・・・
うーむ、なんか省みて、どっちも無いような気がしてきた。
読んだはずなんだけど、思い出せない。
困ったもんです。
NICK様
そうですね、音楽も大事ですね。
あの孔子様も、人の情操や情緒、徳を育てる
大切な教養のひとつとして音楽を挙げていました。
NICKさんは謙遜していますが、
あなたは大変な教養人ですよ。
ただあんまり教養がありすぎて、
頭がこんがらがっちゃっている(笑)。
本のあらすじなんか忘れて当然です。
でも、何かの拍子に思い出すことがあります。
昔の日本人は四書(論語、孟子、大学、中庸)を学び、全部暗記している人もいました。
ボクは思うのです。徳富蘇峰のような教養人を
育てるためには小学生のころから四書を読ませるべきだと。それとソロバン。それ以外は必要ないです。
労さまおはようございます
nick様と同じで、ピアノを弾くことです。
う~~ん、あと裁縫、編み物、かなあ。
老子の本を図書館で探しましたが、
古すぎて、硬すぎて、読めませんでした。
おめでたいほど無知なお嬢様
ピアノに裁縫なんて素敵じゃないですか。
それに料理もできる。
すばらしいお嫁さんになれますね。
さて老子ですが、
いきなりぶつかるのは難しいかも。
老荘思想に関する解説本を読んでからでないと
なかなか理解できないかもしれません。
老子ではないですが、その弟子の『労子』が
近所にいるようですから、そっちから
エキスだけでも学んだらいかがでしょう。
相当できのわるい弟子のようですが、
おめでたいほど無知なお嬢様にはお似合いでしょう。ガンバ!
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