2012年4月28日土曜日

弔電粉砕!

秩父で叔母の葬式があった。去年死んだ母の妹で、享年86。
これで母の兄弟姉妹はすべてあの世へ行ったことになる。
叔母の家の宗派は臨済宗南禅寺派。禅宗だということは分かるが、
その特徴や詳しいところは知らない。

葬儀が始まるとまず会葬者(身内・親戚のみ)に三角の白い紙が配られた。
ひもが付いていて、これを額につけるのだという。女性はわらしべみたいな
ものを髪につけさせられる。時代劇などで死者の額に三角の白い布をつけるが、
会葬者までつけさせられるとは思わなかった。なんだかひどくカッコ悪い。

あとで調べたら、紙冠とか宝冠、カミエボシ、マンジヌノなどと呼ばれるもので、
白は清浄無垢につながるので、死者の魂の浄化や死の穢れを祓う意があるという。
隣に座った従兄弟は不謹慎にも笑いをかみ殺しながら、ボクを見て
「よく似合ってるよ。ブログに載せたいからあとで記念撮影しよう」などと、
ひそひそ声で言ってくる。バカにしてやがる(笑)。

坊さんの読経が始まった。般若心経までは分かったが、あとはどんなありがたいお経も
われら凡人の耳には子守唄でしかなく、(さわりだけでいいんだけどな……)などと
またまた不謹慎なことを思いつつ、ついうつらうつらしていたら、突然、「喝(カーツ)!」
と大喝された。思わず目をあけたら、前の席のちっちゃな女の子はよほど驚いたようすで、
半分べそをかいていた。

最後に「喝!」と叫ぶのは禅宗の特徴で、「引導香語」というらしい
文字どおり「悟ったかッ!」と死者に向かって引導を渡すのだという。
一方で白川夜船を決め込んでいる会葬者を揺り起こしたり、
さらには子供を泣かせるという副産物的な〝効用〟もあるので、
坊さんの密かなお楽しみになっている。

それにしても、えらく長い葬式だ。延々6時間もやる葬式は生まれて初めてだ。
年寄りたちにとっては寿命の縮む6時間だったにちがいない。←たぶん坊主の陰謀だろう

従兄弟の喪主に恨みつらみは言いたくないが、正直云って弔電披露だけは早めに
切り上げてほしかった。ふつうは主だったところを2~3本読み上げ、
あとは端折るものなのだが、今回は義理堅くぜ~んぶ読み上げた。
30分以上はかかっただろうか、ボクはほとんど発狂寸前だった。

集まった人たちはみな忙中の閑を盗み、会葬に出向いてくれている。
それなのに、来もしない人の名前を、なにゆえもったいつけて読み上げる必要があるのか。
衆議院議員に銀行のお偉いさん、取引先企業の社長さんと、
地方の名士の名前が次々と読み上げられるのだが、誰も聴いちゃあいない。
(早く終わってくれ)とみな心の中で念じている。

どこの何様の弔電であれ、来もしないで会葬者をかしこまらせ、
大きな顔をすることは許されない。
結婚披露宴のバカバカしさに比べれば、葬式には少なくとも
愚劣さと軽薄さがない分だけ、ボクは葬式を愛しているのだが、
あの弔電の読み上げ「完食」にはちょっぴりガッカリした。

商売上のお付き合いや義理人情のしがらみがあるのはわかる。
しかし、わざわざ足を運んでくれている会葬者にまず敬意を払うべきで、
弔電披露は形ばかりのセレモニーで十分なのだ。

『○○様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます』
会葬者から云わせてもらうと、「直に会葬してそれを言ってくださいな!
という理屈になる。横着なんだよね、やっぱり。

♪ 安保反対!←いや、ボクは安保賛成派でした 
  弔電、フンサイ!

2 件のコメント:

なごり雪 さんのコメント...

嶋中楼さま

わたしの家も臨済宗でした、10年前までは。
別にクリスチャンになったワケでも、
ワケの分からん新興宗教に移行したワケでも御座いません。

わが家の女帝(ママ)、
通称ブル政さまのご意向で、(名は政子)
ナゼか天台宗の古刹にシフトしてしまいました。
ハイ、労さまのご実家近くのです。
(中ではなく喜多の方)

まぁ見栄っ張りのブル政さまの琴線に触れたのと、(その寺が)
臨済宗の寺は、そこがオヤジの実家ですので、
姑たちとはお墓が一緒なのが嫌だったみたいです。

生まれてこの方、
【思うがまま人生】の我がママです。

どーでもよいコトでしたね。

ワタシなら、
戒名も葬式もいりません。
ホコリのように「風に吹かれてサヨウナラ」
そんな感じで終わりたいです。

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

なごり雪様

わが家は天台宗ですが、
他の宗派との違いなど
詳しいところは知りません。

ボクも戒名も葬式も要らない派で、
大兄と同じくfrom dust to dust
をモットーに、風に吹かれて飛んでいけ
を理想にしています。

二人で、あの雲の果てまで、
お手々つないで飛んでいきましょう。