昨夜、TBSラジオの「Dig」という番組に生出演した。
コーヒーが値上がりしてるけど、これからも上がり続けるのか、
国際相場の動向について話を聞きたい、というのである。
相場に関しては通りいっぺんのことしか言えないので、
他の人に当たってくれ、と最初は体よく断った。
でも、ボクの小著『コーヒーに憑かれた男たち』や
『コーヒーの鬼がゆく』を事前に読んでくれているらしく、
「じゃあ、コーヒーと日本人というテーマではどうでしょう」
とディレクター。で、急遽、出演することと相成った。
総合司会は外山惠理さん。TBSテレビのアナウンサーだが、
有名な和菓子店「言問団子」のお嬢さんでもある。ボクにとっては、
『土曜ワイドラジオTOKYO永六輔その新世界』のアシスタント
のほうがお馴染みだ。目のクリクリッとした可愛い女性である。
←ボクに笑いかけているのが外山アナ。
ボクが冗談ばかり言うので、半分呆れてた。
さて肝心のおしゃべりだが。別段緊張することなくふだんどおりしゃべった。
リラックスしたのはいいのだが、調子に乗り「キチガイ」などという放送禁止用語を連発
したのはまずかった。この業界にはコーヒーに憑かれた愛すべき「キチガイ」がいっぱい
いる。つい生放送中であることを忘れてしまった。
結果、休憩時間に、ディレクターからやんわりと注意。
(そういえば、みんな凍りついたような顔してたな、アハハ……)
でも、気にしない、気にしない。そもそもボクは〝言葉狩り〟がきらいで、
本を書く段になるといつも編集者とぶつかってしまう。
片手落ちがだめ、ハゲもだめ。もっと酷いのは百姓→農民、
父兄→保護者、婦人警官→女性警察官なんてのもある。
文章の品位とかリズムが、もうひっちゃかめっちゃかだ。
最下等のそばを〝馬方そば〟というのだけれど、馬方(馬子のこと)
は差別用語だからだめだという。でも「馬方そば」という呼び名は
歴史的事実であって、それを否定したらそもそも歴史のfactが成り立たない。
「今日の眼をもって昨日を論ずるなかれ」と山本夏彦も言っている。
現在の価値観でもって過去の事象を裁いてはいけないのだ。
「慰安婦問題」を俎上にのせ、「人権侵害だ!」「女性差別だ!」と
いきり立つのと同じ論理で、売防法などなかった時代のことを想像すらできない。
愚かという外あるまい。
ボクは差別主義者でもないし、人権を軽んずるものでもない。
ただし差別用語なるものを、とって付けたような美辞麗句に置き換えるより、
歴史を今に伝えることのほうがよほど大事だと思っている。
だいいち放送禁止用語の宝庫である古典落語がまっ先に亡びてしまうではないか。
いや、もう半ば亡びているだろう。つまり日本の貴重な文化遺産が跡形なく亡びてしまう、
ということなのだ。
ラジオのスタッフに罪はないのだろうけど、
マスコミに蔓延しているこの不毛な〝言葉狩り〟を
もうそろそろやめにしたらどうなんだ。いったい何に怯え、
何に対して遠慮しているのだ。
物書きのはしくれの、そのまたはしくれとして、
ひとこと苦言を呈しておきたいのだ。
放送終了後、タクシーで帰宅したら、女房から、
「鼻をすする音とため息が多すぎる」
と苦言を呈された。ああ……(またため息)
ため息は命を削る鉋(かんな)かな (串田孫一)
※追記
2日後、東日本大震災起きる。
コーヒーが値上がりしてるけど、これからも上がり続けるのか、
国際相場の動向について話を聞きたい、というのである。
相場に関しては通りいっぺんのことしか言えないので、
他の人に当たってくれ、と最初は体よく断った。
でも、ボクの小著『コーヒーに憑かれた男たち』や
『コーヒーの鬼がゆく』を事前に読んでくれているらしく、
「じゃあ、コーヒーと日本人というテーマではどうでしょう」
とディレクター。で、急遽、出演することと相成った。
総合司会は外山惠理さん。TBSテレビのアナウンサーだが、
有名な和菓子店「言問団子」のお嬢さんでもある。ボクにとっては、
『土曜ワイドラジオTOKYO永六輔その新世界』のアシスタント
のほうがお馴染みだ。目のクリクリッとした可愛い女性である。
←ボクに笑いかけているのが外山アナ。
ボクが冗談ばかり言うので、半分呆れてた。
さて肝心のおしゃべりだが。別段緊張することなくふだんどおりしゃべった。
リラックスしたのはいいのだが、調子に乗り「キチガイ」などという放送禁止用語を連発
したのはまずかった。この業界にはコーヒーに憑かれた愛すべき「キチガイ」がいっぱい
いる。つい生放送中であることを忘れてしまった。
結果、休憩時間に、ディレクターからやんわりと注意。
(そういえば、みんな凍りついたような顔してたな、アハハ……)
でも、気にしない、気にしない。そもそもボクは〝言葉狩り〟がきらいで、
本を書く段になるといつも編集者とぶつかってしまう。
片手落ちがだめ、ハゲもだめ。もっと酷いのは百姓→農民、
父兄→保護者、婦人警官→女性警察官なんてのもある。
文章の品位とかリズムが、もうひっちゃかめっちゃかだ。
最下等のそばを〝馬方そば〟というのだけれど、馬方(馬子のこと)
は差別用語だからだめだという。でも「馬方そば」という呼び名は
歴史的事実であって、それを否定したらそもそも歴史のfactが成り立たない。
「今日の眼をもって昨日を論ずるなかれ」と山本夏彦も言っている。
現在の価値観でもって過去の事象を裁いてはいけないのだ。
「慰安婦問題」を俎上にのせ、「人権侵害だ!」「女性差別だ!」と
いきり立つのと同じ論理で、売防法などなかった時代のことを想像すらできない。
愚かという外あるまい。
ボクは差別主義者でもないし、人権を軽んずるものでもない。
ただし差別用語なるものを、とって付けたような美辞麗句に置き換えるより、
歴史を今に伝えることのほうがよほど大事だと思っている。
だいいち放送禁止用語の宝庫である古典落語がまっ先に亡びてしまうではないか。
いや、もう半ば亡びているだろう。つまり日本の貴重な文化遺産が跡形なく亡びてしまう、
ということなのだ。
ラジオのスタッフに罪はないのだろうけど、
マスコミに蔓延しているこの不毛な〝言葉狩り〟を
もうそろそろやめにしたらどうなんだ。いったい何に怯え、
何に対して遠慮しているのだ。
物書きのはしくれの、そのまたはしくれとして、
ひとこと苦言を呈しておきたいのだ。
放送終了後、タクシーで帰宅したら、女房から、
「鼻をすする音とため息が多すぎる」
と苦言を呈された。ああ……(またため息)
ため息は命を削る鉋(かんな)かな (串田孫一)
※追記
2日後、東日本大震災起きる。
4 件のコメント:
生出演でのお話聴きたいですね! TSBでは
きっと録音しているでしょうからカセットを
頼めませんか?
言葉狩り、困ったものですね! 作者の
思い・意図が損なわれましょう。アメリカでも同じような事例があったようです。”ハックル・ベリー”の子供用に編纂した本に原作者マークトウエーンの黒人の表現が黒人の子供たちに不快感を与えると言うことで書き直して出版したようです。
労さんに一度永六輔さんと”言葉狩り”の主題で対談して貰うと好番組になると思うのですが! 彼も一言も二言もあるでしょう
匿名様
生放送は下記のところで聴けますよ。
↓
http://itunes.apple.com/jp/podcast/dig/id366755852
いろんな人が見たり聞いたりする訳ですから、
受け取り方は三者三様ですよね…
匿名様
たしかにいろいろな人がいますね。
それに真意とは逆に受け取られる、
ということもよくあります。
もっとも、いろいろな人がいて
理解し合ったり誤解し合ったりしているから
世の中、面白いわけですけどね。
自分の意見に誰もみな賛成してくれたら
気分はいいでしょうが、気持ちが悪い。
ブキミですよね、そんな世の中じゃ。
テレビはきらいですが、
ラジオはなかなか面白い。
ボクはどっちかというと
ラジオ派でしょうか。
コメントを投稿