2012年5月11日金曜日

『8人の女』

劇団フーダニットの第12回公演を観てきた。
演目はロベール・トマ作の『8人の女』。
トマの代表的な戯曲のひとつで、上演時間3時間という大作だ。

この小劇団の上演を観るのは今度で3回目。好んでミステリー劇を演じることが多く、
今回の作品は『罠』『みかんの部屋』に続くトマ作品の第3弾ということになる。

フランスはパリの郊外。森の中の一軒家に暮らす一家の話だ。
男は邸宅の主人マルセル(結局1度も姿を見せない)ただ1人で、
そのマルセルが殺される。外は猛吹雪。閉ざされた邸宅内での密室殺人をめぐる
典型的な推理劇である。

登場人物はマルセルの妻、娘、妻の母、妻の妹、メイド……。
遺産相続をめぐる醜いバトル劇が進行するにつれ、
女たち8人のおぞましい過去と正体が次々と暴かれていく。
その事実は意表を突くものばかりなので、
どの女も「こいつが殺人犯か?」と思えてくる。

役者たちはプロではない。主婦ありOLあり、学生あり。
しかし、その迫真の演技はどれも玄人はだしで、
思わず身を乗り出してしまう。おまけに美人揃いだから、
つい目を凝らして見入ってしまう。美人に弱いのだ。

演出はセリフだけで展開する会話劇。それぞれがけっこうな長台詞なものだから、
役者はさぞ大変だろうとお察しする。ボクなんか昨夜のおかずが何だったか、
思い出せないくらい痴呆が進んでいるから、長台詞をしゃべっているというだけで
いやも応もなく尊敬してしまう。なかにはセリフをとちった場面もいくつか見られたが、
これもご愛敬で、演出がいいのか、全体にはうまくまとめられていた。

この劇団の演出家兼座長は、出演した8人の女性の中のメイド役で、
ボクが雑誌編集をやっていた頃の先輩記者の奥方である。
先輩記者は現在某大学の教授をやっていて、ミステリー評論家でもある。
夫婦揃ってミステリー大好き人間なのだ。

例によってトマお得意の奇想天外の幕切れだったが、
ボクはちょっぴりその結末を予想していた。
それにしても、オンナという生き物は怖ろしい。
劇を観たオトコどもは心底恐怖に震え上がり、
帰宅後、妻と娘たちに対してつい疑心暗鬼の目を向けてしまうことだろう。

(オンナを侮ってはいけない……)
ボクは心より反省した。
(でも才色兼備となると話は別……そんなものはオトコの描いた、ただの幻想だな)
ボクの確信は揺るぎなかった。←少しビビってる



2 件のコメント:

Nick's Bar さんのコメント...

ROUさん、

こんにちは。


具体的な数字を出すと個人情報の漏洩になりますからひかえますが、ROUさんちは、ROUさん以外は皆さん女性でしたね・・・・

うちは逆ですけど。


反省・・・その言葉がROUさんの口から発せられるとは、よっぽどの公演だったのであろうと察せられます。


反省ついでに、近々アルコール消毒でもしに行きますか?

ROU.SHIMANAKA さんのコメント...

NICK様

ボクなんか消毒しすぎて
虫の好かない身体に成り果ててしまいました。

虫ならいいのですが、
愛慕の念を寄せているオナゴから
好かれなくなると、それこそ一大事。

アルコール消毒はほどほどにいたします。
とはいえ、そろそろ定期消毒の時期かと……