昨夜は駒込のイタリアン「リセット」で会食。夫婦で参加した。
シェフは室井克義というピエモンテ料理の名人で、
かつてホテル西洋銀座の「アトーレ」で腕をふるった実力者だ。
ボクとは同い年で、つき合いも古い。
その彼と震災に話がおよんだ時、日本人のやさしさは本物か、という話になった。
3.11当日、彼は店の前に貼り紙をした。「トイレは自由にお使いください」
店が面する本郷通りは帰宅難民でごった返している。そんな中、
群衆を縫うようにして犬の散歩やジョギングにいそしむ人もいた。
非日常的状況の中にも日常的風景は繰り広げられている。
彼は「日本人のやさしさ」にいくぶん懐疑的で、例証をいくつも
挙げてくれたが、ボクは彼の意見には賛成できなかった。
日本人は「それほど捨てたもんじゃないもの……」。
昨日、長女の友人たちがイタリアから来日した。
ヴィクトルとエンリカの男女両名。
第2陣は29日で、こちらはオーストラリアから2人来る。
イタリア組は初来日で、娘とは月島で待ち合わせている。夕飯は
もんじゃ焼きにしよう、というわけだ。
長女は近くの晴海トリトンスクエア内で働いている。
イタリア組はホテルの予約をしていない。第2陣と合流するまでは
行き当たりばったりで決めようと目論んでいた。昨夜は寒かった。
荷物も多い。2人は英語が苦手で、大きな荷物をゴロゴロ転がしながら、
月島あたりをうろつき、不安げにホテルを探している。
「コノアタリニホテルハアリマスカ?」
通行人のおばさんに話しかけた。なぜかおばさんは片言の英語をしゃべった。
「モシミツカラナカッタラ、ウチニオイデヨ。カンゲイスルヨ」
イタリア人たちは「怪しいおばさん」だと、初めは思った。
イタリアでは考えられないからだ。見ず知らずの外国人を誘って
自宅に泊めるなんてことは金輪際ありえない。
そのことを長女に伝えたら、長女は、
「日本だったらふつうかも。わが家だったら、たぶんそうするもん」
イタリア組は目をまるくしていたという。
結局、安いホテルを探し出し、長女がくだんの親切なおばさんの家に
断りの電話を入れることになった。「みんな楽しみにしていたのに、残念だわ」。
おばさん一家は心底ガッカリしていたという。
それを聞いてイタリア組は大感激。しょっぱなから日本人のやさしさにふれ、
いっぺんに日本を好きになってしまったようだ。
日本人はやさしいか否か? 設問そのものがかなりいいかげんだが、
肯定派も否定派もいろんな例を挙げ、議論百出するだろう。
聞けばアリタリア航空は日本行きに限って、運賃を半額にしているという。
日本との往復運賃が約5万円。放射能汚染が心配で、日本行きの乗客が
激減。そのため航空会社も赤字覚悟で客を集めているらしい。
いくら国の財政が破綻していても個人は別。5万円くらいならなんとかなる。
4人が合流したら、いよいよわが家にやってくる。
にぎやかな国際交流になりそうである。
シェフは室井克義というピエモンテ料理の名人で、
かつてホテル西洋銀座の「アトーレ」で腕をふるった実力者だ。
ボクとは同い年で、つき合いも古い。
その彼と震災に話がおよんだ時、日本人のやさしさは本物か、という話になった。
3.11当日、彼は店の前に貼り紙をした。「トイレは自由にお使いください」
店が面する本郷通りは帰宅難民でごった返している。そんな中、
群衆を縫うようにして犬の散歩やジョギングにいそしむ人もいた。
非日常的状況の中にも日常的風景は繰り広げられている。
彼は「日本人のやさしさ」にいくぶん懐疑的で、例証をいくつも
挙げてくれたが、ボクは彼の意見には賛成できなかった。
日本人は「それほど捨てたもんじゃないもの……」。
昨日、長女の友人たちがイタリアから来日した。
ヴィクトルとエンリカの男女両名。
第2陣は29日で、こちらはオーストラリアから2人来る。
イタリア組は初来日で、娘とは月島で待ち合わせている。夕飯は
もんじゃ焼きにしよう、というわけだ。
長女は近くの晴海トリトンスクエア内で働いている。
イタリア組はホテルの予約をしていない。第2陣と合流するまでは
行き当たりばったりで決めようと目論んでいた。昨夜は寒かった。
荷物も多い。2人は英語が苦手で、大きな荷物をゴロゴロ転がしながら、
月島あたりをうろつき、不安げにホテルを探している。
「コノアタリニホテルハアリマスカ?」
通行人のおばさんに話しかけた。なぜかおばさんは片言の英語をしゃべった。
「モシミツカラナカッタラ、ウチニオイデヨ。カンゲイスルヨ」
イタリア人たちは「怪しいおばさん」だと、初めは思った。
イタリアでは考えられないからだ。見ず知らずの外国人を誘って
自宅に泊めるなんてことは金輪際ありえない。
そのことを長女に伝えたら、長女は、
「日本だったらふつうかも。わが家だったら、たぶんそうするもん」
イタリア組は目をまるくしていたという。
結局、安いホテルを探し出し、長女がくだんの親切なおばさんの家に
断りの電話を入れることになった。「みんな楽しみにしていたのに、残念だわ」。
おばさん一家は心底ガッカリしていたという。
それを聞いてイタリア組は大感激。しょっぱなから日本人のやさしさにふれ、
いっぺんに日本を好きになってしまったようだ。
日本人はやさしいか否か? 設問そのものがかなりいいかげんだが、
肯定派も否定派もいろんな例を挙げ、議論百出するだろう。
聞けばアリタリア航空は日本行きに限って、運賃を半額にしているという。
日本との往復運賃が約5万円。放射能汚染が心配で、日本行きの乗客が
激減。そのため航空会社も赤字覚悟で客を集めているらしい。
いくら国の財政が破綻していても個人は別。5万円くらいならなんとかなる。
4人が合流したら、いよいよわが家にやってくる。
にぎやかな国際交流になりそうである。