おかげさまで『コーヒー おいしさの方程式』(NHK出版)が売れている。
1月の発売以来、アマゾンの売れ行きランキングでは「グルメ一般」「飲み物」
部門でずっとトップを走ってきた。
版元のNHK出版もホクホクで、佐村河内守(さむら・かわちのかみ?)でソンこいた分
(絶版・回収代)を必死に取り戻すべく(←自業自得だけどね)、この本にかける意気込み
にはすさまじいものがある。
それにしてもこのお騒がせ男はずいぶん芝居がかってたな。曲想が浮かばないのか
(←もとからそんなものあるわけない)、壁にガンガン後頭部を打ちつけたり、
真に迫った顔で床を這いずり回ったりしていた。たいそうな役者である。
ドラマの中で、作家に扮した男が原稿を書きあぐね、しきりに原稿用紙を丸めてポイし、
部屋中が紙くずだらけになるシーンがよくある。あの頭ガンガンシーンもウソっぽいが、
あのポイ捨てもウソっぽい。ふつう物書きは今も昔も髪をかきむしったり、原稿用紙を
丸めてポイなんてやらない(紙がもったいないし、吹き出しをつければ足りるから)。
が、書斎の中を檻の中のクマみたいに歩き回ったり、いきなり机の回りを片づけ
始めたり、無意識のうちに仕事とは関係ないことに手を染めて、霊感というか閃きが
自然と向こうからやってくるのを待つ、というようなことはある。
ボクの場合は、冒頭の数行が決まればあとは比較的スイスイ書けるタイプで、
問題はどんな書き出しで始めるかだ。フランスの詩人ボードレールは
こんなことを言っている。
《最初の1行は神から来る。2行目からは人が作る》
〝かわちのかみ〟は図々しくも、
「楽想は天から降りてくる。それを逃さずキャッチする……」
なんてことを言っておる。よくもまあヌケヌケと……。
が、ある種の閃きというか、究極の直観的境地に身を置くようなところは
たしかにある。
ボクは新垣隆ほど才能あるゴーストライターではもちろんない。
「しがない〝100円ライター〟です」と自嘲気味に言ってるのは、
ほんとうにそう思っているからで、頭を壁にガンガン打ちつけるような
芝居っ気がちょびっとでもあれば、もう少し売れっ子になっている。
昨夜は代官山の「蔦谷書店」の一角で、前記の本の発刊を記念したトークイベントが
開かれた。ゲストは「カフェ・バッハ」の田口護氏と滋賀医科大講師の旦部幸博氏だ。
不肖ゴーストライターの私めは司会進行役をつとめさせてもらった。
ボクの話は冒頭からいきなり過激だった。
《この数年、ゲイシャ遊びが流行ってるそうですね。このご両人もさんざっぱら
ゲイシャと遊んだクチでして、ボクも一度だけご一緒したことがあります。最近は
赤坂とか柳橋とかいうんではなくて、中米パナマの色黒ゲイシャが人気なんだそうです。
で、アフリカンベッドにしけこんでドンパチやる……これが今風のトレンドというわけ
ですが、このゲイシャ、ちょっとばかり体臭がきつい》
会場の中には、こいつはいったい何を言い出すんだ、というような不審顔を
していた人も何人かいたが、この「ゲイシャ」があの「芸者」ではなく、
スペシャルティコーヒー業界のスーパースター、ゲイシャ種だということは
すでにみな承知で、「アフリカンベッド」や「ドンパチ」の意味するところも知っている。
2004年の「ベスト・オブ・パナマ」というコーヒー豆の品評会で彗星のごとく登場し、
国際オークションで超高値をつけたことで一躍有名になったゲイシャ種。
今でも人気は続いていて、高いものになると100グラム当たり
2万4000円もする。コーヒー1杯当たりに換算すると2400円もする。
このゲイシャは〝レモンジュースのような〟香味がする。レモンジュースの香りが
するコーヒーを高い金払って飲むくらいなら、100円ちょっとの「キリンレモン」を
飲んだほうがまし、と不心得にもボクはそう思っているのだが、実はそんなことを
言いたいわけではなく、コーヒーの中にはレモンやオレンジの香りがするものもあれば、
キャラメルやメープルシロップ、カシスや焼きりんごの香りがするものもある。
《……つまりコーヒーにはいろんなフレーバーがあるんですよ、
ということが言いたいわけです。それでは他にどんな香味があるのか、
ご両人にもっと精しくうかがってみましょう……》

←ゴーストライター嶋中労の司会風景。
みなしっかりメモをとり、神妙な顔つきで
聴いていた。お疲れさま。
主役の〝タグタンコンビ〟は哀れにも
右手の「キッズ」と書かれた看板の下に
埋もれて見えない。
photo by のぶじい
というような感じでトークショーは始まり、なんとか無事に終えることができた。
不慣れな司会なんぞ頼まれて往生したが、つつがなく終えてホッとしている。
閉会後、著者2人にはサインを求めて長い行列が。憐れと思ったのか、
ボクにも数人がパラパラと寄ってきて、「すみません……サインをいただけますか?」
金釘流のへたっぴぃな字でサラサラとサインするのだが、
こんな時は、いつも尻の穴がムズ痒くなる(←不慣れなもので照れちゃうのだ)。
が、超チョー可愛いヤング女性2人にサインをせがまれたときは、
おじさんやおばさんの時の数倍くらい心をこめて書いてやった(←バカ)。
「下ネタから入ったから、どうなることかとヒヤヒヤしましたよ」
とは版元の担当編集者S君。ほんとうは『NHKスペシャル』で世間を騒がせた
〝かわちのかみ〟をもっと掘り下げようと目論んでいたのだが、時間がないので
割愛した。聞けばNHKのディレクターは5年も〝かわちのかみ〟に密着して
あのドキュメンタリーを完成させたという。5年も一緒にいて〝インチキ〟に
気づかないものなのか。天下のNHKさんよ、まずその不明を恥じなさい。
それにしても、あの頭ガンガンは堂に入ってたな。ボクもやってみることにする。
←会場の近くのフレンチレストランで
ささやかな打ち上げパーティ。
著者の旦部幸博さん(右)と本の装幀
を担当した山崎信成さん。下戸だった
はずの旦部先生は、この日、飲み放題
と聞いた途端、ワインをガンガン飲み
始めた。今まで猫をかぶっていたのだ。
〝かわちのかみ〟になれる要素は
十分にありそうだ。末恐ろしいキッズである
1月の発売以来、アマゾンの売れ行きランキングでは「グルメ一般」「飲み物」
部門でずっとトップを走ってきた。
版元のNHK出版もホクホクで、佐村河内守(さむら・かわちのかみ?)でソンこいた分
(絶版・回収代)を必死に取り戻すべく(←自業自得だけどね)、この本にかける意気込み
にはすさまじいものがある。
それにしてもこのお騒がせ男はずいぶん芝居がかってたな。曲想が浮かばないのか
(←もとからそんなものあるわけない)、壁にガンガン後頭部を打ちつけたり、
真に迫った顔で床を這いずり回ったりしていた。たいそうな役者である。
ドラマの中で、作家に扮した男が原稿を書きあぐね、しきりに原稿用紙を丸めてポイし、
部屋中が紙くずだらけになるシーンがよくある。あの頭ガンガンシーンもウソっぽいが、
あのポイ捨てもウソっぽい。ふつう物書きは今も昔も髪をかきむしったり、原稿用紙を
丸めてポイなんてやらない(紙がもったいないし、吹き出しをつければ足りるから)。
が、書斎の中を檻の中のクマみたいに歩き回ったり、いきなり机の回りを片づけ
始めたり、無意識のうちに仕事とは関係ないことに手を染めて、霊感というか閃きが
自然と向こうからやってくるのを待つ、というようなことはある。
ボクの場合は、冒頭の数行が決まればあとは比較的スイスイ書けるタイプで、
問題はどんな書き出しで始めるかだ。フランスの詩人ボードレールは
こんなことを言っている。
《最初の1行は神から来る。2行目からは人が作る》
〝かわちのかみ〟は図々しくも、
「楽想は天から降りてくる。それを逃さずキャッチする……」
なんてことを言っておる。よくもまあヌケヌケと……。
が、ある種の閃きというか、究極の直観的境地に身を置くようなところは
たしかにある。
ボクは新垣隆ほど才能あるゴーストライターではもちろんない。
「しがない〝100円ライター〟です」と自嘲気味に言ってるのは、
ほんとうにそう思っているからで、頭を壁にガンガン打ちつけるような
芝居っ気がちょびっとでもあれば、もう少し売れっ子になっている。
昨夜は代官山の「蔦谷書店」の一角で、前記の本の発刊を記念したトークイベントが
開かれた。ゲストは「カフェ・バッハ」の田口護氏と滋賀医科大講師の旦部幸博氏だ。
不肖ゴーストライターの私めは司会進行役をつとめさせてもらった。
ボクの話は冒頭からいきなり過激だった。
《この数年、ゲイシャ遊びが流行ってるそうですね。このご両人もさんざっぱら
ゲイシャと遊んだクチでして、ボクも一度だけご一緒したことがあります。最近は
赤坂とか柳橋とかいうんではなくて、中米パナマの色黒ゲイシャが人気なんだそうです。
で、アフリカンベッドにしけこんでドンパチやる……これが今風のトレンドというわけ
ですが、このゲイシャ、ちょっとばかり体臭がきつい》
会場の中には、こいつはいったい何を言い出すんだ、というような不審顔を
していた人も何人かいたが、この「ゲイシャ」があの「芸者」ではなく、
スペシャルティコーヒー業界のスーパースター、ゲイシャ種だということは
すでにみな承知で、「アフリカンベッド」や「ドンパチ」の意味するところも知っている。
2004年の「ベスト・オブ・パナマ」というコーヒー豆の品評会で彗星のごとく登場し、
国際オークションで超高値をつけたことで一躍有名になったゲイシャ種。
今でも人気は続いていて、高いものになると100グラム当たり
2万4000円もする。コーヒー1杯当たりに換算すると2400円もする。
このゲイシャは〝レモンジュースのような〟香味がする。レモンジュースの香りが
するコーヒーを高い金払って飲むくらいなら、100円ちょっとの「キリンレモン」を
飲んだほうがまし、と不心得にもボクはそう思っているのだが、実はそんなことを
言いたいわけではなく、コーヒーの中にはレモンやオレンジの香りがするものもあれば、
キャラメルやメープルシロップ、カシスや焼きりんごの香りがするものもある。
《……つまりコーヒーにはいろんなフレーバーがあるんですよ、
ということが言いたいわけです。それでは他にどんな香味があるのか、
ご両人にもっと精しくうかがってみましょう……》
←ゴーストライター嶋中労の司会風景。
みなしっかりメモをとり、神妙な顔つきで
聴いていた。お疲れさま。
主役の〝タグタンコンビ〟は哀れにも
右手の「キッズ」と書かれた看板の下に
埋もれて見えない。
photo by のぶじい
というような感じでトークショーは始まり、なんとか無事に終えることができた。
不慣れな司会なんぞ頼まれて往生したが、つつがなく終えてホッとしている。
閉会後、著者2人にはサインを求めて長い行列が。憐れと思ったのか、
ボクにも数人がパラパラと寄ってきて、「すみません……サインをいただけますか?」
金釘流のへたっぴぃな字でサラサラとサインするのだが、
こんな時は、いつも尻の穴がムズ痒くなる(←不慣れなもので照れちゃうのだ)。
が、超チョー可愛いヤング女性2人にサインをせがまれたときは、
おじさんやおばさんの時の数倍くらい心をこめて書いてやった(←バカ)。
「下ネタから入ったから、どうなることかとヒヤヒヤしましたよ」
とは版元の担当編集者S君。ほんとうは『NHKスペシャル』で世間を騒がせた
〝かわちのかみ〟をもっと掘り下げようと目論んでいたのだが、時間がないので
割愛した。聞けばNHKのディレクターは5年も〝かわちのかみ〟に密着して
あのドキュメンタリーを完成させたという。5年も一緒にいて〝インチキ〟に
気づかないものなのか。天下のNHKさんよ、まずその不明を恥じなさい。
それにしても、あの頭ガンガンは堂に入ってたな。ボクもやってみることにする。
←会場の近くのフレンチレストランで
ささやかな打ち上げパーティ。
著者の旦部幸博さん(右)と本の装幀
を担当した山崎信成さん。下戸だった
はずの旦部先生は、この日、飲み放題
と聞いた途端、ワインをガンガン飲み
始めた。今まで猫をかぶっていたのだ。
〝かわちのかみ〟になれる要素は
十分にありそうだ。末恐ろしいキッズである