「忘憂」とは酒の異名なり。この世の憂さを忘れんと、日ごと夜ごと深酒すれば、頭クラクラ、お目々ショボショボ。筆を執りても茫々としてとりとめなし。咳唾珠を成す、どころか、文意不明の「ハッパふみふみ」。意気阻喪し、思わず天を仰げば、泉下の(斎藤)緑雨がこう呟く。奇思すでに古人に尽きたり、妙想すでに西人に尽きたり、と。我に加えるべき何ものもなし。ただいたずらに閑文字をつらねるのみ、か。嗚呼!